お客さまインタビュー誰もが自分らしく生きていける社会をつくる

2021年4月9日掲載

一般社団法人サステイナブル・サポート
代表理事 後藤ごとう 千絵ちえ 様

所在地:岐阜県岐阜市
分野:障がい者福祉
URL:https://sus-sup.org/

●Mission
発達障害・精神障害などの見えない障害を持つ方が地域で生活するための就労支援と
持続可能な支援ネットワークの構築および周囲の人々の理解の促進
代表理事 後藤 千絵 様
Q. どのような社会的課題の解決に取り組まれていますか。

当団体は、誰もが自分らしく生きることのできる社会をつくるために、主に発達障害や精神障害のある方の就労支援や、生きづらさを抱えた若者等へのキャリア支援、ダイバーシティの啓発活動等を行っています。対症療法的な支援ではなく、誰もが必要な時に支援が受けられるような、持続可能な支援の仕組みつくりを目指しています。

Q. 具体的な事業内容を教えてください。

主に発達障害や精神障害のある方を支援する就労移行支援事業所「ノックス岐阜」と就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)「アリー」の運営を行っています。「ノックス岐阜」では、コミュニケーション支援やパソコン訓練等の就職活動プログラムを提供しています。利用者に合った職場や働き方をスタッフが一緒に考えていくことで、毎年10人以上の利用者が企業に就職し社会復帰を果たしています。

「アリー」は、川原町の景観地区にある歴史的な町家を改装し、岐阜の伝統産業である岐阜和傘とコラボレーションした作業や小物づくり等を行えるB型事業所として、2019年にスタートしました。岐阜市は和傘の産地なのですが、職人の高齢化が問題となっており、業界からは後継者の育成にもつながると期待されています。

また、就労支援に携わる中で、既存の支援制度が行き届かない制度の狭間にある人や、支援ニーズが見えづらい人への予防的支援の重要性を実感し、発達障害グレーゾーンの大学生を対象に、キャリア支援プログラム(「以下、キャリプロ」)を提供しています。学生のうちから自分の特性を理解し、自分に合ったキャリア選択を促す支援を提供することで、問題の複雑化や社会からの孤立を防ぐことができると考えています。

Q. コロナ禍における新たな取り組みや運営上の工夫があれば教えてください。

コロナ禍においては、いち早くICTを活用し、利用者へのオンライン支援や職員のテレワークに取り組みました。具体的には、オンライン会議システムを利用して、通常は対面で行っている支援プログラムをオンラインで提供しました。また、オンライン支援を実施する前に、利用者にアンケートを行い自宅の通信環境を確認したり、必要に応じてパソコンを貸与したり、オンラインツールに慣れるためのプログラムを実施する等、事前準備を徹底したことで、大きな問題なくオンラインに移行することができました。その後、就職活動自体もオンライン化が進みましたが、オンライン面接なども焦ることなく取り組むことができ、新たな生活スタイルへの変化にも適応することができました。

Q. 事業運営における専門機関との連携について教えてください。

「キャリプロ」事業では、医療機関や福祉施設だけではなく、大学等教育機関との連携を大切にしています。東海地方において、現在は15校ほどの大学と学生の支援において連携をしています。最近では、先駆的な取り組みを実施している全国の大学と連携し、こうした支援をどのように持続可能な仕組みとしていくか、大学の担当者や就労支援の有識者等で集まり、一年間にわたり検討会を開催しました。その検討内容を基に、現在、次のアクションに向けて準備を進めています。全国の大学と連携することで、当団体の取り組みを東海地区以外の地域にも広げていきたいと考えています。

Q. 安定した資金調達のために取り組んでいることがあれば教えてください。

社会的インパクト評価の手法(※)を活用し、当団体が行っている事業がどのように社会課題の解決に役立っているかを情報発信するように努めています。社会的インパクト評価を取り入れていることが評価されたこともあり、現在は福祉の事業収入の他に助成金や寄付金など多様な財源で運営することができています。また、2020年12月に「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」の助成事業に採択され、組織基盤の強化に取り組む予定です。

(※)社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加えること

Q. 日本公庫をご利用いただいた感想をおしえてください。

B型事業所を開設した4ヶ月後にコロナの流行が始まったことで、事業が当初の計画通りに進まず運転資金が必要になったため、追加の融資を相談しました。日本公庫から追加融資を頂いたおかげで、事業を継続することができました。現在は経営状態も改善しつつあり、今振り返ると、本当にあのときに諦めないで良かったなと思います。融資頂けたことに感謝しています。

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