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マル経融資を利用した事業者の声

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趣味から始まったルアー作りが、今や業界の注目の的に。急成長する釣具メーカーを支える商工会議所の伴走支援

「好き」を仕事に、独自のデザインと機能性で全国の釣り人を魅了する。
急成長の裏にある堅実な資金計画、二人三脚で挑むさらなる事業拡大。

学生時代からルアー作りに携わり、その後独立して経営の道を歩む代表の田中敏雄さん(右)と、田中さんを支援する北大阪商工会議所の堀家さん(左)。

事業所名:株式会社uroco
代 表 者:田中敏雄
所 在 地:大阪府交野市星田北5-19-6-102
創 業:2016年(平成28年)
業 種:娯楽用品製造業
事業内容:金属製ルアーのオリジナルジグ「UROCO JIG」を中心としたソルトルアーの企画・製造を手がける釣具メーカー。大阪湾から紀伊半島エリアで実釣テストを行う専属テスターと連携し、多様な製品ラインを展開。オンラインストア「DIVEDEPT.」を通じた直販体制を構築し、釣り愛好家のニーズに応える製品開発を推進している。

大学の卒業制作から始まった、ルアーメーカーへの道

株式会社urocoは、船からのルアー釣りを専門とする釣具メーカーです。代表の田中さんがこの道に進んだきっかけは、京都の美術大学時代の卒業制作でした。幼い頃から実家の目の前にある池で釣りに親しんでいた田中さんは、卒業制作のテーマに迷った末、「ルアーを作ろう」と思い立ちます。ハンドメイドのルアーを制作・展示したところ、その作品がきっかけとなり、就職課の先生から釣具製造会社の求人を紹介されたのです。

その会社で約15年間、さまざまなメーカーのOEM(受託製造)開発に携わり、ルアー作りのノウハウやマーケットの見方を学びました。そして2016年、満を持して独立。「uroco」という社名は、20代の頃にたまたま街中で見かけた「うろこ」の文字が心に残り、いつか独立したら付けようと温めていたものでした。

同社が戦うフィールドは、船をチャーターし、沖に出て行う釣りです。交通費や船代がかかる上に、根掛かりや魚によるラインブレイク(糸切れ)でルアーを失うリスクもあるため、ユーザーはできるだけ信頼できるメーカーの道具を選びます。そうした釣り人を惹きつけ、ファンになってもらうため、田中さんは「機能性」と「デザイン」の両立を追求しました。

数百メートルの深海までルアーを落とし、それを巻き上げる作業は釣り人にとって重労働です。田中さんは、水の抵抗を計算し、引き重りが少なく、疲れにくい形状を開発。さらに、「まずは釣具店で手に取ってもらわなければ始まらない」と、従来の無骨な釣具のイメージを覆す、ポップで可愛らしいデザインを採用しました。この「使いやすさ」と「キャッチーな見た目」を両立させたルアーは、全国の釣り人から支持を集めています。

機能性とデザイン性の両立を追求したurocoのルアー。ポップで可愛らしいデザインが全国の釣り人から支持されている。

創業時の飛び込み相談から始まった、商工会議所との二人三脚

田中さんと商工会議所の出会いは、創業時まで遡ります。会社を辞めて独立したものの、経営に関する知識不足を感じていた田中さんは、「商工会議所に行けば相談に乗ってくれる」という噂を聞き、飛び込みで窓口を訪れました。そこで対応したのが、現在も担当を務める堀家さんでした。

当時のことを堀家さんはこう振り返ります。「田中社長は『これでやっていくんだ』という思いが非常に強く、事業計画書も驚くほどスムーズに作成できました」

創業融資のサポートを皮切りに、商工会議所は田中さんの事業を多角的に支援してきました。たとえば「uroco」というブランド名の商標登録では、大手企業が類似の名前を取得している懸念がありましたが、堀家さんが紹介した弁理士の助言により問題なく取得できることが判明。無事に商標登録を済ませることができました。また、事務所移転時には商工会議所会員の工務店を紹介し、内装工事を実施するなど、地域とのつながりも事業の助けとなっています。

「創業時の右も左もわからない状態で、帳簿の付け方など一から教えてもらいました。もし最初に商工会議所に出会えていなかったら、もっと事業は手こずっていたと思います。経営者は誰に相談すれば良いかわからず、孤独を感じることも多いですが、親身になって相談に乗ってくれたことが本当に大きかったです」と田中さんは感謝を口にします。

