技術協力

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  • マレーシア中小企業銀行に対する技術協力

当公庫 国民生活事業は、これまで蓄積してきた小企業の融資審査ノウハウを提供することによって、開発途上国の金融機関が抱える課題の克服に協力しています。日本のODA実施機関等と連携し、これら金融機関に対する現地や日本でのセミナー等を企画・実施しています。

マレーシア
中小企業銀行に対する
技術協力

当公庫 国民生活事業は、財務省 財務総合政策研究所(財務総研)と協力して、マレーシア中小企業銀行(SME Bank, Malaysia)に対する融資審査手法改善にかかる技術協力を実施しました。

マレーシア地図

1マレーシア中小企業銀行とは?

マレーシアでは、中小企業の振興が国家経済に多大に寄与するという認識のもと、戦略的な中小企業振興策が講じられています。

2005年10月には、マレーシアインフラ開発銀行の中小企業融資部門とマレーシア工業技術銀行が統合し、中小企業に対する金融支援や経営支援等を一括して行う機関として、マレーシア中小企業銀行が設立されました。

事業形態政策金融機関
業務内容中小・中堅企業への融資及び経営支援、信用保証等
設立2005年10月
支店数19支店
従業員数995人
融資残高約13億米ドル

(2010年12月末時点)

2当公庫 国民生活事業がマレーシア中小企業銀行に技術協力を行った背景

マレーシア中小企業銀行は、政府の方針のもとに中小企業への融資業務等を開始しましたが、設立後間もないため、融資実績は少額にとどまっていました。同行は、現地中小企業の旺盛な資金ニーズによりいっそう迅速に応えることが求められていたことから、日本の財務総研に技術協力を要請しました。財務総研は、ベトナム社会政策銀行への技術協力の実績を考慮し、当事業に対し協力を要請。これを受け、当事業では、2008年12月から、小企業及び新規開業企業に対し迅速に融資を行うためのノウハウの提供を行いました。

3これまでの技術協力の経緯

目標:マレーシア中小企業銀行の融資審査期間の短縮等

2007/09/23-28 
事前調査[於 マレーシア]

マレーシア中小企業銀行に対する技術協力の実現可能性について調査したところ、同行の経営陣から、あらためて当事業のノウハウを吸収したいとの要請がありました。

  • 事前調査の様子1
  • 事前調査の様子2

2008/12/15-20 
技術協力についての討議議事録署名及び現地セミナー

本技術協力に関する討議議事録に署名するとともに、マレーシア中小企業銀行の本支店幹部と実務者に対するセミナーを実施しました。 セミナー終了後に受講生に対して実施したアンケート結果から、受講生が当事業の融資審査手法について正しく理解していることが伺われました。

  • 現地セミナーの様子1
  • 現地セミナーの様子2

2009/08/31-09/04 
現地協議

現地にて今後のプロジェクトの進め方を協議し、2010年1月に日本招聘セミナーを開催することなどを決定しました。併せて、同セミナーの予備講義として創業審査手法の概要を説明しました。

  • 現地協議の様子1
  • 現地協議の様子2

2010/01/25-29 
日本招聘セミナー

マレーシア中小企業銀行の本支店職員7名を受け入れ、5日間のセミナーを実施しました。創業融資専門部署による講義や、融資の現場である支店の視察などを通じて、当事業の融資審査実務を詳しく説明しました。

  • 日本招聘セミナーの様子1
  • 日本招聘セミナーの様子2

2010/12/15-17 
現地協議

クアラルンプールにある本店及びマラッカ支店を訪問し、プロジェクトの進捗状況について調査を実施。当事業の融資審査手法を参考にしながら、新しい信用調査フォーマットを導入し、融資審査プロセスの改善に取り組んでいることを確認しました。

  • 現地協議の様子1
  • 現地協議の様子2

2011/06/20-22 
最終評価

本店(クアラルンプール)を訪問し、プロジェクトの最終評価を実施した結果、SME銀行が一定の成果をあげていることが確認できました。今後は、最終評価報告書をまとめることが合意されました。

  • 最終評価の様子1
  • 最終評価の様子2

4マレーシア中小企業銀行から寄せられた声

ザリナ副頭取代理(2010年1月)

ザリナ副頭取代理

先般、財務省財務総合政策研究所(財務総研)の支援で、東京にある日本政策金融公庫国民生活事業(公庫)の研修施設で開催されたセミナーに、マレーシア中小企業銀行(SME銀行)から7人の職員が参加した。

マレーシア中小企業銀行(SME銀行)のザリナ副頭取代理(2010年1月)(日本招へいセミナーに参加)

この技術協力は、SME銀行における小企業および新規開業者に対する融資審査手法を改善し、融資審査期間を短縮することを主な目的としている。5日間のセミナーを通じて、マレーシアからの参加者は、新規開業の融資審査について理論と実践の両面から十分な知識を得ることができた。

また、公庫の支店における融資審査の過程を目で見て理解し、さらにその融資審査を支えるさまざまな仕組み(例えば、組織体制、信用リスク管理、情報管理・活用など)について学んだ。セミナーでは公庫の融資審査の仕組みをいろいろ学んだが、なかでも新規開業企業の評価に関しては、最良の手法と思われる知識を得ることができた。併せて、融資審査研修の充実も、融資審査に必要な知識を十分備えた職員を確保するためには極めて重要であることを学んだ。公庫の支店への訪問では、我々は、申込書の受領から融資審査、決裁、契約書の発行まで、効率的でスムースな流れが存在することに気付いた。

今回、セミナーの所期の目的は達成されたと考えている。我々は、今後も財務総研と公庫の継続的なサポートがあれば、長期的にみても良い結果が生まれると考えている。