融資業務

長期資金の安定供給により民間金融を質と量で補完しています

長期資金を専門に取り扱っています

中小企業者が円滑に成長・発展していくには、適時的確な設備投資の実施と継続的な財務体質の強化が必要であり、このため長期資金の安定的な調達が不可欠です。しかし、一般的に中小企業者は大企業と比較して資本市場からの資金調達が困難であるなど、資金調達の手段が限られています。

中小企業事業では、長期資金を専門に取り扱っており、融資の過半が期間5年超の長期資金で、すべて償還計画が立てやすい固定金利となっています。

中小企業事業は、民間金融機関を補完し、わが国経済にとって重要な役割を担う中小企業者の皆さまの長期資金ニーズに応えています。

融資期間別貸出状況(金額構成比)(令和4年度)5年超 74.2% 5年以下 25.8% (注)すべて固定金利

事業資金を安定的に供給しています

中小企業事業の融資の伸びは、リーマン・ショック後の景気低迷期などには高く、逆に景気回復期には低下しています。

中小企業事業は、民間金融機関を補完するという見地から、中小企業者の皆さまに事業資金を安定的に供給しています。

中小企業者向け貸出残高伸び率(対前年同期比)

(資料)日本銀行「現金・預金・貸出金」

(注)1. 国内銀行は、中小企業向けの事業資金貸出残高の銀行勘定です。
2.平成12年4月に中小企業の定義が変更されたため、平成12年6月~平成13年3月の国内銀行の伸び率は、新基準と旧基準の比率等をもとに日本公庫において試算しています。

時代の要請に応じて政策性の高い特別貸付の推進に取り組んでいます

セーフティネット

新型コロナウイルス感染症の拡大当初の緊急的な資金繰り需要は落ち着いてきたものの、コロナ禍長期化の影響により、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者の皆さまをはじめとした厳しい経営環境にある中小企業者の皆さまに、「セーフティネット貸付」、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等による融資を行い、資金繰りや事業の再建を支援しました。

新型コロナウイルス感染症関連の融資実績

新事業・スタートアップ支援

高い成長性が見込まれる新事業に取り組む中小企業者の皆さまを支援する「新事業育成資金」及び我が国の経済成長及び社会課題の解決を先導することが見込まれるスタートアップの成長を支援する「スタートアップ支援資金」の融資に積極的に取り組んでおり、制度がスタートしてからの累計実績(注)は15,963先・7,693億円にのぼっています(令和5年3月末時点)。また、企業が新たに発行する新株予約権を取得することにより、無担保資金を供給する「新株予約権付融資」があります。

(注)新事業育成資金は平成12年2月から、スタートアップ支援資金は令和5年2月から制度がスタートしています。融資実績には、挑戦支援資本強化特別貸付を含みます。

「新事業育成資金」の融資実績、「新事業育成資金」のうち、新株予約権付融資の実績

資本性ローン

新規事業や経営再建に取り組む中小企業者の皆さまの財務体質強化を図るために、民間金融機関と連携し、「挑戦支援資本強化特別貸付(旧挑戦支援資本強化特例制度)」を適用して支援しています。本制度による債務については、金融機関の債務者区分判定において自己資本とみなすことができます。

資本性ローン融資実績の推移

海外展開支援

「海外展開・事業再編資金」による融資、スタンドバイ・クレジット制度やクロスボーダーローンによる海外現地法人等の資金調達支援、経営相談への対応、進出企業間の交流会の開催などにより、中小企業者の皆さまの海外展開を積極的に支援しています。

令和4年度における「海外展開・事業再編資金」の融資実績は、434先、405億円となりました。

「海外展開・事業再編資金」の国・地域別実績内訳(令和4年度)

スタンドバイ・クレジット制度は、中小企業者の海外現地法人等が、日本公庫の提携金融機関から現地流通通貨建て長期資金の借入を行う際、その債務を保証するために公庫がスタンドバイ・クレジット(信用状)を発行することで、海外での円滑な資金調達を支援するものです。提携金融機関はアジアを中心に、令和5年3月末時点で15行となっています。

また、全国各地の地域金融機関と連携したスキームも構築しており、令和5年3月末時点で全国61の地域金融機関と連携しています。

令和4年度は9の国・地域の提携金融機関に対して信用状を発行し、その利用実績は82先となりました。

クロスボーダーローンは、海外現地法人に対して日本公庫が直接融資する制度です。ご利用いただける国・地域は、タイ、ベトナム、香港、シンガポール、フィリピンとなっており、令和4年度の融資実績は94先、76億円となりました。

クロスボーダーローンのスキーム図

事業承継・集約・活性化支援資金の融資実績

中小企業事業は、後継者が不在である企業のM&Aや、安定的な経営権確保のための自己株式取得など、事業や企業の承継・集約に取り組む中小企業者の皆さまを支援するため、特別貸付「事業承継・集約・活性化支援資金」による支援を行っています。

中小企業庁は、「事業承継・再編・統合による新陳代謝の促進」を平成30年度以降の重要政策の一つとして位置付けています。当事業は、今後も本融資制度を活用し、事業や企業の承継・集約に取り組む中小企業者の皆さまの支援に取り組んでいきます。

「事業承継・集約・活性化支援資金」融資実績

(注)令和4年度から挑戦支援資本強化特別貸付も実績値に含みます。

保証人に依存しない融資

中小企業事業では、従前から経営者保証に依存しない融資に積極的に取り組んでおりますが、平成26年2月に「経営者保証に関するガイドライン」の適用が開始されたことを受け、保証人の取扱いについて、よりご利用しやすいように変更し、すべてのご融資申込先に対して、ご案内した結果、保証人に依存しない融資実績が着実に増加しています。

保証人に依存しない融資実績

保証人に依存しない融資実績

(注)資本性ローン(無担保・無保証人の制度)での融資を含みます。

企業の成長に貢献します

公庫資金をご利用された方々が多くの分野でご活躍されています

これまで中小企業事業との取引を経て、株式の公開を果たした企業は、株式公開企業の約2割にあたる783先(注)となっています。多くの方々がわが国を代表する企業として活躍されています。

平成元年以降についても、中小企業事業との取引を経て株式を公開した企業は618先(注)と株式公開企業の約2割を占めています。

(注)先数は令和5年3月31日時点において株式を公開している企業数です(上場廃止、合併による消滅等を除く)。

中小企業事業と取引歴を有する株式公開企業3,784先中合計783先 中小企業事業と取引歴あり783先(20.7%) 平成元年以降に中小企業事業との取引を経て株式を公開した企業 2,561先中 合計618先 中小企業事業と取引歴あり 618先(24.1%)(注)日本公庫中小企業事業調べ。株式公開企業数は、令和5年3月31日時点。農林・水産、金融・保険及び外国企業を除きます。

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