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共に学び、共に成長する、フラットな場の提供

鳥取コミュニティプラットフォーム「FLAT」と日本政策金融公庫鳥取支店との活動レポート

公開日:2024.11.29

お話しいただいた方

鳥取県庁商工労働部産業未来創造課 主事 能登路 早織 様

所在地:鳥取県鳥取市東町1丁目220

団体概要:商工労働部産業未来創造課では、鳥取県内での産学連携・スタートアップ育成・県内企業の新事業領域への進出・新産業の育成など幅広いテーマに取組み、鳥取県におけるイノベーションの推進に取り組んでいる。
団体WEBサイト(https://www.pref.tottori.lg.jp/sangyoumirai/

日本政策金融公庫 鳥取支店 国民生活事業 融資課長 延原 清隆

鳥取の未来をつくる取組み

鳥取県の特徴について教えてください

能登路様

鳥取県は、ユネスコ世界ジオパークに認定されている山陰海岸ジオパークや中国地方最高峰の大山といった自然環境に恵まれた地域です。産業においては、豊かな自然環境や地域資源を生かした農林水産業などの第一次産業はもちろん、電子デバイス、電気機械、素形材などのものづくり産業や食品加工産業も盛んな地域です。また、宇宙や脱炭素の分野などの新たな産業を生み出す取組みも行っています。

一方、全国で最も人口が少ない県として、買い物・交通・医療面など様々な課題が顕在化してきています。そのような人口減少が進んでいく中にあって、持続可能な活力のある地域社会を目指して、地域の新規上場企業や成長力のあるスタートアップ、小規模であっても収益力の高い事業者、地域の課題を解決する持続的な暮らしを支えるビジネスの創出などの支援も行っています。

鳥取県の新産業の育成や地域活性化の取組みについて教えてください

能登路様

宇宙産業創出に向けて、令和5年7月に鳥取砂丘を月面に見立てた鳥取砂丘月面実証フィールド「ルナテラス」をオープンし、県内外の企業や研究者の協業が生まれつつあります。また、世界的にEVシフトが進む中、県内企業の技術力向上によるEV市場への新規参入を支援するため、「EV実装評価プラットフォーム」を構築し、県内技術などをEVに実装し評価する取組みを行っています。このほか、講談社と連携し、デジタルコンテンツで飛躍を目指す人材を育成する「とっとりクリエイターズ・ビレッジ」プロジェクトなどを進めています。

また、地域の起業家支援として、全国的な起業家育成プログラムへの参加を後押しするため「鳥取県スタートアップ人材応援プロジェクト支援金」という制度を創設したり、起業家や起業関心者が切磋琢磨しながら継続的に学べる環境づくりのため「FLAT(フラット)」という名称で毎月定例イベントを開催しています。その他にも、今後は地域課題解決などの地域に根差したビジネスを志す方に対し、アクセラレーションプログラムを実施する予定です。

気づきと体験。学びと成長。仲間との繋がり。

実際にやってきたことを教えてください

毎月の定例イベントはどのようなことを行っているのでしょうか

能登路様

「FLAT(フラット)」では、地域の起業家や起業関心層、何かしら新たなことをしてみたいといった方々が集まり、繋がり、切磋琢磨できる環境づくりを目指して、鳥取県八頭町でコミュニティ複合施設「隼Lab.」を運営されている(株)シーセブンハヤブサと連携し、交流の場としてのイベントを毎月開催しています。定例のイベントとして各回にゲストをお招きし、様々なテーマでトークセッションを行っています。起業や経営の話からコミュニティづくりの話、鳥取の未来の話まで、ゲストのトークセッションから気づきや学びを吸収し、自己成長の場にしていただければと思っています。その他、今回実施させていただいた事業計画策定セミナーのような勉強会も開催していきたいと思っています。以下、各イベントの内容を一部ご紹介します。

定例イベントの内容のご紹介

イベント概要①:地域で様々な形で活躍するゲストのトークイベント

まず、キックオフイベントとしてトークイベントを行いました。ゲストとして鳥取から世界へ事業を展開している企業の経営者、鳥取の地域資源を活かしたビジネスで鳥取を全国に発信している企業の経営者、子どもたちをはじめとした地域の方々が集まる地域食堂を営む大学生、ママコミュニティの運営など子育て中の女性の支援やアウトソーシング事業、起業サポートなどをされてきた企業経営者の方をお招きしました。「なぜその事業を始めたのか」「今後、どのように事業を推進していきたいか」などについてお話しいただき、ビジネスを行っていくうえでの経験談からの学びが得られ、鳥取県におけるビジネスのあり方、地域の将来について考えるきっかけとなる貴重な機会となりました。

