お客さまインタビュー患者だから伝えられる、正しい知識・情報を発信

2018年9月21日掲載

一般社団法人ペイシェントフッド(東京都世田谷区)
代表理事 宿野部 武志 様

●Mission
ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会へ
代表理事 宿野部 武志 様
Q. どのような事業をされているのですか。

国内成人の八人に一人は慢性腎臓病患者と言われている現在において、代表である私自身も、30年以上にわたり人工透析を行っている患者の一人です。「患者であるからこそ伝えられる情報がある。患者が正しい知識や情報を得て、考え、行動することが、未来の生きる力になる。生きる力を備えた患者が増えることが、医療の支えとなり、希望ある社会へと繋がっていく」その想いから、平成22年9月に創業しました。

主な事業内容は、透析患者向けwebサイト『じんラボ』や、患者のサポート活動『じんサポ』の運営です。

この他、製薬会社、医療従事者等を対象に、研修やワークショップの開催も行っています。病院等に対して患者目線での本音を伝えることで、今後の創薬や医療サービスの改善を促し、患者と医療従事者が対等な関係で疾患に向き合う、「患者協働の医療」の実現に向けた取組みです。

今後の事業展開としては、透析導入患者向けガイドブックを制作・発行します。完成後には、透析を実施している全国の病院等で、導入時教育の教材として、活用してもらう予定です。

Q. 『じんラボ』・『じんサポ』の取組みについて教えてください。

『じんラボ』では、病気の基礎知識、助成制度等の情報、食生活のヒント等、正しく有益な情報を発信しています。会員同士での情報交換も可能で、患者、家族及び医療従事者が、それぞれの体験や知識を共有するためのオンラインコミュニティとなっています。25年4月のサービス開始以降、会員数は順調に増加しており、30年4月時点で2,000名を超えました。

『じんサポ』は、当法人のホームページ上で参加を募った患者同士が集まり、不安や悩みを気軽に話し合い、互いに傾聴し、共に考えていくピアサポート活動(注)です。運営を支えるピアサポーターも患者であり、同じ患者の気持ちに寄り添い、ふれあい、気づきが生まれる「場」を提供しています。

以前はサポートされる側だった患者が『じんサポ』を通じて支えられたことを機に、今度は自身の経験を活かして別の患者を支える側に回りたいと、ピアサポーターになった事例がありました。それを聞いたときに、私自身もこの活動の大切さを再認識しました。今後も活動を継続していくことで、患者へのサポートの輪を広げていきたいと思っています。

(注)患者同士で体験を共有し、共に考えることで仲間を支えていく活動を「ピアサポート《ピア(peer=仲間)として互いに支え合う》」という。

Q. 日本公庫をご利用いただいた感想を教えてください。

日本公庫からは、ガイドブック制作のための資金を調達しました。非営利組織であり、借入を起こすのは難しいかもしれないと思っていましたが、担当者は事業内容、活動の意義等を正確に理解し、かつ、迅速に対応してくれました。今回のガイドブック制作は創業当初からの目標の一つであり、今回の資金でようやく完成の目途が立ったため、本当に感謝しています。

小規模でも特徴的な活動を行っている企業には興味があり、協働の可能性を探っていきたいのですが、私たちだけでは情報の入手、発信力に限界があります。公庫には事例紹介を通じ、全国で活躍するソーシャルビジネス事業者の情報を、積極的に発信してもらうことを期待しています。

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