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事業計画作成は誰のため?自分自身と協力者のため!!

すいたソーシャルビジネス支援ネットワーク活動レポート

公開日:2023.11.28

お話しいただいた方

吹田市立市民公益活動センター センター長 春貴 いさお様

所在地:大阪府吹田市

団体概要:「吹田市立市民公益活動センター条例」に基づき、平成24年9月に開館した、市民公益活動を応援する施設を運営。市民の誰もが集える場として、団体の相互交流や情報提供を行うとともに、相談など、市民公益活動をより円滑に行うためのサポートをしている。
団体WEBサイト(https://suita-koueki.org/

日本政策金融公庫 吹田支店 国民生活事業
融資第二課長 山根 好博

事業者支援に連携の力を発揮

「すいたソーシャルビジネス支援ネットワーク」について教えてください

山根課長

日本公庫では、ソーシャルビジネスの担い手の皆さまが抱える経営課題の解決を支援するため、専門性の異なる複数の機関と連携した支援ネットワークを全国で構築しています(注1)。その一つが「すいたソーシャルビジネス支援ネットワーク」です(注2)。定期的な相談会の実施、相談をいただいた方の相互紹介、支援機関同士の意見交換などを行い、大阪府吹田市でソーシャルビジネスに取り組む事業者の方を支援しています。

(注1)ソーシャルビジネス支援ネットワークの詳細はこちら

(注2)ネットワーク構成機関:吹田市、吹田市立市民公益活動センター、大阪府行政書士会三島支部、日本公庫吹田支店

ネットワークでの支援内容や多く寄せられるご相談内容を教えてください

各機関の専門性を活かした支援

山根課長

社会課題解決のために新たに事業を始める方の相談が比較的多く、ネットワーク各機関の専門性を活かしながら支援を行っています。吹田市立市民公益活動センターが起点となり、事業を始めるにあたっての事業計画書の作成支援などを行います。そのうえで、大阪府行政書士会三島支部が法人設立や許認可取得に際しての手順や注意点を丁寧に支援しています。事業規模などにより資金の借入が必要となった場合には、日本公庫へ取次いでもらい、計画書について金融機関の目線からアドバイスするとともに、スムーズに開業できるように資金支援を行っています。また、開業後も経営課題に応じたサポートを継続的に行っています。

持続的な事業展開のサポートが重要

春貴様

最近では、居場所づくりに関するご相談が増えているように思います。特にコロナ禍以降は、孤独・孤立といった社会課題が浮き彫りになり、年齢や属性に関係なく、人との繋がりを実感できる居場所が求められているのかもしれません。しかし、地域の担い手不足が慢性的な課題となる中で、無償による活動では限界があります。社会資源を上手く活用し、持続可能な事業展開を行っていくためのサポートが必要です。

新しい一歩を踏み出すための事業計画作成

最近、ネットワークで取り組んだことを教えてください

事業計画作成セミナーの開催

山根課長

事業計画の作成は、現在事業に取り組んでいる方にとっても重要ですが、創業前の方にとっては最初の一歩であり、非常に重要なステップとなります。ソーシャルビジネスに取り組んでいる・取り組みたい方が、どんな地域や社会課題を解決したいのかという軸を持つためにも、避けては通れないと思います。そこで、ネットワークの方とお話して、今年度は、事業計画作成をテーマにセミナーを開催しました。以下、セミナーでお伝えした一部をご紹介します。

<セミナーチラシ>

セミナーでお伝えした概要を教えてください

(セミナー概要①)事業計画作成は自分自身のため、協力者のため

事業計画を作成する意義は2つあります。1つは、自分自身のためです。自分が考える事業構想を整理し、事業化するための課題と「やるべきこと」を明確にすることができます。もう1つは、出資者や協働先などの協力者のためです。協力者に事業構想やビジネスを伝え、理解が得られれば、力を貸してもらうことにつながります。

