技術協力
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当公庫 国民生活事業は、これまで蓄積してきた小企業の融資審査ノウハウを提供することによって、開発途上国の金融機関が抱える課題の克服に協力しています。日本のODA実施機関等と連携し、これら金融機関に対する現地や日本でのセミナー等を企画・実施しています。
ラオス
開発銀行に対する
技術協力
当公庫 国民生活事業は、財務省 財務総合政策研究所(財務総研)と協力して、ラオス開発銀行(Lao Development Bank:LDB)に対する人材育成及び融資審査能力の向上にかかる技術協力を実施してきました。

1ラオス開発銀行とは?
LDBは、2003年4月、Lao May BankとLao Xang Bankが合併し、創設されました。以降、LDBは中小企業金融を主要業務とする金融機関として、ラオス経済の振興において大きな役割を担っています。
事業形態 | 国有商業銀行 |
---|---|
業務内容 | 融資(事業資金、消費資金、住宅資金)、預金、外国為替 等 |
設立 | 2003年4月 |
支店数 | 18支店、75出張所、22外為取引所(2015年12月末時点) |
従業員数 | 1,419名(2015年12月末時点) |
※ヒアリングにより作成
2当公庫 国民生活事業がLDBに技術協力を行った背景
LDBは、中小企業融資からインフラ融資まで手掛ける銀行ですが、国有銀行として、政府の施策・方針のもと、中小企業への融資拡大を掲げています。ただし、中小企業金融ノウハウの蓄積が十分でなく、融資審査実務を担う人材の育成が喫緊の課題です。
こうした状況のもと、同行から日本の財務総研に技術協力の要請がありました。ベトナム社会政策銀行やマレーシア中小企業銀行への技術協力の実績を考慮し、財務総研から当事業に対し本プロジェクトへの参画要請があったものです。
3これまでの活動実績
第1期:LDBの人材育成及び融資審査能力の向上
2011/03/09-18
事前調査[於 ラオス]
当事業は財務総研とともに、LDBに対する技術協力の実現可能性について調査しました。同行の経営陣からは、技術協力を通じ、当事業の知識・経験を吸収したいとの要請がありました。
2011/06/15-16
覚書の締結[於 ラオス]
当事業と財務総研は、首都ビエンチャンにて、本技術協力に関する覚書に署名しました。また、協議の結果、本プロジェクトの第1回セミナーを11月頃実施することが合意されました。
2011/11/29-12/10
第1回セミナー[於 ラオス]
LDBの本支店で融資審査関連業務を担当する、管理職(支店長、出張所長及び課長)計93名に対し、当事業の融資審査手法に関する2日間の講義を3都市(ルアンパバーン、パクセー、ビエンチャン)で実施しました。 最終日に実施された協議では、次回のセミナーを日本で開催することが合意されました。
2012/06/04-15
第2回セミナー[於 日本]
LDB本店幹部や支店長20名を日本に受け入れ、2週間の研修を実施しました。LDB職員は本店各部の講義を受講し、支店や取引先を視察しました。期間中、活発な質疑応答が行われるなど、業務改善に対する意識の高さがうかがえました。
2012/10/02-03
中間評価[於 ラオス]
これまで実施した2回のセミナーの普及状況を把握するため、現地調査を実施しました。セミナー受講生の努力により、その内容がLDB全体に広く浸透していることを確認することができました。
2013/01/27-02/06
第3回セミナー[於 ラオス]
融資審査関連業務に従事するLDB本支店職員計153名に対し、当事業の融資審査手法についてケーススタディーを交えた講義を実施。3都市(ルアンパバーン、パクセー、ビエンチャン)で各2.5日間行った本セミナーは、受講生から活発に質問が出るなど有意義なものとなりました。最終日に実施された協議では、次回の第4回セミナーを再度ラオスで開催することが合意されました。
2013/08/27-09/05
第4回セミナー[於 ラオス]
融資審査関連業務に従事するLDB本支店職員計131名に対し、当事業の融資審査手法について講義を実施。2都市(シェンクワーン、ビエンチャン)で各4日間行った本セミナーでは、ケーススタディーを用いるなど、実践的な講義を行いました。受講生からは、「企業の実態を把握することの重要性を大いに認識した」との感想が寄せられました。最終日の協議では、最終評価調査をラオスで実施することが合意されました。
