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ネットワークの力で事業者の成長をサポート!

ソーシャルビジネス成功のカギの一つは事業計画にあり

公開日:2023.7.18

お話しいただいた方

公益財団法人 ふじのくに未来財団 専務理事 千野 和子 様

所在地:静岡県静岡市

団体概要:静岡県民・団体からの寄付を元に、地域課題の解決に取り組むNPOや活動を支援し、人々の心のこもったお金の流れを生み出す市民コミュニティ財団。県のNPO活動支援センターの運営も受託している。
団体WEBサイト(https://www.shizuokafund.org/

日本政策金融公庫 静岡支店 国民生活事業
融資第二課長 白田 誠一

連携で広がる支援の可能性

「ふじのくにソーシャルビジネス支援ネットワーク」について教えてください

白田課長

日本公庫では、ソーシャルビジネスの担い手の皆さまが抱える経営課題の解決を支援するため、専門性の異なる複数の機関と連携した支援ネットワークを全国で構築しています(注1)。その一つが「ふじのくにソーシャルビジネス支援ネットワーク」です(注2)。2カ月に1度「ソーシャルビジネスお悩み相談会」を実施する等、静岡県でソーシャルビジネスに取り組む事業者の方を支援しています。

(注1)ソーシャルビジネス支援ネットワークの詳細はこちら

(注2)ネットワーク構成機関:公益財団法人ふじのくに未来財団(以下、未来財団)、日本公庫静岡支店、同浜松支店、同沼津支店、静岡県、静岡県信用保証協会、静清信用金庫

ネットワークで支援することの意義やメリットは?

専門機関の連携により、様々な相談にワンストップでの対応が可能に

千野様

専門性をもつ機関が連携することによって、さまざまな経営課題を抱える方に一括して支援ができることでしょうか。事業者の方からの相談内容は、事業計画策定や助成金・補助金・融資などの資金調達、組織運営に関わることなど多岐にわたります。専門機関が連携することで、スムーズな支援ができるようになりました。

白田課長

金融機関の立場からすると、ネットワークへの参画によってソーシャルビジネス事業者の方にアプローチしやすくなったと感じますね。なかには、金融機関への相談は敷居が高いと感じる方もいらっしゃって、最初から融資を諦めてしまっている場合もあります。未来財団には、そういった方々からも多くの相談が集まります。そこに、我々のような金融機関が、事業計画や資金面でアドバイスすることで、必要な支援を届けることができるようになりました。

ネットワークの力が発揮できた具体的な支援事例を教えてください

事業の成長ステージに応じたサポート

千野様

ある小規模事業者を支援した事例です。事業の立ち上げ時には、未来財団の創業支援助成金で支援を行いました。その後、行政から事業を受託して事業規模が大きくなるなかで、運転資金が必要になりました。その際に、ネットワーク主催の「ソーシャルビジネスお悩み相談会」に参加していただいて、日本公庫静岡支店と静清信用金庫からの融資につなげることができました。ネットワークが連携することで、事業の成長ステージに応じた支援ができた良い事例だと思います。

ソーシャルビジネス成功のカギの一つは「事業計画」

ソーシャルビジネスを支援するなかで、重要だと感じることは?

事業を継続、成長させるためには「事業計画」の作成が重要

千野様

目の前の活動に精一杯で、長期的な事業計画を考えるところまで手が回らないとおっしゃる方も多いです。一方で、目指す方向と取組みを明確にして、活動を持続させていくためには、事業計画をしっかり立てることは、とても大切なんですよ。当財団は助成事業を実施していますが、助成金獲得には事業申請書が大変重要になります。

<ビジネスプラン見える化BOOK(詳細はこちら)>

白田課長

ソーシャルビジネスを始めようとする方は、社会課題の解決に向けて熱い想いや高い志をもっていらっしゃる方が多く、こちらも胸が熱くなります。ただ、どのようにビジネスにしていくのか、組織としてどう展開していくのかとなると、言葉に詰まってしまう方が多い。そこで、記入することで事業計画が明確化できる「ビジネスプラン見える化BOOK」(以下、「見える化BOOK」)というワークブックをお渡しして、「まずは事業計画を立ててみませんか」と提案しています。

事業計画の作成について、どのような支援をしていますか

ワークショップの開催で、事業計画の重要性を啓発

千野様

事業計画の重要性を知ってもらうため、2022年10月にワークショップを実施しました。まずは、事業計画に取り組むためのきっかけづくりの場として参加を呼び掛けたところ、2団体にご参加いただきました。

<ワークショップ募集チラシ>

白田課長

ワークショップでは、「見える化BOOK」を活用して、事業計画の作成に取り組んでいただきました。最初から一人で事業計画を考えるのは大変なので、代表者だけでなく一緒に事業に取り組む仲間にもご参加いただきました。「見える化BOOK」は、自身の地域課題の解決に対する想いや、活動を持続させていくために必要な「社会を変える計画」「資金調達計画」「組織作り計画」といった要素を整理するためのフレームワークです。6つのステップでこれらの要素を整理し、最後に参加者同士で発表していただきました。

<ワークショップの様子>

事業計画の作成支援に取り組んだ結果、どのような効果がありましたか

取り組むべき課題を整理し、仲間と認識を共有。事業スタートへ

千野様

ある事業者は、事業計画の作成に取り組んだおかげで、2023年の4月から事業をスタートさせることができました。ワークショップの成果が生かされたことを、うれしく思います。ソーシャルビジネス事業者は、小規模で、なかなか収益を上げるのが大変な分野で活動していることが多いです。事業計画を作成することで、長期的な視点を持って安定した活動ができる事業者が増えていけば、持続可能な地域の課題解決にもつながっていくと感じています。

白田課長

「考えていることを書き出して仲間と話し合うことで、取り組むべき課題が整理できた」という感想もいただきました。一緒に活動している仲間同士でも、課題の認識共有ができてない場合もあるので、まずは仲間で議論する機会を作ることも大切ですね。支援者側の立場としては、事業計画の作成支援を通じて、事業者が解決すべき課題への理解が進み、より効果的なアドバイスができるようになったと感じます。今後も、事業計画の作成支援には継続して取り組んでいきたいです。

ネットワーク活動の今後の展望

今後、ネットワークの支援にどのような広がりを期待していますか?

参画者を増やして支援の輪を広げる

千野様

静岡県は東西に長いので、ネットワークの輪が広がり、どの地域にお住まいの方でも身近に相談できる場所が増えていけばいいなと感じます。また、より多くの地域金融機関にネットワーク参画の機運が広がり、連携していくと嬉しいです。

白田課長

ソーシャルビジネスは、寄付や支援を集めるためのPR支援も重要なので、多くの人に取組みを知っていただくために、新聞社とか、マスコミ関係の方に協力していただくのも効果的かなと考えています。ソーシャルビジネス事業者は、個人の想いからはじまって、周囲も巻き込みながら、ものすごいエネルギーと時間を費やして、地域の課題解決に取り組んでいます。市民、企業、行政、支援機関など、様々なプレーヤーが連携してこうした活動を支援することが、地域の課題解決にもつながると思います。

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