創業コラム

Webでの新規集客とリピート作り

第5回 Webを活用してリピーターを作るためには

LINE公式アカウント

クチコミ

前回までのコラムでは、検索に対応する集客方法やSNSを活用する集客方法、またお客様目線での情報発信についてお話をしてまいりました。

Web集客は、つまるところ「Webを使って新規のお客様(見込み客)を獲得する」ことです。一方でWebツールは「リピート利用」(再来店、ファンづくり)にも貢献できます。

最終回のコラムでは、Webを活用してリピーターを作るための方途についてお話をさせていただきます。

なお、創業者様が「リピート」を生むためには、自社自店の商品サービスや接客に磨きをかけることが大切なのは言うまでもありません。またリピート対策に使えるのはWebというツールだけではありません。ポイントカードの発行や、お客様の誕生月に特典ハガキを送ることなどのアナログな方法も非常に有効です。

再来店を促す「LINE公式アカウント」

リピートを生むWebツールの代表はLINE公式アカウントでしょう。

LINE公式アカウントは、個人ではなく、店舗や企業の立場で運用するものです。個人の立場で使う「LINE」は、営業行為などの商用利用が禁じられています。一方このLINE公式アカウントは、初めから「商売用」を前提としたものなのです。LINE公式アカウントは無料から始めることができ、送信するメッセージ通数によって有料プランに変更する、というしくみになっています。

LINE公式アカウントの基本は「既存客に特典やオファーを告知して再来店を促す」という使いかたです。一度来店したお客様に「友だち」になっていただき、メッセージ配信を行うという趣向です。
静岡を中心に絶大な人気を誇る和洋菓子店様もLINE公式アカウントを活用しています。新商品の告知だけでなくクーポン配信や投票企画など、趣向を凝らしながら運用し、「友だち」数も約3万人になっています。

この事例に象徴されるように、LINE公式アカウントでのリピート作りの勘所は「特典提供、割引、ポイントアップ」などの「明確な"お得"」を提供することになります。ある意味で、お得なことを期待して「友だち」になっていただけるようなものです。

静岡県内の、とある化粧品店様では、「化粧品のサンプルを差し上げるキャンペーン中です」とLINE公式アカウントのメッセージで告知すると、「面白いほど」(経営者様談)既存客様が再来店なさるそうです。

このように「明確な"お得"」が提供できる業種業態のお店はLINE公式アカウントが非常に向いています。逆に、「うちのお店は、割引もできないし、ポイント制度もないし、差し上げられるオマケも無いなあ」という店舗様は、基本的にはLINE公式アカウントは向いていないでしょう。

SNSでつながりを持ち「忘れられない」工夫をする

では「割引もできないし、ポイント制度もないし、差し上げられるオマケも無い」という店舗様は、Webでのリピーター対策は難しいのでしょうか? そのようなことはありません。

お金をかけずに、すぐできる方法として「SNSでつながりを持つ」ことをお勧めします。

私は仕事柄もあり、日常的にSNSをよく見るほうです。必要があるときに使うのが「検索エンジン」で、必要もないのについ見てしまうのがSNSです。

お気に入りのお店や、ご支援先の企業様のSNSアカウントをフォローすることが多いのですが、
「あ、素敵な新商品が出たんだな」とか「ボランティアの、素晴らしい取り組みを始めたのだな」とか、SNSでつながりがあるからこそ知ることも多く、そこから「また購入したい」「応援したい」という気持ちにもつながります。

接客中に「自店がSNSをやっていること」を伝えたり、チラシやショップカードなどに自店で運営中のSNSのアイコンを載せておくことで、さり気なくSNSでのつながりを提案することもできます。

「●●市で▲▲といえば○○商店だよね」のような、そのカテゴリについて顧客の頭の中で自店が思い出される割合のことを「マインドシェア」というそうです。

マインドシェアを高めるためには「専門性、ブランド化」「接触回数の向上」「共感」が有効とされています。

つまり、特にリピート作りやファンづくりを意図したSNS運用では、
  • 自社自店の専門性を伝えていく
  • 無理のない範囲で、できるだけ「投稿」する(自店が忘れられないような頻度で投稿をしていく)
  • 地域や関係者、顧客への感謝を伝えたり、本業を真っすぐ頑張っていることなどを投稿して「共感」を得ていく
という投稿が望ましいでしょう。
既存客のクチコミが次の新規客を呼ぶ

現在の中小企業Web活用において非常に重要なのが「既存客、利用者によるクチコミや評判」です。

SNSは事業者だけでなく消費者自身も使っているツールです。「小田原駅前の▲▲というおでん屋さんが美味しかった!」のような「消費者自身のSNS投稿」は「宣伝の代わり」になるのです。
お店が忙しい時でも、お金をかけずに、しかも売り込み感なく自然なニュアンスでお店のことを紹介してくれるわけですから、ありがたいですよね。

では、どうすれば「既存客、利用者によるクチコミや評判」が増えていくでしょうか? 「目の前のお客様に精一杯接客する。ご満足いただく」ということはもちろんのことですが、それ以外にできることを挙げてみます。

■自店の「ハッシュタグ」を決めておき、店内やWeb上でそれを周知する

→お店のハッシュタグが明確になっていると、お客様もそのハッシュタグを付けて投稿しやすくなります(投稿するきっかけになります)

■Googleマップなどクチコミサイトのクチコミを書いていただくように「お願い」する

→単刀直入に「お願い」していくことで、クチコミが増えていくことでしょう。ただしGoogleマップではクチコミの見返りに特典を提供するなどの行為をしてはいけませんので注意してください

■お店自身もSNSアカウントを運営し、情報発信する

→お店の情報発信(投稿)に「コメント」する形での「クチコミや評判」もあり得ます。お店がSNSアカウントを運営していれば、「コメント」しやすくなります

図 お客様からのクチコミを増やす方法

これまで5回にわたり、創業者様がWebで集客する方途についてご提案をさせていただきました。実際には業種業態、経営戦略や外部環境(競合や市場動向)、内部環境(Web活用は自社内で誰が取り組むか。時間はどれくらい割けるか。モチベーションやスキルはどうか。また使うツールはパソコンかスマホか等)などでWeb戦略のパターンは非常に多岐にわたります。

「よろず支援拠点」や商工会議所、商工会などのWeb活用相談(ほとんどの場合無料のはずです)を受けてみて、自社に合ったWeb戦略を検討していただければと思います。

読者の皆様のご発展、ご繁盛をお祈りいたします。お読みいただき誠にありがとうございました。

※上記の個別の表現については、必ずしも日本政策金融公庫の見解を示すものではありません。
※本記事における LINE 、LINE公式アカウントは、LINE株式会社の商標または登録商標です。Googleは、Google LLC の商標または登録商標です。

掲載日 令和5年9月26日

プロフィール

永友 一朗 永友 一朗

ホームページコンサルタント永友事務所 代表
https://8-8-8.jp/

1973年神奈川県生まれ。「中小零細企業のホームページ運営・改善実務」に精通したコンサルタント。「実践的で、とにかく話がわかりやすい」とクライアントから評されている。
【公職・登録】
*東京都/神奈川県/山梨県/栃木県商工会連合会エキスパート
*(公財)神奈川産業振興センター登録経営アドバイザー 他
【著書】
Web集客の超基本 あなたに最適なツールで、効率よく売上アップを叶える常識64(技術評論社)
Googleマイビジネス 集客の王道~Googleマップから「来店」を生み出す最強ツール(技術評論社)他

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