NPO×企業連携事例
中国伝統文化等の保全・発展
さまざまな企業とのコラボ製品を製造・販売し、伝統的な尾道帆布をより身近な存在へ!
尾道帆布製品の製造販売
NPO法人工房おのみち帆布
- 所在地
- 広島県尾道市土堂2-1-16
- 事業内容
- 尾道帆布製品の製造販売
尾道帆布製品の販売店舗尾道帆布製のサコッシュ
- 取り組む社会課題
- 尾道帆布の伝統の保全、地域活性化
- ミッション
- 尾道の伝統産品であった帆布を文化・芸術として普及するための事業を行うことで、文化・芸術の振興、まちづくりの推進、環境の保全など、地域社会全体の利益の増進に寄与すること
ここからは、NPO法人工房
おのみち帆布の
代表理事の島田様への
インタビューレポートとなります!
連携・協働の取組み
- 他社との連携・協働により生まれる新製品
- 工房おのみち帆布では、伝統ある「尾道帆布」の魅力を発信するため、帆布生地・帆布製品の製造販売や、帆布のことを知っていただくためのイベント運営などに取り組んでいます。もともと船の帆やテント等に使われていた帆布は、強度に優れ、馴染みやすい質感なので、さまざまな製品の素材として活用することができます。そのため、他の事業者からお声掛けいただき、協働して新製品を開発することも珍しくありません。協働をきっかけに生まれた定番製品としては、満一歳の誕生日を祝うお餅(誕生餅)を背負わせるリュック、医療用酸素ボンベ用バッグなどがあります。どちらも、協働先から、帆布の特徴である頑丈さを活かしたいという要望をいただき、製品化したものです。
- 連携・協働によるメリット
- 「尾道帆布」の伝統を守るには、より多くの人に「尾道帆布」に触れてもらうための接点をつくり、魅力を感じていただくことが重要です。そういう意味では、連携・協働により新製品を生み出すことは、お客さまとの接点づくりにもつながります。例えば、飲食店を営む協働先からは、地元の製品とコラボしたいとの要望をいただき、帆布生地のメニュー表カバーを利用いただいています。飲食店のお客さまが必ず触れるであろうメニュー表に、「尾道帆布」のロゴ入りの生地を利用いただくことで、お客さまとの新たな接点が生まれています。このような良いかたちのコラボレーションが生まれることを期待しておりますので、連携・協働の依頼は歓迎です!
連携・協働にあたり苦労したこと
- 活動を盛り上げるために地域一体で取り組む
- 今でこそ多くの方から問合せをいただくようになりましたが、活動当初は「尾道帆布」の知名度は決して高くありませんでした。そこで始めたのは、地域の方々を巻き込みながら「尾道帆布」の魅力を発信することです。商店街の方々や学生と連携しながら、帆布を使った制作活動の展示会や、帆布で小物を制作できるワークショップなど、さまざまなイベントを開催しました。地域一体で盛り上げて、多くの人が集まったことで、地域外からの注目度も高まったと考えています。
今後の見通し
- 連携・協働先を引き続き募集します!
- 「自社製品に帆布素材を使ってみたい。」「新製品の企画段階から相談したい。」など、お気軽にお声掛けください。ご要望には可能な限り対応させていただきますが、生産設備・人員には限りがありますので、ご理解の程お願い致します。
有識者の声
一般財団法人KIBOW社会投資ディレクター/グロービス経営大学院教員
山中礼二
「帆布(はんぷ)」と呼ばれる強力頑丈な綿繊維は、かつては帆船の帆など様々な用途に使われ、尾道の発展を支えてきました。地域にとって大切な「尾道帆布」を絶滅させないよう、これを使った商品開発と販売を行っているのが、NPO法人工房おのみち帆布です。この団体は、様々な事業者と協働して新市場を開拓しています。この記事でご紹介した、誕生餅や医療用酸素ボンベのコラボ商品は、いずれも尾道市の事業者との協働事例です。
イノベーション(革新)は、今までになかった要素を結合することで生まれます。帆布×贈答品、帆布×医療など、素材の強みを活かした「新結合」を次々と生み出していらっしゃる点は特筆に値します。多様な商品の開発によってお客さまとの接点を生む取組みのほか、店舗の一部を、帆布製の雑貨の創作・発表の場として学生に貸し出しており、さまざまな人が帆布素材に触れる機会をつくることにも取り組んでいます。このような取組みが、帆布の認知度を高め、帆布製品のニーズ組成にも結び付きます。伝統技術を失いつつある多くの地域に「あきらめるのはまだ早い」というメッセージを与えてくれる好事例です。