“幸福+自分のペースで稼げる”移住創業のススメ!

第1回 移住創業ってそもそも何?

はじめに

全6回にわたって、地方へ移住して創業を考えている方向けに、必要なステップや経営のノウハウをお伝えする『“幸福+自分のペースで稼げる”移住創業のススメ!』。新シリーズの記念すべき第1回は、『移住創業ってそもそも何?」をお届けします。移住創業に興味がある方だけでなく、創業をお考えの方、創業して間もない方みなさんに参考となる情報をお届けしますので、ぜひご覧ください。

みなさん、はじめまして。一般社団法人ソシオデザインの大西正泰(おおにしまさひろ)と申します。
まず、私の主な仕事は、空き家を改修して起業家を育て、街を魅力的なものにしていくというものです。メインの活動場所は、徳島県上勝町。人口1,500人ほどの、四国でいちばん小さな町。そこで 2012年から2018年までに8軒をリノベーション(YouTube と本を参考に6軒は自費修繕しました 笑)。そして、決して一等地ではない空き家や空いたスペースを活用し、カフェ(山上の古民家再生)・バー(シャッター商店街)・シェアハウス(空き交番)・ゲストハウス(温泉近くの古民家2棟)・観光事業(カヤック、ヘルスツーリズムなど)など、様々な事業の立ち上げを行ってきました。その間、小さな成功も失敗もたくさんしてきました。

当社主催のリノベーションの様子
当社主催のリノベーションの様子

今回から6回に渡りまして、自分が体験してきた「移住創業」(主に都市から田舎に行くことを前提とします)をテーマにお話をいたします。すべて、実際に自分でやってみたこと、感じてきたことばかりです。ぜひ、みなさんの創業の参考としてください。

私自身の移住のきっかけ

私は東日本大震災の翌年に、地元(徳島県三好市)ではない、徳島県上勝町に移住しました。いわゆるJターンという移住タイプです。上勝町といえば、高齢者をはじめとする農家のみなさんが、和食に使われる“妻もの”を全国に出荷し、年商2億6千万円の売り上げをあげている「葉っぱビジネス」が有名です。ほかにも、人口減少による税収減を見越して、ごみ焼却場を作らず、45種類にゴミを仕分けて 80%までリサイクル率を高め、2020年までにゴミをゼロにしようという“ゼロウェイスト(ゴミゼロ)運動の町”としても有名です。

そんな町に移住したきっかけは、製薬会社をリストラされ、自分の生まれた徳島で何かできないかと考えていた時でした。たまたま、葉っぱビジネスを展開している「株式会社いろどり」が主催するインターンを知り、地域再生を学びにいきました。期間は1ヶ月間。全国から集まった
20代から 60代までの学生、社会人を含む約20人で共同生活をしました。これが本当に楽しかった。いろどり農家さんのところに農作業の手伝いにいったり、話を聞いたり。夜は、みんなと食べ、語り合い・・・まるで家族のように、同じ釜の飯を食べる楽しみを知ってしまいました。
日々、地の人の寛容で笑いが途切れないお付き合いのなかで、「なんか楽しいなあ、幸せだなあ」と強く感じることができた1ヶ月間でした。そして、その翌年、移住をします。

移住先は”ピン”ときたところ、では「移住+創業」は?

「移住」っていうと何か大変なことのように思うでしょうけれども、単純に「引っ越し」です(笑)。当時、全国で移住するきっかけに大きくつながったのは、震災体験による「都市部で住む・働くことへの疑問や避難等への不安」というのが大多数でしたが、このあたりから、単なる「引っ越し」ではない、生き方や働き方を求めて、地方に移住することが一気に注目されはじめました。今では、検索すればいろんな地方の情報に出会えますし、多くの移住・創業イベントが各地で開かれているので、逆にどこを選べばいいのか迷うぐらいあります。

さて、今回のテーマは、「移住創業」です。「移住」だけならピンときたところに「引越し」するだけですが、移住して創業となると別の「ロジック」がいるだろうという話です。
では、“移住創業の戦略”というのはあるのでしょうか?
「あります!」。即答です(笑)。では、ちょっと考えていきましょう。

「起業」からまず考えてみる

まず、私たちがよく使っている「起業」の方から、紐解いていきます。
起業の「起」という時は、「己」が「走る」という2つの文字がくっついています。「起業」と「企業」という同じ音でも異なる漢字が使われているのを見ても、この「起」の部分が実は大事だということがわかります。起との違いについては、また今度どこかでお話しします(笑)。

さて、「起=己が走る」ってどんな時かって、やっぱり「走りたい」という目的があるわけです。
子供のときを思い出してください。走るって、だいたい遊んでいる時です。鬼ごっこなどが代表的ですけど、走ること自体、楽しい「遊び」です。ということは、「楽しいから走っている」わけです。「起業」というのは、「楽しいから〇〇したい」という欲望が大きな意味を持っています。

次に「業」という字ですが、「ギョウ・ワザ・ナリワイ」と読めます。つまり、「(シュ)・ギョウ」すると、それが「トクイーワザ」になり、得意になればプロになるので、「ナリワイ=生業」になることを意味しています。
と考えると、起業というのは、『自分が走りたくなるようなこと(楽しいなど)を「修業」し、「得意技を持つプロ」になって、ご飯が食べられるようになること』といえます。
ここで、「移住」と「起業」について考えてみると、やりたいことが決まっているかどうかで、とるべき戦略が随分と変わります。

  1. 移住前に「やりたい」ことを持っている。
  2. 移住後にやりたい」ことを見つける。

みなさんは、地方で起業したいと思った時に、いま「やりたいこと」があるでしょうか?

例えば、いま飲食店に勤めていて、「もっと美味しいものを提供したい。もっと地産地消で、朝採れのおいしい野菜を使いたい。」と考えている場合。それが目指す料理(=やりたいこと)だと思って田舎に移住するならば、かなりスムーズです。自分のやりたい事業を考えれば考えるほど、移住先を条件に合わせて絞り込むことができるからです。逆に後者のタイプだと「やりたいことを見つける時間」が必要です。
この時点で2つの起業に向けてとるべき戦略の違いが見えてきました。地方で「やりたいことが決まっている人」は事業戦略を考えればいい。「決まっていない人」は、地方で自分の「やりたい」を探す戦略を考えればいい。

もう一回今回のテーマを振り返ると「移住創業」。創業ですから、まさに「仕事を創る」。次回は、この「創業」という字にも注目しながら、第2回「移住創業に必要な準備」についてお話をしたいと思います。

■プロフィール

大西 正泰

大西 正泰

1970年徳島県生まれ。地域再生コンサルタント。元社会科教師。
人口約1600人という四国で最も人口の少ない町(徳島県上勝町)で、役場と連携し、過疎地でも起業できるインターンシップ制度や空き家再生による起業家育成、スカウト方式で一本釣りしてきた地域おこし協力隊の活用など、多くの新規事業を生み出した。
それらの取組が評価され、2018 年には中小企業庁から「創業機運醸成賞」を受賞。経済産業省の「地域創業促進支援研修」をはじめ、全国各地で自治体向けコンサルディング及び地方創生に関する講演を行っている。

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