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マル経融資を利用した事業者の声

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急増する受注に足場部材が足りない 商工会の経営指導で売上が 10 倍の成長企業に

受注が拡大するほど足場部材の調達資金に悩む社長。
企業の成長性を感じた経営指導員は、思い切った融資の提案を…。

さらなる成長を目指す井上聖志社長。1日150本の電話に応対し、スケジュールを組み立てている。 どんな受注に対してもていねいな仕事を心がけている

事業所名:株式会社 SHS
代 表 者:井上聖志
所 在 地:神奈川県足柄上郡
創 業:平成 25 年
業 種:足場設計・施工
事業内容:建築の高所作業時、作業員の足掛かりのためにつくられる構造物「足場」を扱う。鋼管をくさびで緊結するくさび足場の設計・施工・解体を行っている。

足場工事の会社で 13 年経験後、創業
労災保険の相談で経営指導員と出会う

株式会社 SHS は、神奈川県や東京都をはじめ、関東エリアを対象に、建築現場の足場設計・施工を行っているくさび式足場の職人集団です。
足場工事とは、住宅や中高層マンションなどの建築工事を行う時に必要不可欠な最初の工程であり、事故防止や人命に関わるため、高い技術力と経験が必要とされます。
同社の代表取締役である井上聖志社長は、足場工事の会社に 13 年勤務し、独立・開業を果たしました。
「元々、足柄上商工会という名前も知っていたので安心感もあり、創業を決意してからすぐに相談に行きました。労災保険の加入手続きなどを相談したのですが、優しく丁寧に話を聞いてくれました」
この時、井上社長に応対したのが足柄上商工会の野本要事務局長(当時、経営指導員)です。
「最初に話をした時から、落ち着いていて誠実な人だとすぐにわかりました。当時は従業員が1人しかいなかったにもかかわらず、彼のために労災の手続をしたいという考え方、意欲的に仕事に取り組む姿勢に、支援したいと感じました」
それ以来、井上社長は将来の夢やアイディア、解決すべき課題など、なんでも野本さんに話すようになりました。
「建設関係も競争が激しい業界です。競合相手、外部環境の変化などの悩みを打ち明けられると、『負けないようにがんばろう!』という思いを持ち、さらにサポートにも熱が入るようになりました」
会計事務所での税務・コンサルタント業務、民間企業での経理・営業、アンテナショップの店長経験などのキャリアをもつ野本さんは、幅広い知見を活用して、井上社長の事業をサポートしていきました。
野本さんの見込み通り、井上社長の労を惜しまない真摯な経営姿勢、丁寧な仕事ぶりで受注が拡大。創業時は2社だった取引先が増大し、大手メーカーの仕事も請け負うようになりました。

現場を通りかかった業者から「足場の組み方がきれいだったので発注したい」と依頼の連絡があったことも
令和元年には、足場部材の置き場として約2600㎡の土地を購入

受注は増えたが、資金繰りが追い付かない
安定経営のためにマル経を利用

しかし、順調だった井上社長に思わぬ落とし穴が。

「受注が予想以上に急増したため、足場部材が足りなくなるケースもでてきました。このままではまずいと思い、野本さんをたずねました」
野本さんのサポートもあり、地元の信用金庫からだけでなく、日本公庫からマル経の融資を受けることができました。
マル経には、無担保・無保証だけでなく、井上社長のような多忙な経営者には大きなメリットがありました。
「現場に出るのが日常なので、経理の詳細を聞かれても対応できないんです。マル経の場合、私のことをよく理解してくれている野本さんが手続きを進めてくれたので、非常に助かりました。また、マル経を利用したことで、これまで以上に関係性がすごく深まったと思います
野本さんの支援によって会社は急速に成長。社長のスマホには、問い合わせや依頼の電話がどんどんかかってきます。
「仕事が増えたのは、お客様の口コミが大きいですね。うちの足場を見かけて、きれいに組んであったから…とご連絡いただくこともあります。個人のお客様でも、管理会社や住宅会社でも、ご依頼をいただいたら絶対断りたくない。そして、どんなに忙しくても手を抜かずに丁寧に対応してきたことで、お客様からの信頼を得られているのかもしれません。こうやって事業に専念できたのは、野本さんが背中を押してくれたおかげ。
そのサポートがなければ、今の成長はないと思っています

現在従業員は 10 名。売上も創業時より 10 倍に伸長しました。
「事業が急成長し、いつも忙しい社長の健康だけが心配。これからも伴走しながら同社がさらに『化ける』のを見届けたいと思っています」
井上さんの話に耳を傾けていた野本さんは、満面の笑みでそう語りました。

受注が増加すると、部材が足りるかどうか不安になる。その課題を解決するために、長期的な成長を 予測して、マル経を活用し部材を確保

【担当者コメント】

多彩なキャリアを現職に活かし
意欲のある事業者を伴走型で支援

足柄上商工会
野本 要 さん

会計事務所での勤務や民間企業勤務、アンテナショップ勤務などの経験をもとに、規模を問わず多業種の事業者様を対象に、敬意をもって対応するように心がけています。近年足柄上商工会では、新規創業のご相談が増加。創業時の届け出、金融相談をはじめとした経営全般のニーズに、ワンストップで応えられる体制をつくり、意欲のある創業者を育てる伴走型の支援を目指しています。今後は支援のニーズをきちんと把握し、的確にサポートできる人材、事業者が変わるきっかけをつくる人材を育てたいと思います。

足柄上商工会 野本 要 さん