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マル経融資を利用した事業者の声

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コロナ禍による経営危機 経営指導員と二人三脚で脱出!!

夢だった大きな店舗への移転後、緊急事態宣言が発出。
熱意のある経営指導員がとった改善の一手とは?

凄腕の料理人として知られる上原知弥社長。現在は経営者としての腕も磨いている

事業所名:株式会社上屋
代 表 者:上原知弥
所 在 地:岡山県津山市
創 業:平成16 年(個人)、令和2年(法人)
業 種:大衆居酒屋
事業内容:コンテストで3連覇を獲得した牛肉料理をはじめ、旬の地元素材を使った幅広いメニューが人気の居酒屋を経営。市中心街に位置し、仕事帰りのビジネスマンや観光客などのお客様が来店している。

9坪の居酒屋を深夜まで営業
大きな店への移転を夢見ていた

津山市中心街のメイン通りから、1本入った路地に佇む居酒屋「上屋」。扉を開くと、市内外からの大勢のお客様の賑わいで溢れています。

「夫婦で切り盛りする9坪のお店がスタートでした。カウンターが4席、テーブル12席の回転数を上げるために、深夜2時まで営業。いつかは大きな店を持ちたい…という夢を、ずっと持ち続けていました」

平成26年、上原社長は知り合いに勧められて津山商工会議所を訪れました。

「将来の移転に向けて信用を高めるため、マル経の活用を勧めてもらい、一層、店を繁盛させることに専念しました」

その甲斐もあり、平成28年、上原社長は津山市観光協会が主催する「牛うまっ王選手権」に参戦し、看板メニューの「ネギまみれの焼きそずりポンズ」で優勝。3連覇して殿堂入りを果たします。

江戸時代、津山藩が養生食として奨励した肉食文化を現代も継承する津山市では、畜産業や精肉業が盛んで、焼肉屋や肉を扱う飲食店がたくさんあります。肉の目利きと調理の技を誇る料理人を抑え殿堂入りを果たしたことで、上屋の人気はさらに高まりました。

令和元年、上原社長は、若い頃アルバイトをしていた居酒屋の物件が入居店を募集していることを知ります。古民家風の風情のある店を内見すると〈ここで商売がしたい〉という気持ちが湧いてきました。

すぐに商工会議所に移転費用の相談に行った上原社長の前に現れたのが、土井紀佳経営指導員でした。

「上原社長の実績は申し分ないのですが、これまでの店の5倍以上の広さの場所に移転するということを聞き、移転後の収支見込みを慎重に算出。その結果、採算は見込めると判断し、マル経を推薦しました」 苦労の甲斐があって、無事にマル経融資が決定。年末に前店舗は閉店し、新店舗の賃貸契約を済ませて、改装準備が始まりました。

「牛うまっ王選手権」3連覇、殿堂入りした看板メニュー「ネギまみれの焼きそずりポンズ」
津山名物の「干し肉」を使ったメニュー

移転オープン直後に緊急事態宣言
マル経の追加融資で危機を回避

令和2年4月5日、移転したニュー上屋がオープン。1階25席、2階55席。約80名のお客様に、厨房3名、3~5名のアルバイトという体制で満を持しての開店です。

ところが、移転直後の4月7日、津山でも一人目の新型コロナウイルス感染者が出たと発表され、翌日からお客様は激減しました。

「このあたりの繁華街からは人の姿が消え、まるでゴーストタウンのようでした。感染対策に万全を期しましたが、来店客がほとんどない日が続いて、私の顔は真っ青になっていました」

そんな上原社長の脳裏に浮かんだのは土井さんの顔。早速相談に商工会議所を訪れました。

実は土井さんも、コロナ禍で移転オープンした上屋の営業状況を大変心配していました。

「広い新店舗に移転したことで、売上がコロナ前より上回ってしまい、使える支援策がほとんどない状態でした」

それでもアルバイトにも生活があるからと給料を支払い、予約受付ノートを24時間携帯し予約客を取りこぼさないようにしている上原社長の姿を見て、土井さんは奮起しました。

「上原社長なら、コロナが落ち着けば必ず売上は回復する。ならば、追加資金を投入することが最善の支援方法と確信し、マル経の再利用を検討。前回の融資から4カ月しか経っていないため、審査が厳しいと予想されましたが、将来的に売上が伸びる根拠を示して社長のやる気と力を伝えたいと思いました

融資は無事に実行され、最悪の時期を乗り越えることができました。緊急事態宣言も明け、客足が戻り、昨年度の売上は当初計画を大きく上回ったという上原社長。

「コロナ禍を乗り越え、将来は人を育てて店舗をさらに増やしたいと思っています。何かあったらすぐに土井さんに相談しますよ。私にとっては最後の砦のような存在。これからも頼りにしています」

「人通りが減ったコロナ禍だからこそ、明るい灯を」という思いで毎夜点灯している看板
趣のある店内だが、換気やタブレット注文など万全な感染対策を施している

丁寧な調査で推薦書を作成
事業者の頑張りを伝えたい

津山商工会議所
土井 紀佳 さん

津山商工会議所では、総務課を経て、記帳専任職員を9年担当。多数・多業種の決算書を読み経営のアドバイスをしてきたことが、経営指導員になった今も活かされていると思います。無担保・無保証のマル経は、金融支援として有効で、積極的にお勧めしています。推薦にあたっては、前回の調査内容を鵜呑みにせず、改めて自分でしっかりと聴き取ることを心掛けています。調査を行うことで、経営に関するお悩みをうかがい、専門家派遣や補助金の活用など、マル経実行後の具体的な支援につなげています。

津山商工会議所 土井 紀佳 さん