マル経融資を利用した事業者の声
事例一覧一人では気づけなかった経営課題。商工会議所のヒーローと一緒に立て直した建設会社の道のりとは
高い施工精度とスピードで評判を呼ぶ建設会社。
「お金のブロックパズル」による可視化、課題は「タスク」に変えて未来への道を切り拓く。
事業所名:株式会社ミウラ
代 表 者:三浦龍哉
所 在 地:宮崎県宮崎市吉村町網掛甲340-1 ピュアコート日光201号
創 業:2014年(平成26年)
業 種:建設業
事業内容:鳶工事全般を手がける建設会社。足場工事を中心に、建物の基礎となるアンカー工事、建物の骨組みを作る鉄骨工事、安全な橋を作る橋梁工事まで対応。現在は従業員3名とともに宮崎県内を中心に安全・確実な施工を提供している。
気づけなかった経営課題、一社依存と増える外注費用による上がらない利益
株式会社ミウラは、足場工事を主軸とした建設業を営む企業です。そんな同社の代表取締役である三浦龍哉さんは、建設業界で長年キャリアを積み重ねてきた職人でもあります。
「若い時は橋を架ける仕事をずっとやっていました。そこで様々な経験を積んで資格を取得していったんです。その後、個人事業主として独立して、最初はアンカー工事という鉄骨が立つ前の足元の工事をメインで受注していました。そこから徐々に建物の周りの足場を組む仕事へとシフトしていき、今では中心業務になっています」
2014年に個人事業主として開業した三浦さんは、その施工精度とスピードで評判を呼び、順調に受注を伸ばしていきました。2020年には法人化を果たし、売上も3期連続で増加するなど、一見すると順風満帆な成長を遂げているように見えます。しかし、知らず知らずのうちに危機が迫っていました。取引先が県外企業一社に依存していたため、遠方の現場に向かう交通費負担は大きく、売上入金までのサイトが長い状況だったことから資金繰りが厳しい日々が続いていたのです。この状況が、のちに会社の行方を左右するものになると、三浦さんはまだ気づいていませんでした。
「私の会社には従業員が3人いますが、現場が複数重なる時には外部から職人さんに応援に来てもらうこともあります。来ていただいた方には当然、すぐにお金を支払わないといけませんが、売上の入金があるのは数か月先という状態で、手元にお金がまったく残らなかったんです。経営者は会社の資金繰りを考えて動いていくべきだと思いますが、私は目の前の仕事を一生懸命やることばかりに目がいっていました」
入金より支払いが先行する中で、資金繰りは日に日に厳しさを増していきました。三浦さんは、自分だけでは何が課題で、どのように解決したら良いのかが分からず、途方に暮れていたといいます。
「このころは、自分でも何をどうしたらよくなるのか分からず、この状況がずっと続くなら、もう会社を畳もうかなと考えるところまで思い詰めていましたね」
そう振り返る三浦さんの言葉からは、当時の切迫した状況がひしひしと伝わってきます。自社でも従業員を3名抱え、その生活を守る責任を感じながらも、打開策が見えない日々が続いていました。このような苦しい状況の中、三浦さんにとっての「ヒーロー」と出会うのです。
「お金のブロックパズル」によって明らかになった経営の実態と改善策
転機が訪れたのは2024年4月頃のことでした。三浦さんは以前から入会していた商工会議所に、本格的に経営相談を持ちかけることにしたのです。そこで出会ったのが、経営指導員の小川さんでした。小川さんは「お金のブロックパズル」というツールを用いて、資金の流れを可視化することから始めました。
「私は支援を行う上で、数字を見える化することを心がけています。ブロックパズルで必要な粗利額を明確にして、資金繰り表に落とし込んでいくんです。明確な目標を設定することで、経営者の方は自然とその達成に向けて行動されるので、私はそのお手伝いをするようにしています。三浦さん自身が自覚されている課題に対して、どのように解決していきたいかという意向を聞きながら、マル経融資の活用を提案しました」と小川さんはいいます。
具体的な数字で示されることで、課題が明確になり、改善への道筋が見える。こうしたお金の流れの見える化は、三浦さんにとって目から鱗が落ちるような体験だったといいます。
「小川さんが作ってくれた資料を見た時に、自分自身では見えていなかった経費がこんなにあったんだって気づいたんです。一つひとつの現場でこれくらいの利益を残していかないと会社は成り立たないっていう数字を見せてもらった時に、確かにそうだなと腹落ちしました。例えば1億円を売り上げても、手元に100万しか残らなかったら経営が立ち行きません。そうした中身の部分も大切だと教えてもらいましたね」
