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結婚と共に移住、創業。
専業主婦は考えられませんでした
バックパッカーで利用したホステルを自ら経営。
「勇気を持って飛び込んだら、地元の人は優しかった」と語る未知の土地で起業したIターン創業者である。
広島の中心部。原爆ドームからほど近く、観光客と地元の人々の日常が共存する街に、「THE EVERGREEN HOSTEL」がある。ホステルとは相部屋が基本で、バックパッカーなどが利用しやすい価格設定の宿泊施設である。
創業のきっかけは、広島の企業に勤めるパートナーとの結婚。月次の収支報告書を作成しながら梅本さんは言う。
「収支報告書を待っているのは夫です。夫は自動車メーカーで部品の買い付け部門に携わっているので、私が勤務していた会社の上司よりも数字に厳しいです。公庫さんに融資を受けたときよりも厳しい質問が出ますよ(笑)」
梅本さんがホステルに興味を持ったのは、バックパッカーとしてアジア諸国を旅した経験に拠る。「アジアの雑然とした街の雰囲気に惹かれた」ゆえに、宿選びに困ったときは、予約サイトで一番安いホステルを選択していたというチャレンジャーである。一方のご主人は「海外旅行の1日目でお腹をこわすタイプ。相部屋なんて無理」だという。
旅に関して全く違う価値観を持つ2人は、梅本さんが大胆に事業計画を立て、ご主人は細かいチェックで手堅い経営をサポートする。企業の社長と監査役と考えると、理想的な役割分担である。
「結婚を機にホステルを経営したいと言ったら、夫は『そう来たか』と(笑)。でも私に専業主婦を求めていたわけではないので、真摯に話を聞いてくれました。資金は自己資金と親からの援助、そして公庫さんからの融資を加えて事業計画を立て、夫の厳しいチェックを受けました」

ベッド数は女性用8人分、家族などの男女共用16人分。1泊2900円から。
利用者は9割が外国人観光客で、イギリス、オーストラリア、ドイツ人が多い。マツダスタジアムまでのアクセスも良いため、広島カープの応援に来た「カープ女子」の宿泊もあるという。

会社勤めしながら物件探し 英会話クラブで人探し
ホステルの要となるベッドの調達は、クラウドファンディングを使った。
クラウドファンディングとは、起業や商品開発、アイデアの実現などを目的に、インターネットを通じて資金を集める手法である。梅本さんはファンドの目標額を50万円に設定し、使用目的を「頑丈できしまないベッドを作るための材料費」と具体的に提示した。結果、目標額を上回る金額が集まり、ホステルの売りとなるオリジナルベッドの製作が実現した。
困難だったのは、物件探しである。「ホステルは毎日、不特定多数の人が出入りするので、物件オーナーに好まれません。そのためたくさんの候補から選択することはできませんでした」
当時、梅本さんは東京の会社に勤めながらの物件探しである。そこで、すでに広島に勤務しているご主人に会いに行く「ついでに」月1回くらい、東京と広島を往復して物件を決定する。並行して、都内にある日本公庫の東京ビジネスサポートプラザへ足を運び、創業に関する様々な情報収集を行った。


ご主人も梅本さんも東京生まれ。移住先では、食を始めとした文化の違いに戸惑うものだが、父の転勤でさまざまな土地に移り住み、バックパッカーも経験した梅本さんにとっては大きな問題ではなかった。優先すべきは人間関係の構築だったと言う。
「とりあえずは近所の英会話クラブに顔を出して友だちを作りました。実際、ホステルの壁塗りを手伝ってくれたのはそこでできた友人ですし、『一緒にスイカを食べよう』と持ってきてくれる人もいます。アルバイト募集の貼り紙を出したら、同じビルの整骨院に来ていた60代の男性が応募してくれましたし、英語を話せる70代の女性も手伝ってくれています。年齢に関わらず、英語のスキルを持ち、それを使いたい方たちが多いと実感しています。周辺は下町っぽさがあるので、いい意味でのおせっかいに助けられています」
そして今、梅本さんのお腹の中には新たな生命が宿っている。知らない土地で出産する不安は?と尋ねると「どこで産んでも不安は同じ」という答えが返ってきた。
「Iターンでの創業には何か特別な勇気が必要と思うかも知れませんが、未知の土地であっても、皆、頑張っている人には優しいものです。案ずるより産むが易しですね」

結婚前、観光客として訪れた経験をもとに、広島の見どころガイドを作成している。
創業までの歩み

- 大学卒業後、都内の電鉄会社に勤務。
結婚が決まり、広島移住が具体的になり、転職サイトに登録。同時に創業を考えはじめる。
- 地方であれば参入余地があると思い、ホステルの形態が具体的になる。
- 日本公庫の東京ビジネスサポートプラザなどへ相談。
物件決定。
- 結婚と同時に会社を退職し、広島に移住。
- 創業。ホステルオープン。
ビジネスサポートプラザとは?
日本公庫 国民生活事業が全国6ヶ所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)に設置し、創業計画書の立て方など創業に関する相談に対して事前予約制で対応している。
全国152支店の支店網を活かし、各地のUIJターン創業に関する情報提供も行っており、UIJターン創業を思い立ったらまずは最寄りのビジネスサポートプラザに足を運んでみてほしい。
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梅本 葉月さん うめもと はづき |
Campany info
THE EVERGREEN HOSTEL |
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※内容は2016年10月時点のものです。