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マル経融資を利用した事業者の声

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自ら店舗を出店して最新のオーダーシステムを実演販売 深刻化する人手不足を解消する仕組みを提案

お父様が病に倒れ、突然事業を引き継ぐことに。

経営指導員と力を合わせて経営改革を推進

藤原美奈社長(右)と大阪商工会議所の小野寺正裕さん。「小野寺さんは気軽に何でも相談できる心強い存在」と話す藤原美奈社長。

事業所名:ダイヤ事務機株式会社

代表者:藤原 美奈

所在地:大阪市北区同心2-14-19

創業:1968年(昭和43年)5月

業種:事務機器・各種店舗運営システムの販売

事業内容:レジスターの販売をはじめ、POSレジ、オーダーシステムを販売。自社の販売商品を導入した、ショールーム型のラーメン店「麺場 田所商店」を展開する。

商材の見直しを図り事業を黒字化へ
経営指導員のサポートを受けて経営改革を推進

ダイヤ事務機株式会社は、レジスター販売を始めて54年、メーカー直営店ならではの専門知識ときめ細やかなアフターサービスで、今やその販売実績はトップクラスを誇っています。

しかし、2009年に入社した当時は、とにかく毎日が大変だったと藤原美奈社長は話します。

「先代である父が病に倒れ、突然事業を引き継ぐことに。会社や商品のことがまったく分からない状態で、お客様対応、取引先への支払いなど日々業務をこなしていかねばならず、息つく暇もありませんでした。また、リーマンショックの影響などで、景気の先行きが不透明な中、どのように販路を開拓していくべきか、会社の将来を考える日々が続きました」

そんな中、藤原社長は大きな決断を下します。当時は、大きなレジスターが主力商品でしたが、藤原社長は、「タブレットやスマートフォンが急速に普及する中、レジスターの商品ラインナップはいずれ大きく変わる」と予測し、どこよりも早くタブレット型POSレジを主力商品に位置付けて、ビジネスを展開することに。今でこそタブレットを活用したオーダーシステムは珍しくありませんが、10年前は扱っている企業はまだ少なかったといいます。

改革を進める藤原社長が出会ったのが、付き合いのあった大阪商工会議所で新しく担当経営指導員となった小野寺正裕さんでした。

「当時の私は、会社を建て直すため、コンサルティング会社に相談するなどしていましたが、高い勉強代を払うばかりの日々…。そんな私の相談に乗り、小さな企業では知りえないような情報を提供してくれたり、新商品を導入する際に利用できる補助金を案内してくれたりしたのが小野寺さんでした」

藤原社長は、小野寺さんとともに、補助金申請に必要な事業計画書を一緒に作り上げていく中で、将来の経営像を共有し、ともに会社の未来を考えていくようになりました

2号店となる京都八幡店。田所商店の商品力に加え、経営理念やビジョンに共感できたことが、フランチャイズ加盟の大きな理由に。
ダイヤ事務機が販売する配膳ロボット「T5」。スタッフが乗せた食事を各テーブルへ運ぶ。

ショールーム型のラーメン店を開業
新たな挑戦も指導員が後押し

改革が功を奏し、順調に売上を伸ばしていたある日、藤原社長は小野寺さんを訪れ、「田所商店のフランチャイズに加盟して、ラーメン店をやりたい」と相談をもちかけました。

「オーダーシステムの販売を行う際、カタログや一部の端末を見てもらうだけでは、商品全体の良さは伝わらないと痛感し、自社の商材を導入したショールーム型の飲食店を運営しようと考えました。システムを活用して業務効率化を図れば、最小限の人員で最高のサービスを提供できる。そのことを、人手不足に悩む顧客に知ってもらいたいという思いもありました」

しかし、お父様から事業を引き継いで約3年。ようやく事業も軌道に乗ってきた頃合いで、年商の半分以上となる投資が必要な新規事業を始めるとなれば、慎重になる指導員も少なくありません。小野寺さんも最初は耳を疑いましたが、藤原社長の強い“想い”を感じ取り、すぐに背中を押したと言います。

「新規で事業を始めたいという相談で私が一番重視するのは人脈。フランチャイズ本部の田所商店は、ダイヤ事務機の取引先であり、藤原社長とは既に強力な信頼関係が築かれていることから、ブレーキをかける必要はないと判断。人口統計データなどを利用して店舗の立地についてアドバイスをしたり、資金調達の相談に乗ったりして、社長の決断を後押ししました」

小野寺さんからのお墨付きを得た藤原社長は、2020年に大阪・八尾に1号店を、さらに2021年には京都・八幡に2号店をオープンさせました。新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、小野寺さんのアドバイスを受け、マル経融資を利用することに。

「保証人や担保が不要なマル経融資は本当に助かりました。いざというときに会社を助けてくれる、お守りのように思っています」

マル経融資が「お守り」ならば、小野寺さんは、何でも相談できる「パートナー」だと話す藤原社長。2023年2月には、大阪・吹田に3号店がオープンしました。ショールーム型ラーメン店の全国展開を目標に、これからも二人の旅は続いていきます。

テーブルオーダーシステム。深刻化する人手不足対策として注目を集めている。
藤原社長おすすめの「北海道味噌炙りチャーシュー麺」。味噌漬けチャーシューを注文後に炙って提供。ほかにも伊勢味噌、江戸前味噌などを使ったラーメンが楽しめる。

【担当者コメント】

経営課題の本質をしっかり捉え
事業の発展をサポート

大阪商工会議所 北支部
小野寺正裕さん

藤原社長のビジョンを具現化した店舗で、一緒にラーメンを食べたときのことは、今でも心に残っています。事業のことは何も心配していませんが、忙しい藤原社長の負担を少しでも減らせるよう、今後もしっかり伴走していきたいと思っています。

日々の業務では、事業者の方の目先の利益を考えるのではなく、ヒアリングする中で「経営課題の本質は何か?」をしっかり捉え、中長期的なビジョンを提示していくことを心がけています。その上で、今やるべきことの優先順位について助言し、問題点を一つずつクリアにしながら、資金が必要な際は融資につなげ、事業の発展をサポートしています。

大阪商工会議所 北支部 小野寺正裕さん