創業コラム

創業へのステップ

第1回 ビジネスアイデアやコンセプトを整理しよう

ビジネスアイデア

コンセプトの整理

マーケットイン

皆さんが創業したいと考えたとき、何から始める必要があるのでしょうか?
まずは、なぜ創業するのか、何をしたいのかを考え、ビジネスアイデアとコンセプトをまとめるところから始めることをお勧めします。

ビジネスアイデアとは、これから行おうとするビジネスの案です。コンセプトとはビジネスアイデアを端的に表したものです。これができていないと創業しても考えが定まらず、右往左往してしまいます。最初の段階できっちりと固めてから、創業しましょう。

ビジネスアイデアの3つのゾーン

創業時にビジネスアイデアをまとめていくには、次の3つのゾーンで考えます。

  • やりたいこと
  • できること
  • 社会のニーズ

1. やりたいこと

文字通り自分がやりたいことですね。皆さんがこれまでの人生の中で夢に思っていて実現できていないことはなんでしょうか。また、やりたいことが実現できていたとしても、本当にやりたいことができているでしょうか。
例えばアパレルショップで販売の仕事をしていて、アパレルが大好きで販売の仕事は楽しくやりたいことをやっているけれども、本当は「自分でブランドを立ち上げて、自分のブランドに共感してくれるお客様が欲しいと思うものを提案し、喜んでほしい」と思っている場合はこれにあたります。
考えているビジネスアイデアが本当にやりたいことなのか、今一度よく考えてみましょう。

2. できること

できることは自分のこれまでの経験から培ったものですね。起業して成功するには、明確なビジネスアイデアが必要です。あなたが身をもって経験してきたこと、実践してきたことでないと、どこか曖昧なところが残ってしまい、明確なビジネスアイデアにはなりません。また、さまざまな競合ひしめく市場に打って出ていくには並のビジネスアイデアでは通用しません。あなたにしかない強みを提供していくのが成功への一番の近道です。
あなたにしかない強みを明確にしていくためには、自分の経験や強みを棚卸し(自己分析)してみましょう。生まれてから今に至るまでの人生を年表のように書き出します。

  • 今までの人生で経験してきたこと
  • 自分が持っているスキル
  • 自分が活用できそうな人脈
  • その他(好きなこと、趣味、特技)

を視覚化していきましょう。そして、関連するキーワードも書き出します。
そこに書き出されたキーワードにあなたの強みが見えてきます。自分の強みを生かして何が提供でき、どのように社会に貢献できるのかを考えましょう。

3. 社会のニーズ

考えたビジネスアイデアに対し、社会のニーズがあるのかを検討しましょう。ニーズの調査は1次情報と2次情報からアプローチします。

1次情報

1次情報とは、自ら調査して得た情報のことです。想定する顧客層へのアンケート調査やインタビュー、現地訪問や通行量調査、競合他社調査など自分で調査し得られる情報です。自分で調査会社に依頼し、調べてもらう場合もこれに該当します。
自ら身をもって見聞きした情報ですので信憑性が高く、自分が欲しいと思う情報が入手できます。情報の質は高く有益ですが、調査に時間がかかるほか、他者に依頼した場合にはコストもかかります。

2次情報

2次情報とは、自分で調査したものではなく、他者が調べた情報のことです。政府や自治体、民間の調査機関が調査し公表している情報です。近年はインターネットで簡単に調べられるため、さまざまな情報が簡単に手に入ります。情報の量は豊富ですが、情報が必ずしも正確でないことが多いことと、自分が欲しいと思っている情報が出ていないことも多いです。

ニーズ調査のコツは、一旦2次情報であたりをつけ、1次情報で検証していくことです。組み合わせることで効率的にニーズの調査が行えます。

3つのゾーンの重なり合いが必要

これら3つのゾーンが重なったビジネスアイデアになっているかどうかを確認しましょう。3つのゾーンが重ならないということは、いずれかが欠けている状態ということです。

「やりたいこと」が欠けている場合、そのビジネスアイデアをやる意味があるでしょうか。やりたくもないのに、ただ儲かりそうだからとか、勧められてなんとなくなどといった理由でやるものでしょうか。せっかく創業するのでしたら、もっと前向きにやりたいことをやりましょう。やりたいことをやっている人の方が成功している例が多いです。

「できること」が欠けている場合、事業化そのものが難しくなります。これまでの経験を活かしたビジネスアイデアになっているでしょうか。経験に勝るものなしです。不足する要因があればどのように補っていくかも考えましょう。

「社会のニーズ」が欠けていると独りよがりなビジネスアイデアとなってしまい、売上があがらず事業として成り立ちません。
プロダクトアウトとマーケットインという考え方があります。プロダクトアウトとは、自分の技術や商品に惚れ込み、良いものだから売れるに決まっているという考え方です。一方、マーケットインとは、市場や顧客のニーズを徹底的に調査、分析し、真のニーズを解決する商品やサービスを開発・提供していくことです。売れるものが良いものという考え方です。どちらが良いかと言われたら間違いなくマーケットインですよね。

この3つのゾーンが全て揃ってはじめてビジネスアイデアとして成り立ちます。

ビジネスアイデア3つのゾーン 図 ビジネスアイデア3つのゾーン
コンセプトの構成要素は
「誰に」、「何を」、「どのように」

コンセプトの構成要素は、「誰に」、「何を」、「どのように」提供するのかです。優秀な人は自分のビジネスを30秒以内で説明します。いや、30秒も必要なく10秒で説明できると思います。
逆にダメな人は、これを2分、3分とダラダラ説明します。簡潔に説明できるほどに体系化できていないことが原因だと思われます。当然、話した相手は後で思い出せず、全く営業にも結びつきません。
さらには、コンセプトがあいまいだと、ターゲット客層から見て、ブレてしまい魅力のない商品・サービスになってしまいます。つまりはターゲット客層から見て、「刺さらない」ビジネスでスタートを切ることになるのです。このようなことにならぬよう、起業前にコンセプトを明確にしておきましょう。

事業計画書を書いていこう

ビジネスアイデアとコンセプトが明確になったら、実際に事業計画書を書いてみましょう。最初から完璧に事業計画書を書ける人なんていません。何度も検討を重ね、修正しながら、書いていきましょう。

創業はあなたにとって一大イベントです。ビジネスアイデアによってはリスクも伴います。自分が後悔しないために、3つのゾーンからビジネスアイデアにアプローチし、端的なコンセプトを設定しましょう。ビジネスアイデアやコンセプトは何度でも修正して大丈夫です。他者にも意見を聞き、客観的な意見も取り入れることで、納得するものを作っていきましょう。

掲載日 令和5年10月25日

プロフィール

三浦 高 三浦 高

V-Spirits 総合研究所株式会社 代表取締役・中小企業診断士
https://v-spirits.com/

資金調達支援(融資、補助金)、事業計画書策定支援、起業支援、ハンズオン支援を中心に活動。全国各地で資金調達や起業、経営に関するセミナーや研修の講師を多数務めている。

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