イベント概要②:スタートアップ、事業承継、事業売却のトークイベント

経営をするうえで切り離せない「お金」の問題について、鳥取県内の経営者でスタートアップ企業を立ち上げた方や事業承継を行い活躍している方、事業立ち上げからM&Aまで経験した方にお話しいただきました。借入、出資、M&Aによる事業の売却など「お金」に関する不安は誰しもが抱くところです。そんな不安を払拭する、経験者だからこそ語ることができるお話がうかがえました。

イベント概要③:ソーシャルビジネスの事業計画策定セミナー

定例のトークイベントとは異なる勉強会として、日本政策金融公庫さんに御協力いただき、ソーシャルビジネスをテーマにセミナーを行っていただきました。ソーシャルビジネスを行ううえで、重要なポイントの一つは「想い」であり、こんな社会を実現したいという「想い」を明確にし、実際に言葉にすることが大切ということが実感できました。想いを発信することは、共感を得ることにも繋がります。今回のセミナーでは、想いを表現するワークのほか、収益の確保が難しいとされているソーシャルビジネスを続けるために多様な財源を上手く組み合わせることの重要性、また、主な財源(融資、助成金、寄付、クラウドファンディング)についての特徴や違いについてもお話しいただきました。

「ビジネスプラン見える化BOOK」を見たい方は日本公庫HPへ

今回のソーシャルビジネスの事業計画策定セミナーでは、日本公庫の「ビジネスプラン見える化BOOK」を使用しました。ご興味がある方は、是非、日本公庫HPの事業計画の策定ページをご覧ください。

社会課題解決を営む事業者支援への今後の展望

ソーシャルビジネスの事業計画策定セミナーにご参加いただいた方の声をお聞かせください

想いを明確にして事業計画にする大切さ

能登路様

「今回のセミナー参加前に、すでに事業計画の策定に着手していましたが、セミナーに参加してみて、自身の想いを誰にでも分かりやすく伝えられるか、原点に戻って考えることができました。」というお声をいただきました。社会課題解決に取り組むうえで、ご自身の活動を周囲に理解してもらい、協力者を増やしていくことは大切です。今回のようなセミナーで「想い」を言葉にして、支援機関などに話をし、フィードバックをもらいながら納得のいく事業計画を立て、事業として実現していただけたら嬉しいですね。

様々な財源の特徴から最適なバランスで

延原課長

「今回のセミナーでは、融資、助成金、寄付、クラウドファンディングといった様々な財源があること、そして、各財源の特徴について知ることができました。」というお声がありました。ソーシャルビジネスを行う際には、財源の特徴を知ったうえで、一つの財源にこだわらず、複数の財源を意識してみることも大切です。今回のセミナーの内容を活かして、資金計画を立ててもらえたら嬉しいです。

今後の展望について教えてください

誰もがチャレンジしやすい環境づくり

能登路様

当県では、以前から地域課題解決型起業支援補助金として、地域における課題解決のためのビジネスを行う事業者に対して、事業立ち上げに係る支援を行ってきました。これに加え、今年度からは課題解決に対する想いはあるものの、まだ事業計画の策定まではできていない方や更に事業計画を磨き上げていきたい方に向けて、「鳥取ミライビジネスプログラム」という3か月間の伴走支援プログラムをスタートしました。今後も課題解決への想いを持つ方々が少しでもチャレンジしやすい環境づくりを行うべく、支援の取組みを継続、展開していきたいと思います。

鳥取の未来を支えるサポート

延原課長

鳥取県は日本で最も人口が少なく、「社会課題先進県」とも言われています。その中で、鳥取の未来を築こうとする熱意を持った多くの方々が、社会課題解決に向けたビジネスに挑戦しています。しかし、「想いを事業計画にするのが難しい」、「マネタイズが難しい」といった声も多く聞かれます。

鳥取支店としては、県商工労働部と密に連携し、こうした課題に対するサポート体制を強化していきたいと考えています。具体的には、事業者同士が気軽に交流し、新たなアイデアやパートナーシップが生まれるような場を提供するとともに、事業計画のブラッシュアップや収益化のためのアドバイスを行い、皆さまの想いをカタチにするサポートをしていきます。

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