2013/11/13-15
最終評価[於 ラオス]
これまで公庫がセミナーで提供した融資審査手法が浸透していることを確認するため、LDBの本店及び支店職員へヒアリングを行いました。また、本店で実施した最終評価の協議ではLDB側から、「セミナーのお陰で職員の融資審査能力が高まり、企業支援のマインドも向上した」と高い評価を受けました。プロジェクトの成果を活かし、今後もLDBとの連携を深めていく予定です。
第2期:LDBの中小企業向け融資審査能力の普及・定着
2015/02/04-11
第1回セミナー[於 ラオス]
ラオス2都市(ルアンパバーン及びビエンチャン)において、中小企業向け融資審査手法に関する第1回セミナーを各3日間の日程で開催し、合計152名の支店融資審査担当者等が参加しました。 セミナーでは、LDBが第1期支援を受けて独自に改正した新融資審査フォーマットの使い方、ラオス料理店の新規店舗出店に関する融資申込を事例としたケーススタディー、第2期支援にて作成を支援する融資審査マニュアルの概要等の講義を行いました。
2015/08/31-09/04
第2回セミナー[於 日本]
LDBからカムシン副総裁をはじめ23名の職員を日本に受け入れ、5日間のセミナーを行いました。今回のセミナーでは、国民生活事業の創業支援、外部機関との連携、人材育成方法等についての講義に加え、東京中央支店や川崎商工会議所等への訪問を行いました。受講生からは、「公庫の様々な取組や支店業務を肌で感じることができた」とのコメントがあるなど、大変有意義なセミナーとなりました。
2016/02/01
中間評価及びワークショップ[於 ラオス]
日本公庫は、本プロジェクトの中間評価を行うため、財務総研とともにビエンチャンの同行本支店を訪問しました。中間評価では、これまでに実施した2回のセミナーに関するディセミネーションの実施状況、日本公庫及び財務総研がLDBに対して作成を支援している「融資審査マニュアル」の導入方針等を本支店でのヒアリングを通じて確認しました。 また、中間評価の後に同日開催した創業支援に関するワークショップには、LDB、ラオス財務省、中銀等から計48名が参加しました。
2016/08/26-09/02
第3回セミナー[於 ラオス]
融資審査関連業務に従事するLDB本支店職員計144名に対し、当事業の融資審査手法についてケーススタディーを交えた講義を実施しました。3都市(ルアンパバーン、パクセー、ビエンチャン)で各2日間行った本セミナーは、受講生から活発に質問が出るなど有意義なものとなりました。最終日に実施された協議では、次回の第4回セミナーを再度ラオスで開催することが合意されました。
2017/02/13-17
第4回セミナー[於 ラオス]
LDBの各支店から融資審査関連業務の管理職、職員合計76名が参加し、首都ビエンチャンにおいて計5日間のセミナーを行いました。本セミナーでは、当事業の融資審査手法に関する講義に加え、公庫の人材育成や業務改善策等を説明し受講生によるグループディスカッションを実施しました。ディスカッションでは活発な意見交換が見られ、受講生からは組織改善や顧客サービス向上に向けた取組みの重要性について共感が得られました。最終日の協議では、第2期プロジェクトの最終評価調査をラオス現地で行うことが合意されました。
2017/08/22-26
最終評価[於 ラオス]
2011年から公庫が実施してきたLDBへの技術協力の最終評価調査のため、LDBの本支店にヒアリングを行いました。支店の担当者からは、公庫による支援のもと改訂した融資審査フォーマット及び新設した融資審査マニュアルを日々活用しており、効率的な審査を行えるようになったと評価を得ました。また、ラオス財務省、中央銀行等を招き、これまでの技術協力の取組み・成果等を発表するため、クロージングセレモニーを開催しました。LDB総裁からは「これまでのセミナーを通じてLDBの審査担当者の目利き力が向上した、今後も中小企業振興に努めたい」との強い意欲が表明されました。クロージングセレモニーの模様は、地元新聞紙上でも大きく取り上げられる等、注目を集めました。 また、国際協力機構(JICA)からの要請を受け、2017年3月から長期専門家として公庫職員がLDBに駐在しています。現地での指導という新たな取組みを通じて、引き続きLDBを支援していきます。