<セミナーの様子>

(セミナー概要②)事業計画作成の全体像

事業計画作成のフレームワークとして紹介する「ビジネスプラン見える化BOOK」は、次の3つのカテゴリで構成されています。なお、いろいろな考え方があるので、これが全てではありませんが、何から手をつけてよいか分からない方は、是非参考にしてください。

  • 社会を変える計画:組織使命・現状把握・実現仮説・成果目標
  • 資金調達計画  :財源基盤
  • 組織づくり計画 :組織基盤

<事業計画作成の全体像>

(セミナー概要③)社会を変える計画「組織使命」

組織使命は、いわゆるビジョン(作りたい社会像)、ミッション(ビジョン実現のための役割)のことです。目指すものが明確であればあるほど、組織の方向性のブレがなくなり、一体感が生まれます。理想の社会を実現する覚悟が表れているか、組織内外に浸透するかを意識し、組織使命として「当事者(受益者)」「理想の状態」「活動エリア」の3つを明確にしていきます。

<組織使命の例>

(セミナー概要④)社会を変える計画「現状把握」

右図の現状把握の例では、発生している問題と要因(中流)、その背景の要因(上流)、結果として新たに生まれる悲劇(下流)について、事実と仮説を洗い出しています。こうすることで、表面上の問題だけではなく、問題が生じている構造全体を捉えることができます。ここで注意していただきたいのは、当事者(受益者)を中心に考えることです。ふと気がつくと当事者ではなく自組織を中心に問題を捉えていた、ということが起こるからです。

<現状把握の例>

「ビジネスプラン見える化BOOK」を見たい方は日本公庫HPへ

以上がセミナーの内容の一部です。今回のセミナーでは、社会を変える計画を中心にお伝えしました。ご興味がある方は、是非、日本公庫HPの事業計画の策定ページをご覧ください。

<ビジネスプラン見える化BOOK>

ネットワーク活動の今後の展望

今回のセミナーに参加いただいた方の声をお聞かせください

第一歩は想いを形に

春貴様

「フローチャートに沿って事業計画を作成していくので、これから事業を始める人や始めたばかりの人でも、取り組みやすい」といった声をいただきました。事業計画と聞くと、難しく考えがちですが、まずは自身の想いを形に表すことが重要です。まだ事業計画を作成していない方は、是非「ビジネスプラン見える化BOOK」を活用してほしいですね。

スタッフとの理念共有に活用

山根課長

「事業を拡大してスタッフが増えていくと、理念共有に課題が生じるので、スタッフとともに事業計画を見える化していきたい」といった声もありました。経営陣だけではなく、スタッフも含めて事業計画作成に取り組むことで、理念共有の促進につながるとともに、新たなアイデアも生まれることでしょう。また、解決を目指す社会課題を明確にし、社外へ発信することで、新たな連携先や仲間といった協力者の発見につながるのではないかと思います。

今後の展開について教えてください

地域の事業者同士がつながるきっかけづくり

山根課長

今回のセミナーでも定員を上回る応募があり、参加者の熱い想いを感じることができ、改めてこのネットワークの重要性を認識できました。今後はネットワークでできることを、より多くの事業者へ届けるとともに、日頃から横の繫がりが希薄となりがちな事業者のために、地域の事業者同士が気軽に交流し、コラボレーションできるような機会を提供していきたいと思います。社会課題がこのネットワークの活動を通じて1つでも解決・改善されることを願っています。

ネットワーク構成機関の声

大阪府行政書士会三島支部では、ネットワークの一員として、事業者の方の事業立ち上げや新たな分野の事業開拓に関して、法人の設立、許認可の取得などの専門知識が必要な部分を支援させて頂いております。

今回の活動の事業計画作成セミナーでは、事業立ち上げ時の「想い」を「事業計画」に落とし込んでいくことの大切さを実感しました。ソーシャルビジネスは「想い」から始まりますが、「想い」を形にして、事業として継続させるためには、様々な課題を乗り越えて行かなければなりません。資金問題、事業化問題などの一個人、一組織では対処困難な課題に対しては、我々ネットワークを大いに利用して頂きたいと思います。

大阪府行政書士会 三島支部 向井 貴 様

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