もし最初に商工会議所と出会っていなかったら、かなり苦労していたと語る田中さん。それほど堀家さんの親身なサポートが大きな力になったという。

急成長を支えるマル経融資。攻めの経営を資金面でバックアップ

創業後、順調に業績を伸ばし、法人化も果たした同社ですが、その成長ゆえに資金の確保に悩まされることもありました。新たな商品開発のための資金や、在庫を確保するための仕入れ資金が必要になるたびに、田中さんは堀家さんに相談したといいます。堀家さんは、事業の状況について密にやり取りをしていたため、こうした成長の節目にはマル経融資を提案し、資金調達面でもバックアップを続けてきました。

「マル経融資の最大の魅力は、商工会議所が推薦してくれることで手続きがスムーズに進み、私たち経営者が雑務に追われることなく本業に専念できる点です。今後の展開に必要な金額を相談できることも大きなメリットでした」と田中さんは語ります。

直近では、2025年1月に関東・東北方面への販路拡大のためにもマル経融資を活用しました。市場規模の大きい関東エリアは、関西とは釣り文化も異なり、攻略が難しい市場です。「関東はなんか怖いじゃないですか(笑)」と冗談めかす田中さんですが、実際には現地へ足を運び、釣り船に乗って実績を作り、プロモーション活動を行うという地道な営業を続けています。

堀家さんは、日銀の動向や景気予測に基づいた金利動向を踏まえ、「今のタイミングで借りておいた方がいいですよ」といったアドバイスも行っているそうです。また、二人は同郷であり、田中さんの奥様と堀家さんが高校の同級生という偶然のつながりも発覚。そんな親近感も、何でも相談できる信頼関係の礎となっています。

実は同郷で、田中さんの奥様と堀家さんが高校の同級生だという縁があるお二人。何でも相談できる信頼関係がurocoの経営を支える力のひとつになっている。

アウトドア全般を見据え、さらなる事業拡大へ

コロナ禍で加速したアウトドアブームと、近年のマグロ釣りブームを追い風に成長を遂げた同社ですが、現在はブームの落ち着きや、海水温上昇による魚の生息域の変化など、環境変化による影響も感じています。また、渓流釣りなどのジャンルでは熊の出没問題が深刻化しており、釣り業界全体が厳しい局面に立たされています。

しかし、田中さんはこれを機に、さらに事業の幅を広げようとしています。「今は船釣りのジャンルがメインですが、将来的にはフィッシング全般、さらにはキャンプや山遊びなど、アウトドアレジャー全般を楽しめるブランドにしていきたいです」と意気込む田中さん。

田中さんは、従来の釣りのイメージを覆し、アパレル展開も含めた「おしゃれでカッコいい」新しい釣り文化の創造を目指しています。釣りを通じてつながった人の中には、沖縄で開催したイベントに遠方から駆けつけてくれた方もいるそうです。

「商工会議所のサポートがあったからこそ、ここまで来られました。これからも、自分らしいスタイルで、楽しみながら挑戦を続けていきます」と語る田中さん。商工会議所という頼れる伴走者とともに、urocoの挑戦はこれからも続きます。

経営を支える堀家さんとともに、urocoのさらなる事業展開を目指す田中さん。二人の挑戦はこれからも続く。

【担当者コメント】

業界の有名人になっても変わらない、堅実な経営姿勢

北大阪商工会議所
堀家歳史さん

創業時から関わらせていただき、会社の発展とともに田中社長が業界の有名人になっていく姿を間近で見守れるのは、支援者冥利に尽きます。釣り好きの知人から「urocoの社長を知っているの?」と驚かれることもあり、そのたびに誇らしい気持ちになります。

アウトドア業界で活躍されている姿は華やかにも見えますが、田中社長の経営は非常に堅実で慎重です。無理な借入は決してせず、しっかりと返済計画を立てた上で資金を活用し、着実に売上と利益を伸ばしておられます。また、常に謙虚で、人の話をよく聞く姿勢も素晴らしいです。

私たちは、会員さんの「なんとかしたい」という要望に応えるため、日本政策金融公庫守口支店とも密に連携を取りながらサポートしています。これからも、田中社長の新たな挑戦を全力でバックアップしていきたいと思います。

「1社1社の売上・利益を少しでも増やし、その集合体が、最大の地域活性化となるという信念のもと、みなさんの『なんとかしたい』という要望に応えるため、サポートをしていきたいです」(堀家さん)