“幸福+自分のペースで稼げる”移住創業のススメ!
第4回 ナナメ視点で考える移住創業 その② 〜集客編〜
はじめに
全6回にわたって、地方へ移住して創業を考えている方向けに、必要なステップや経営のノウハウをお伝えする『“幸福+自分のペースで稼げる”移住創業のススメ!』。第4回は、『ナナメ視点で考える移住創業その②~集客編~」をお届けします。移住創業に興味がある方だけでなく、創業をお考えの方、創業して間もない方みなさんに参考となる情報をお届けしますので、ぜひご覧ください。
みなさま、こんにちは。ソシオデザインの大西です。今回は集客編になります。集客というと、すぐに広告伝を思い浮かべがちですが、実は宣伝する前にやっておくべきことがあります。
それは、集客の仕組みを考えておくことです。今回の集客編では、どのように集客の仕組みを考えていくのか、お話しいたします。
集客と事業は切っても切り離せない関係
これまでビジネスプランコストの主催や審査員をやり、創業講座の講演などを20年近くやってくるなど、多くのビジネスを見ていて思うのは、“事業アイデアで最初の集客は決まる”ことが多いということです。
本当に直球でいいますが、事業アイデアを聞いてワクワクしないものは、集客に苦労します。というのも、広報伝したところで、ワクワクしないものはいくらPRしてもなにをしても効果は出にくいです。行きたくなる気持ちにならないんですから。そうなると、いくら値段を安くしようが、宣伝にお金をかけたとしても無駄です。
行きたくなる心理ってなんだろう?
では、行きたくなる事業とは一体どのようなものでしょうか。
これまた正直に言います(笑)。行きたくなるお店って、ほぼ自分で広報伝していないところが多いです。代わりに、お客様が宣伝しています。つい最近まで、どこもかしこで言っていた「インスタ映え」。これも、Instagrams で紹介されやすい見映え(商品デザインに優れていたり、驚くほど量が多いとか)そのものに集客力があるために、他の方がどんどんネットで紹介してくれている。インスタ映えがいい方法とは言わないものの、このことは、集客の本質が他の方が発する「口コミ」によって成り立っているものをあらわしています。メディアに取り上げられるのもそう。集客の基本は自薦じゃなくて「他薦(オススメ)」されるかいなかなのです。
オススメされる事業を考える=集客①
さらに深堀りしていきましょう。「他薦(オススメ)」される事業とはなんでしょうか。
わかりやすいオススメされる事業は、まず“一言で表現できる”もの。例えば、飲食店でいうと「味噌ラーメンならあそこがうまい」「あのカフェはパンケーキが絶品」のように、非常にシンプルに表現が出るところです。
例えば、私の住む徳島県では「徳島ラーメン」というすき焼きに似た色の豚骨ラーメンがあります。どこの繁盛店もほとんどが“ラーメンのみ”(餃子とかは多少ありますけど)。量の大中小と、肉入りぐらいしかありません。この潔い商品構成が魅力をより際立たせ、「美味しい」の一言で表現が済むぐらい口コミが簡素化されています。お店の看板商品が強ければ強いほどロコミになります。
また、これは立地編で書けなかったことですが、「〇〇病院のとなり」とか「~通りの角っこ」などのように、お店の説明がすぐにできるランドマークの近くにあるのも、一言で表現できます。
先の例に倣うと「〇〇病院のとなりのラーメンは美味しい」のようにです。
この例を見るように、“一言で表現できる”のは思い出しやすいし、伝えやすい。そして、キャッチコピーになりやすい。そうなると、巷にいる「ロコミのプロ」たちが、どんどん代わりに PRしてくれるわけです。
ほかにはない=集客②
「他薦(オススメ)」される事業のポイント、もう一つは、希少性(ほかにない。貴重)です。
先日、知人が東京でコオロギから作ったビールを販売したのですが(この時点で読者の皆様はワクワクしたり、「えー美味しいの?」などの感情が湧いていると推測します)、販売した3日間ずっと完売御礼。特に大きく伝したわけではなく、SNSで友人たちに告知するだけで、どんどんシェアされ、広がっていきました。
