“幸福+自分のペースで稼げる”移住創業のススメ!
第3回 ナナメ視点で考える移住創業 その① 〜仕組み編〜
はじめに
全6回にわたって、地方へ移住して創業を考えている方向けに、必要なステップや経営のノウハウをお伝えする『“幸福+自分のペースで稼げる”移住創業のススメ!』。第3回は、『ナナメ視点で考える移住創業その①~仕組み編~」をお届けします。住創業に興味がある方だけでなく、創業をお考えの方、創業して間もない方みなさんに参考となる情報をお届けしますので、ぜひご覧ください。
みなさま、こんにちは。ソシオデザインの大西です。移住創業の準備について過去2回お話をしてきました。さて、今回からは仕組み編に入ります。今回の仕組み編では、どのように事業を考えていくのか、その考え方の道筋についてお話しします。
“うまくやっている人”と”そうでない人”の違い
起業家教育を20年やっていると、スタートアップの段階で「こういう人はうまくいくだろうなあ」という共通点があります。それぞれ事業も異なっていますが、共通していたのは“自分の「方程式」を持っている”ことでした。
“自分の「方程式」”というのは、「試行錯誤をとにかくたくさんやって、自分のモチベーションの高め方や手持ちのスキルの活かし方をよく知っている」ということ。もっとシンプルにいうと、“自分の得意分野、得意な方法などの自分の活かし方を知っている”ことです。
こういった自分なりの方程式を常にアップデートし、試行錯誤している人は、ミスがあっても修正が早いので、確実に生き残っていると感じます。
努力の方程式(y=ax)から紐解いてみる
私がいつも心に留めている方程式を少しご紹介したいと思います。例えば、yを「成功の可能性」、aを「才能の大きさ」、xを「練習回数」とします(y=ax)。
成功の可能性を上げるためには、「才能のある分野」で練習回数を多くすればするほど、成功の可能性が増すという方程式になります。これは一般的に「努力」と呼ばれているものです。
努力を“戦略的努力”に変えるために
仮に、自分のトークの才能が5(a=5)、ライバルの才能が10(a=10)としたら、2倍以上練習すれば追いつき、追い越せます。
しかし、これは残念ながら良策とはいえません。この方程式で努力することは、才能のあるライバルや事業が登場したときに、ひたすら何倍もの努力をし続けなければないモデルだからです。
たしかに、努力を続けることが苦にならない経営者は良いでしょう。けれども、スタッフとなる人が、経営者と同じだけの”想いと時間と労力”を使えるかと言えば疑問です。
こう考えると、ひらすら努力をし続ける y=axとは違う、戦略的な努力が必要なのが分かります。これらについて、さらに説明していきましょう。
<戦略的努力の人がいた!>
ある時、タレント出川哲郎さんが出ている番組を見ていました。出川さんといえば、漫才師のようなトーク力ではなく、「挑戦する姿を見せることでの面白さ」を最も得意としているかたです。最近の代表例では「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ)です。
この番組の構成は、
①芸人が課題に挑戦する
②失敗しながらも課題をこなす
③その姿をもとに、司会者とトークするというものです。
芸人のみなさんが活躍するトーク中心の番組では、司会者を除けば、誰もが主人公になることはありませんが、この番組では主役の一人といっても過言ではありません。「出川さんが海外などで課題に挑戦する=“活躍の場所を変える”」ことで、出川さんを中心としたトークが番組では展開されます。
つまり、出川さんの活躍の背景には、ひたすら努力するy=axとは異なる方程式があるのです。
そこで思い出すのが、一次関数と呼ばれる数式 y=ax+b です。y=axの式(才能と努力の回数を表す式)に、b(別の要素)が加わるとどうでしょうか。確かにbが入るだけで底上げされ、努力の回数を減らせられるのがわかります。出川さんがやっていることは、まさにb(活躍の場所)を変えることで、本来の出川さんのトークカ(a)が活かされている のです。

思わず、y=ax+bを「出川の法則」と呼びたくなりました笑。
移住創業の方程式は、y=axtb?
