お客さまインタビュー子供の貧困に、本質的解決を。

2021年2月26日掲載

特定非営利活動法人Learning for All
代表理事 李炯植りひょんしぎ 様

所在地:東京都新宿区
分野:子どもの健全育成
URL:https://learningforall.or.jp/

●Mission
すべての子どもたちが自分の可能性に気づき、
最大限に力を発揮できる社会を実現する。
代表理事 李炯植 様

インタビューは、特定非営利活動法人Learning for All(以下、LFA)で広報や資金調達を主に担当しているコミュニティ推進事業部長の石神 駿一様にご回答いただきました。

Q. どのような社会的課題の解決に取り組まれていますか。

学習面や生活面、発達等に困難を抱えた子どもたちへの包括的支援を行い、子どもの貧困の本質的解決に取り組んでいます。現在、日本では7人に1人が貧困状態にあると言われています。「子どもの貧困」は世代を超えて繰り返し、子どもたちの努力だけでは抜け出すことが困難です。わたしたちは、貧困の連鎖を断ち切るために子どもたちに学習支援や生活支援の場を提供しています。

Q. 具体的な事業内容を教えてください。

主に「学習支援事業」と「居場所支援事業」を行っています。学習支援事業では、公民館や学校の空き教室に無償の学習支援拠点を設置し、小学4年生から高校生までの子どもたちを対象に学習支援を行っています。本当に学習支援を必要とする子どもたちにつながるため、公募ではなく、自治体のケースワーカーや教育委員会と連携・協力して生徒を募集しており、年間のべ約1,000名の子どもたちが利用しています。提供する学習の質と継続性に徹底してこだわっており、子どもたちを指導する大学生ボランティアスタッフにはわたしたちが独自開発した約30時間以上の研修の受講を義務付けています。また、少人数制の個別カリキュラムに基づき、学習の達成度評価を行うことで確実に学習成果が出せる仕組みを構築しています。

居場所支援事業では、様々な事情から学校や家庭に安心して過ごす環境が整っていない小学1年生から3年生の子どもたちに対し、学習の機会だけでなく基礎的な生活習慣やコミュニケーション能力を身に着つける場を提供しています。生活全体の課題解決を目指すため、子どもだけでなく、保護者とも信頼関係を築くことで、家庭も含めた総合的なサポートを実施してることが特徴となっており、2年前には中高生向けの居場所支援拠点も開設しました。

また、2020年から「子どもの貧困」解決に取り組む他団体や自治体に私たちの支援ノウハウを展開するナレッジ展開事業を開始し、全国に支援ネットワークを広げる取り組みも行っています。

Q. 日本公庫から借入をしたことによって、何か事業に良い影響はありましたか。

柔軟に活用できるキャッシュが手元に確保できたことで、わたしたちが継続的に活動していくためのインフラを整備することができました。具体的には、スタッフの昇給制度や円滑な業務遂行のために経理や総務等のバックオフィス機能を整えるといった、組織体制を強化するための取り組みです。わたしたちの2019年度における収入の内訳は、助成金が約6割を占めていますが、助成金は無期限で受けられるものではありませんし、現場への直接支援に用途が限定されてるため柔軟な運用ができません。公庫さんから借入した運転資金を上手く活用することで、組織運営について長期的な戦略が立てられるようになりました。

Q. コロナ禍における新たな取り組みや運営上の工夫があれば教えてください。

昨年4月に「新型コロナ緊急支援プロジェクト」を立ち上げ、利用者からの要望が多かったオンラインによる支援をはじめとした様々な支援を実施しました(※)。オンライン支援では、設備がない家庭に対してWi-Fiやタブレットの無償貸与を行い、オンライン支援が受けられる環境を整えました。オンライン指導では、貸与したミニホワイトボードやZoomの画面共有機能を活用して子どもに問題の解答を書き込んでもらう等、コミュニケーション方法を工夫することで、オフラインと変わらない質で子どもたちに支援を届けることを心がけました。その結果、学校が休校中に一人では学習に取り組めない子どもや、一人で家にいることによって不安や孤独を感じる子どもたちの学習遅滞の防止やストレス解消につなげることができました。

※「新型コロナ緊急支援プロジェクト by Learning for All」詳細はこちら

Q. 御団体は様々な企業や財団から助成金を受けていますが、助成金を獲得するためのアプローチ方法として工夫していることがあれば教えてください。

一番意識している点は、支援をお願いする企業のご担当者様を学習支援や居場所支援の現場にお連れして、現実に起きている問題や支援の必要性を体感してもらうことです。現場で直接子どもたちと触れ合う機会を設け、支援する対象をより可視化することで、「多くの困っている子どもたち」ではなく、「あの時、あの場所で出会った子どもたち」を支援するんだという意識付けとなります。現場案内などに対応工数は発生しますが、この取り組みを行うことが企業様からの支援に繋がっていると感じています。

Q. 安定した資金調達のために取り組んでいることがあれば教えてください。

わたしたちの活動は受益者負担を求めることができないため、安定的な収入基盤を確保するために、個人のマンスリーサポーター(継続的にご支援いただく寄付会員)の数を増やしていくことが重要だと考えています。そこでまずは、新聞や雑誌などのメディアを通してLFAの名前や活動を知ってもらう広報活動を積極的に行います。そして寄付に特化した訴求を行うために、WEB広告を活用した宣伝活動にも注力し、個人マンスリーサポーターを増やしています。NPO業界では、一人が一団体に継続的に寄付を行う平均期間は7年間といわれており、例えば、毎月1,000円の寄付をしてくださるサポーターが1名増えると、7年間で8万4千円の寄付が見込めることになります。これらの取り組みの結果、2019年度に1,000人だった個人サポーターは、2020年12月には2,015人に増えました。今後は、2025年度までに個人のマンスリーサポーターを1万人に増やすことを目指しています。

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