創業コラム

Webでの新規集客とリピート作り

第4回 お客様目線の情報発信

お客様目線

不安解消

メリット表現

前回までのコラムでは、Web集客の2つの方法(検索に対応する集客方法/SNSを活用する集客方法)についてお話をしてきました。

いずれの方法でも、無料、もしくはほとんど費用をかけずに、簡単にすぐに取り組むことができ、多くの人にアプローチできます。これがWeb集客のメリットです。

このように「取り組む」こと自体は簡単なのがWebでの情報発信ですが、「お客様に"伝わる"」「行動に移してもらう」ためには工夫が必要です。

4回目の今回は、「お客様に"伝わる"」「行動に移してもらう」ための方途についてご提案をさせていただきます。

対象者を絞る

私は中小企業様に対するWeb活用支援という仕事をして20年になります。20年間でとても多くの「中小企業Web活用」の現場に触れてきたつもりですが、「幅広く訴えてうまくいったWeb発信」というのを一例も知りません。

「腰痛でお悩みの皆様へ」
「東京土産なら●●菓子舗」

など、それぞれの言い分は悪くないのですが、いかにも「ざっくりと」しすぎていてピンとこないのです。

検索であれSNSであれ、ネットを見るユーザー(我々現代人)は日々忙しいはずです。自分向けかどうか分からない情報をじっくりと読む時間は取れないことでしょう。

忙しくネットで情報収集をするユーザーに対応するためにも、対象者を絞って発信しましょう。2つ以上の要素で絞り込むと、ピンときやすいと思います。

例えばですが、
「腰と一緒に背中が痛くなるかたへ」
「常温でカバンに入る大きさの東京土産をお探しなら●●菓子舗の▲▲羊羹」

のように訴えると、そのようなモノ・コトを探していたユーザーには非常にピンとくるのではないでしょうか? 「即来店」に結びつかないとしても、ホームページを「お気に入り」に入れてくれたり、記憶に留めてくれることにつながるでしょう。

なおネットの情報発信は、「ものは言いよう」の世界です。まったく同じ▲▲羊羹という商品であっても、「渋谷駅限定バージョンの羊羹」「大納言の粒感にこだわった羊羹」「冷凍するとさらに美味しい製法」など、事実に基づき表現を臨機応変に変更することは問題ありません。

読み手のメリットを訴える

私は出張が多く、各地の空港や駅でお土産を見る機会が多いです。家族や知人にお土産を買って帰ろうと思うことは多いのですが、
「要冷蔵だと持ち運びが難しいかも...」
「カバンに入らないと持ち運びが難しいかも...」
など、ついつい「持ち運び」のことを心配してしまいます。

そんなときに、「常温で持ち運べます」「カバンに入ります」などの「メリット」が説明されていると、思わず買ってしまうことも多いです。
Webでの表現も然りです。「(あなたは)○○できます」というニュアンスの表現は、読み手がピンときやすく、また腑に落ちて「購入」「来店」などの行動につながりやすいでしょう。

ご支援先のエステサロンでは、「当店にエステ台は2台ございます」という説明を「エステ台は2台ございますので、お友達同士や親子でのペアエステもお受けいただけます。同じ時間にエステをお楽しみいただけます」という趣旨の説明に変更したところ、実際にペアでの来店が増えたそうです。これも「読み手のメリット」を説明していますよね。

不安と疑問を解消する

SNSで投稿する。ホームページで情報掲載する。ネットショップに商品を並べる。それぞれは難しい操作ではなく、また「閲覧がまったく無い」ということもないでしょう。

私は多くの中小企業経営者様、Web担当者様とお話をしていますが、「投稿のしかたが分からない」「アクセスが増えない」というお悩みは意外に多くありません。「投稿は出来ているし閲覧もされているようだが、そこから来店や問い合わせが増えない」ということにお悩みのかたが多いです。

様々な切り口で改善を図っていくわけですが、私は「お客様の不安や疑問を解消するような情報提供が出来ているか?」という点を中心に問題を探っていくことが多いです。
ネットで「お客様の不安や疑問を解消するような情報提供をして来店や問い合わせにつなげる取り組み」のことを、私は「ネットでの"接客"」とか「ネットでの"もてなし"」と呼んでいます。

ネットで接客することで来店や問い合わせに向けての後押しをするようなイメージです。例えば読者の皆様のSNS発信、ホームページ内容などでは、以下のような点(ユーザーが不安や疑問に思うであろうポイント)がクリアになっていますか?

■どんな人が対応してくれるのかな...?

→顔写真やイラストで店主の姿を見せる。またはブログやYouTube動画で考えや人柄を出しましょう

■他の利用者はどう言っているのかな...?

→お客様の声を記載しましょう。また利用エピソードを描写しましょう

■納期や段取りはどうなっているのかな...?

→事業者側は取引の流れを知っているけれども、初めての利用者は知る由もありません。取引のしかたや全体像を示すのは必須です

■納品後のアフターケアはどうするのかな...?

→購入したくなっても、「自宅での手入れのしかた」「修理依頼方法」「自分で行う場合のチェックポイント」などが不明だと購入を諦めてしまうかもしれません

■初心者でもできるのかな...?

→初めて取り組む(利用する/購入する)ユーザーほど不安が大きいものと思います。初めてのかたでも取り組みやすいという趣旨の説明やその根拠、事例(利用エピソード)を示すと安心されるでしょう

図 ユーザーの疑問点に合わせた記載内容
「お客様目線」を養う方法

「お客様目線」を養うために、以下のような取り組みをご提案させていただきます。

(1)リアルにお客様と会話し、そこで使われている「言葉」や「心配事」に注意しながらヒアリングしていく

「お客様が使う言葉でWeb発信する」というのがWeb活用の鉄則です。例えば「スーツのオーダー」とか「オーダースーツ」という言葉はよく使われると思いますが、「注文服」「仕立服」などの言葉はほとんど使われないことでしょう。お客様が使わない、想定しない言葉を使ってWeb発信しても、お客様に検索されることも、ピンとくることもないでしょう。
またお客様が共通して心配になるような事柄は、ぜひWebでも発信しておきましょう。

(2)電車内や雑誌、駅のポスターなどで、ご自身がピンときた表現を書き溜めておく

→それをそのまま拝借する。という意味ではもちろんありません。ご自身が消費者としてピンときた言葉や表現について、なぜそれにピンと来たのか? を自問自答するのがお客様目線の訓練になります。

図 お客様目線を養うための取り組み

次回の最終回のコラムでは、Webを活用してリピーターを作るためにどうするかを考えます。また次回お目にかかりましょう。

※上記の個別の表現については、必ずしも日本政策金融公庫の見解を示すものではありません。
※本記事におけるYouTube は、Google LLC の商標または登録商標です。

掲載日 令和5年8月22日

プロフィール

永友 一朗 永友 一朗

ホームページコンサルタント永友事務所 代表
https://8-8-8.jp/

1973年神奈川県生まれ。「中小零細企業のホームページ運営・改善実務」に精通したコンサルタント。「実践的で、とにかく話がわかりやすい」とクライアントから評されている。
【公職・登録】
*東京都/神奈川県/山梨県/栃木県商工会連合会エキスパート
*(公財)神奈川産業振興センター登録経営アドバイザー 他
【著書】
Web集客の超基本 あなたに最適なツールで、効率よく売上アップを叶える常識64(技術評論社)
Googleマイビジネス 集客の王道~Googleマップから「来店」を生み出す最強ツール(技術評論社)他

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