先ほどの方程式、y=ax+b。
これ移住創業そのものの発想に使える気がしないですか?b(活かされる場所)が変われば、才能の活かされ方も変わる。また、舞台が変われば、必要とされる才能も変わるのです。そ こに移住創業の面白さもあります。
例えば、レストランやラーメン店などは都会にいけばたくさんありますが、少し田舎に入るとありません。また、都会では家賃が高くてできない、泊まれるレストラン(いわゆるオーベルジュスタイル)や、作るところから料理までが完結しているフードマイレージゼロのエコレストラン なども、簡単にできてしまいます。
*フードマイレージとは、食糧の輸送距離のこと。多くの食材が遠くの産地で生産されてお り、できるだけ近い産地のものを食べることで環境負荷が下がるという考え方。
第2回連載において、移住フェアの活用方法を提案したのも、ここに理由があります。
一般的に移住のデータを見ると、「血縁ないしは友人知人の縁」が理由として多いのは確か です。
しかしながら、本当にその場所がみなさんのa(才能)やb(活かされる場所)かどうかは別問題です。移住先で必要とされていることが、みなさんのa(才能)に結びついているだろうか。もしくは、b(活かされる場所)としての可能性はあるだろうか。ともすれば、縁という理由で確か めもせずに選んでいるに過ぎないのではないでしょうか。そういった、移住先が自分のa(才能)やb(活かす場所)として適正な地域なのか、そのための情報を集める努力が、「移住創業で の戦略的努力」になります。
努力の方程式(y=ax)から紐解いてみる
私がいつも心に留めている方程式を少しご紹介したいと思います。
例えば、yを「成功の可能性」、aを「才能の大きさ」、xを「練習回数」とします(y=ax)。
成功の可能性を上げるためには、「才能のある分野」で練習回数を多くすればするほど、成功の可能性が増すという方程式になります。これは一般的に「努力」と呼ばれているものです。
組み合わせ数を考える「b」の考え方
- 【参考】y=ax+b
-
- y(成功の可能性)
- a(才能)
- x(練習回数)
- b(活かされる場所)
b(活かされる場所)について、深堀りして考えていきたいと思います。
まず基本的な考え方として、「自分のやりたい事業の魅力化ができる場所かどうか」です。
例えば飲食業でいうと、「蔵・古民家✕カフェ・レストラン」とか「オリーブ畑✕レストラン」など組み合わせの相性がいいと思います。
また、不動産の高い場所では、古い建物が残りにくく、都市部で古民家型のビジネスをするのは非常にレアなので、競争優位性が高いと言えます。
さらに、人里から離れすぎた場所の古民家でなく、観光施設と近い場所を選ぶのもコツです。
例えば、温泉近くにある古民家などは「集客力を借りること」ができ、また店舗の説明も「〇〇温泉の近くにあります」というだけで事足りるのも魅力です。
組み合わせによる相乗効果を生む「b」の考え方
- 【参考】y=ax+b
-
- y(成功の可能性)
- a(才能のおきさ)
- x(練習回数)
- b(活かされる場所)
近隣の都市中心部から車で1時間以内、できることなら30分以内の田舎はより集客がしやすいです。逆に、車で1時間を超える場合は、平日の集客が難しく、飲食業でいえば『単価を上げる』・『宿泊業などを併用する』など、組み合わせ数を増やすことで集客につなげることができます。
つまり、人口の多いところから遠いところに移住するとなると、aの中身の組み合わせ数を増やすことが戦略的努力につながります。逆に、ネットでは全く関係ありませんから、組合せよりも、何を事業にするかが大きなポイントになります。
時間をかけて事業を育てる「b」の考え方
加えて、地方の場合、家賃が安いので、時間をかけて事業を整えることができます。
例えば、ゴールは『レストランの開業』としましょう。しかし、最初にやるのは宿泊業。まずは宿泊者向けの料理の提供から仕組みを作っていき、次にレストランを開業するなどのアプローチ(=事業の育て方)です。成長している姿、試行錯誤している姿を時間かけて見せていく。未完成の店舗は、またきてくれるお店作りには欠かせないですし、周りの住民にも経営者やスタッフの人となりが伝わりやすいので、チャンスが生まれやすく、田舎ならではの事業戦略です。
私は、このような未完成を一つの価値としてみなすアプローチを「ガウディ戦略」(サグラダフアミリア(バルセロナ)が好例)と呼んでいます。
これは、オンラインで完結するIT 事業でも同じことはいえそうです。
移住起業のホットスポットで、「田舎暮らし✕都会の仕事」の方程式を編み出した徳島県神山町のIT 会社の多くが、田舎生活をうまく活用されています。周囲の住民のみなさんと一緒に事業化したり、それがニュースになり、飲み会のネタになり。スタッフの幸福度も高く、田舎にいるだけでいい会社に見えるおまけつき(笑)。詳細は割愛しますが、時間をかけることで、会社のブランドや事業創造との相関性も高いようです。
次回は?
今回のお話は、y=ax+bを組み立てていくのが、自分の才能を活かした移住創業がうまくいくポイントだというお話でした。
次回は、移住先でどのように集客を進めていけばいいのか。そこに焦点を合わせてお話を進めていこうと思います。
■プロフィール

大西 正泰
1970年徳島県生まれ。地域再生コンサルタント。元社会科教師。
人口約1600人という四国で最も人口の少ない町(徳島県上勝町)で、役場と連携し、過疎地でも起業できるインターンシップ制度や空き家再生による起業家育成、スカウト方式で一本釣りしてきた地域おこし協力隊の活用など、多くの新規事業を生み出した。
それらの取組が評価され、2018 年には中小企業庁から「創業機運醸成賞」を受賞。経済産業省の「地域創業促進支援研修」をはじめ、全国各地で自治体向けコンサルディング及び地方創生に関する講演を行っている。
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