こういうのを「いまだけ・ここだけ・あなただけ」という集客のことわざみたいな言い方があるのですが、「今しか手に入らないコオロギビール」「ここだけしかないコオロギビール」「SNSなどで知った私たちしか知らないコオロギビール」というのが、ぐっと行きたくなる気持ちをそそってくるわけです(笑)。だから、ついつい友人に教えたくなります。希少なものを知っているだけで、ちょっとした自尊心をくすぐられるのも、お客様にとって、嬉しい口コミの動機につながります。
しかし、これは限定商品だけの話ではなく、組み合わせによっても希少性が生まれてきます。
例えば、「古民家+イタリアン+宿泊」のようなものです。街中には古民家はほとんどありませんし、宿泊できるイタリアンもほとんどない。こういうふうに、組み合わせによっても、希少性は生むことができます。
すでに知っている=集客③
さらに、もう一つポイントがあります。旅行を思い出してください。旅行で行く場所って、全く知らないところにはほとんどの人は行くことはありません。写真や本なので「すでに知っている」場所です。そして、その場所がいいことを「すでに知っている」。つまり、旅行というのは、全く知らないところに行くことなどほとんどなく、言い換えると「確かめに行くこと」です。
この3つめの集客方法が、みなさんの思う「集客」で、チラシやネット広告などで、「自分の事業を知ってもらう」ためにやっていることです。本来この3つめというのは、上に書いた2つのことで口コミが繰り返され、ある程度「知ってもらえた」ときに、ようやく出番となる集客方法だと考えてください。実は最初にやる方法ではないということです。
移住創業での他薦の仕組みは非常にシンプル
では、どうやって移住創業先で他の人がオススメしたくなるのか?
一番シンプルな方法は、広告費だと割り切って、お店のご近所の方を順番に無料招待することです。多くの創業期では友達を集めて華々しく事業デビューするのですが、結局友達が一巡すれば終わってしまいます。自分のことを全く知らない人に知ってもらうことこそ集客ですし、全く知らない人の声こそ、信用たる「本当の口コミ」です。移住先の周りの方は、興味津々で見ているはずです。だから、来てもらう機会を提供し、「知ってもらう」ことがまずは大事なことなのです。そのためにも、知ってもらうだけでなく、お客様がワクワクする、興味を持ってくれそうな商品を作っておく。これがなければ、ただの安売りになってしまいます。
このケースの好例に餃子無料券を上手に使っていた「餃子の王将」創業期のお話があります。「餃子の王将」と言う名前の通り、餃子がお店の看板。食べてもらえば美味しさが伝わるという確信もあったのでしょうが、近隣のかたに餃子無料券を配るところからがスタートでした。
私自身も起業・経営コンサルタントとして創業した当時、「無料相談 100本ノック」というのをやりました。事務所も説明のしやすい場所にし(元都市銀行だったビル)、相談もマンツーマンでひたすら聞き、一生懸命考え、ときには事業のお手伝いをする。それをSNSで紹介していく。そうすると、20を越えたあたりから、仕事が少しずつ舞い込んできます。あとは、お値段以上の結果を出す。これを繰り返したことで事業が軌道に乗り始めます。そして、それが用の貯金となり、口コミが広がっていったのです。今でも口コミで仕事をし続けています。

次回は?
今回のお話は、①集客のまえにロコミされる事業にしておくことが大事だということ、そして②集客には3段階あって、他薦という口コミを育てていくのが基本だというお話でした。
次回は、事業に必要なお金=資金調達をどう進めていけばいいのか。そこに焦点を合わせてお話を進めていこうと思います。
■プロフィール

大西 正泰
1970年徳島県生まれ。地域再生コンサルタント。元社会科教師。
人口約1600人という四国で最も人口の少ない町(徳島県上勝町)で、役場と連携し、過疎地でも起業できるインターンシップ制度や空き家再生による起業家育成、スカウト方式で一本釣りしてきた地域おこし協力隊の活用など、多くの新規事業を生み出した。
それらの取組が評価され、2018 年には中小企業庁から「創業機運醸成賞」を受賞。経済産業省の「地域創業促進支援研修」をはじめ、全国各地で自治体向けコンサルディング及び地方創生に関する講演を行っている。
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