創業コラム

創業へのステップ

第2回 ターゲットの絞り込みを行い集客プランを具体化しよう

ターゲティング

ペルソナ設定

前回のコラムでは、ビジネスアイデアやコンセプトの整理についてご説明しました。今回は、事業計画を具体化するにあたっての次のステップとして、集客プランについて考えていきます。

創業にあたっては、一般的に「ヒト」「モノ」「カネ」の経営資源が大事だと言われますが、創業者はこれらの経営資源が乏しいため、効率よく集中的に事業を進めていく必要があります。そのためには、ターゲットとする客層を絞り込み、客層に適した集客方法をとることが重要です。

1. ターゲティング

あなたの商品・サービスは「誰」に適しているのでしょうか。昨今では人々の趣向が多様化してきているため、誰に適しているのかを考えないと誰にも当てはまらないもの(=需要の乏しいもの)を世に提供することになってしまいます。そうならないために、ターゲットは「絞り込む」必要があるのです。これをターゲティングと言います。ターゲティングを行うには、①エリアや地域といった地理的な要素や②年齢・性別・家族構成・職業といった人口統計学的な要素、③ライフスタイルやパーソナリティーといった心理的な要素、④購買頻度や使用状況、ロイヤルティといった行動的な要素から絞り込みを行います。①と②は客観的で、③と④は主観的な要素と言えます。特に「誰」を意識するときは③と④に注目しましょう。ただいきなり③や④はイメージしにくいでしょう。そのようなときはペルソナ設定を行います。

ペルソナ設定

ペルソナ設定とは、自分の商品・サービスを使っている人をより具体的にイメージすることです。下記はとある居酒屋のペルソナ設定例です。

  • 居酒屋のペルソナ設定例
  • 都心まで電車で1時間の埼玉県内在住
  • 池袋の大手IT企業に勤務
  • 42歳。課長、3人の部下がいる
  • チームのノルマが厳しい
  • 家族構成は年上の妻、中学生2年生と小学生6年生の娘
  • 家族は自分以外女性のため、家に帰っても居場所がないと感じることがある
  • 酒を飲むのが趣味。ガッツリとしたつまみが好き
  • 小遣いは4万円
具体的なペルソナを設定すると、自社の商品やサービスを利用する人がイメージしやすくなります。商品やサービスのブラッシュアップにも使えるので、ぜひペルソナは創業の早い段階で設定しましょう。

2. 集客方法はターゲティングから考える

集客方法には大きく分けて、オフライン集客とオンライン集客があります。近年はインターネットやスマートフォンを各年代の方々が使いこなせるようになってきたため、オンライン集客が主流となっています。ただし対象とするターゲットの居住地や年齢などによってはまだまだオフラインの方が効果的な場合も多くあります。設定したターゲットがどのような媒体で情報にアクセスするのかをイメージし、ターゲットにあった集客方法を考えていきましょう。以下では、主な集客方法についてご紹介していきます。

■オフライン集客

Webやインターネット技術を使ったもの以外の販促手段です。旧来からの手法ととらえてもいいでしょう。次のような手法があります。

ポスティング、折込チラシ、チラシ配り
宣伝用のチラシを作り、周辺家庭のポストに入れたり、新聞に挟み込んで一緒に配布してもらったり、道行く人に手渡しで配布する方法です。飲食店や住宅リフォーム店、小売店など周辺地域の住民が顧客の場合には有効な集客方法です。

テレビ・新聞・雑誌等広告
テレビや新聞、雑誌等の媒体に広告を掲載する方法です。コストが高い割には効果がわかりにくいです。比較的お金に余裕があり、広く多くの人に広告を届けたい場合に有効です。

ダイレクトメール
宣伝用の手紙を作成し郵送する方法です。ビジネス向けでの利用が一般的です。業種別やエリア別に企業リストを提供している企業からリストを購入し送ります。リストは自社で収集したものを活用する場合もあります。ダイレクトメールは送付先のリストがとても重要です。

テレアポ、飛び込み営業
テレアポはリストにあるところに電話を行い、自社の商品・サービスを案内しアポイントをとったり、販売したりします。飛び込み営業は、企業や家庭にアポイントなしで訪問し、自社の商品やサービスを案内し、販売します。テレアポや飛び込み営業はニーズがないところにも当たらなければならないため非常に非効率です。

■オンライン集客

Webを使った集客です。Webマーケティングともいいます。消費者が何らかの商品やサービスを購入する際にWebを使って情報収集することが一般的となりました。次のような方法があります。

ホームページ
Webマーケティングの王道とも言っていいでしょう。大概の消費者は自分が知らない商品名や会社名をみた場合、検索エンジンで検索し、会社や商品のホームページを探し閲覧します。ホームページは自社の名刺代わりのようなものです。あって当たり前のようにとらえられているので、創業したならば最初に作成することをお薦めします。

ランディングページ
自社が販売したい商品やサービスに特化して、詳しく情報提供し販売を促すWebページです。単純に商品の内容を説明するだけでなく、商品の特徴やメリット、商品から得られる効果、他商品との違いや優位性など、自社の商品が優れている点を訴求し購入を促します。

SEO対策
SEO対策とはGoogleやYahoo!といった検索エンジンで、自社のサイトを検索上位に表示させるために行う対策です。多くのWeb利用者は気になるキーワードを検索エンジンで検索し、検索上位に表示されているコンテンツを閲覧します。自社のユーザーが検索するであろうキーワードをうまくページに盛り込んだり、他社のサイトからリンクをもらったりして対策します。

リスティング広告
GoogleやYahoo!といった検索エンジンにてキーワードに連動した広告を検索結果に表示する手法です。広告主は予め広告を表示したい検索キーワードにクリック単価を入れておきます。単価が高いほど上位に表示される入札方式です。

SNS
FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINEといった、投稿を共有できたり、利用者同士でコミュニケーションが行えるものです。基本的に無料で使えます。SNSでも広告配信ができ、リスティング広告と同様、よりターゲットに近い人に絞り込んで費用対効果の高い広告が行えます。

動画サイト
YouTubeやTiktokなどの動画サイトに動画を投稿し、閲覧してもらう方法です。動画の配信、閲覧は基本的に無料で利用できます。近年動画を閲覧する人が増えており、動画を使ったマーケティングは重要性を増しています。

MEO対策
飲食店や小売店といった実店舗を検索する場合に、Googleマップなどの地図アプリで検索し、対象の店舗を探すことが増えています。MEO対策はこの地図アプリでの検索に対して、上位に表示させるために店舗プロフィールや口コミ、評価などで対策します。

いかがでしたでしょうか。自社のターゲット層にあわせて、これらのオフライン集客とオンライン集客の手法を組み合わせることで、最適な集客プランを考えていきましょう。

掲載日 令和5年11月22日

プロフィール

三浦 高 三浦 高

V-Spirits 総合研究所株式会社 代表取締役・中小企業診断士
https://v-spirits.com/

資金調達支援(融資、補助金)、事業計画書策定支援、起業支援、ハンズオン支援を中心に活動。全国各地で資金調達や起業、経営に関するセミナーや研修の講師を多数務めている。

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