小川さんとの出会いを通じて、経営の本質的な部分に向き合えるようになった三浦さん。こうして、小川さんとの二人三脚による経営改善の取り組みが本格的に始まったのです。
課題を「タスク」に変えて一社依存から脱却。未来を切り拓く攻めの経営改善
小川さんとの定期的な面談は、三浦さんにとって経営の羅針盤となっていきました。3か月に一度、資金繰り表の通りに進捗できているか確認を行い、課題があれば一緒に解決策を考え、それを実行していったのです。
「あの時、自分だけで抱え込まず、小川さんに恥ずかしがらず全て話して、本当に良かったと思います。何がネックになって資金繰りが回っていないのか、本質的な経営課題が見えていない状況でしたが、小川さんにメスを入れてもらったことで、会社が抱える課題が明確になりました。課題が分かれば、それはもう解消していく「タスク」になります。経営指導と合わせて、マル経融資の活用をアドバイスしてくれたおかげで、そのタスクを解消することができ、お金がスムーズに回るようになったんです」
経営が最も厳しかった時期、三浦さんが口にした言葉を、小川さんは今でも忘れられないといいます。
「一番苦しい状況の中で、三浦さんが『負けませんから』とおっしゃったんです。その覚悟に触れた時、私も負けていられないなと思いました。今回の経営改善は、そんな三浦さんの姿勢と能力、そこにマル経融資という力が組み合わさった結果だと思っています」
マル経融資を活用して資金繰りを安定させた三浦さんは、さらに本質的な経営課題の解決へと一歩足を進めます。一社依存体制からの脱却や、入金サイトの長い取引条件の見直し、さらに利益率向上を図るため外注依存度の抑制など、自社の構造的な課題の解決を進めました。その過程では一時的な売上減少により資金繰りが厳しくなる時期もありましたが、小川さんと共に作成した資金繰り表で状況を予測できていたため、冷静に対処することができました。そして、今では安定した会社経営を行えるまでになっています。
あきらめない心を支えたヒーローの存在、事業拡大に進む会社
数々の努力が実を結び、事業の拡大を実現。小川さんによる継続的な経営指導と、マル経融資による資金的な支援、そして三浦さんの諦めない姿勢が、株式会社ミウラの再建を実現させたのです。三浦さんは、小川さんとの関係が自身を支えてくれたと振り返ります。
「経営者は孤独だとよく言われますが、小川さんがいてくれたおかげで、その孤独を感じることはありませんでした。本当に親身になって、自分の時間を割いて資料を作ってくれて、一緒に考えてくれたんです。途中、何度も心が折れそうになりましたが、小川さんを裏切りたくないという思いが、私の背中を押してくれましたね。小川さんは私にとって、ヒーローなんです」
苦しい時期を乗り越え、安定した経営を実現した三浦さんには、新たな目標が生まれていました。それは、次の世代へ確かな事業基盤を残していくことです。
「会社っていうのは継続してずっと続けていくものだと思うんです。なので、長いお付き合いができるお客様がいて、継続して仕事が入ってくるような会社にしていきたいですね。会社が本当に苦しかった時期に、従業員たちは私の見ていないところで『社長はきつい状況でも、めちゃくちゃ動いて頑張ってくれている』と話してくれていたそうです。それを人づてに聞いた時は本当に嬉しくて、どんなことがあっても仲間たちのために頑張り抜こうと決意しました。私の今の目標は、会社をしっかりと継続させ、仕事をいただけるお客さんを大切にしながら、きちんと仕事が来るという整った状況で次の世代にバトンタッチすることです」
会社の存続について思い詰めていた日々から解放され、今では次世代への継承を語れるまでになった三浦さん。その変化は、商工会議所の伴走支援とマル経融資がもたらした確かな成果といえるでしょう。次世代へとバトンを渡すその日まで、三浦さんの挑戦は続いていきます。
【担当者コメント】
事業者と密に向き合い、
不安を明確化することで、解決すべき「タスク」へと変えていく
宮崎商工会議所
小川誠司さん
マル経融資は、「経営指導に融資の力を」という言葉がまさにぴったりだと感じています。私たち経営指導員の支援に、融資が加わることで、事業者様の経営状況を具体的に改善することができるのです。支援を行う上では、単に融資のお手伝いをするだけではなく、その過程で事業者様とどれだけ密にコミュニケーションを取れるかが重要だと考えています。
経営改善は早い段階であればあるほど、選択できる手段も多くなります。ですから、ハードルを感じることなく、些細なことでも気軽にご相談いただける関係性を築いていきたいですね。不安というのは、分からないからこそ不安なのです。状況が明確になれば、あとは一つずつ解決していく「タスク」になりますから、どんな小さなお悩みでも、まずはご相談いただければと思います。