株式会社PITTAN
代表取締役:辻本 和也
所在地:大阪府
事業領域:ヘルステック
Interview


株式会社PITTANは、肌に3分間パッチを貼るだけで、汗中の微量成分を解析し、体の状態を可視化するヘルスケアサービス「Nutrifull(ニュートリフル)」を開発・提供するスタートアップだ。
百貨店のコスメカウンターやフィットネスジムを中心に導入が進み、美容・健康・栄養管理など幅広い分野で活用されている。2022年に神戸市で創業。わずか数年で注目を集める存在となった背景には、ディープテック領域に挑む強い問題意識と現場の声に基づくスピード感ある事業開発がある。
辻本和也社長は、京都大学大学院で半導体技術を応用したセンサー研究に従事。学生時代から「テクノロジーを予防医療に活かしたい」という想いを抱いていた。
卒業後は大手半導体製造装置メーカーで研究職としてキャリアをスタート。その後、エンジニアリング企業やコンサルティング会社での経験を通じて、技術だけでなく経営やM&A、システム構築などビジネスサイドの知見も蓄積していった。
「日本の大学や大企業には優れた技術や人材がいるのに、プロダクト化されないケースが多い。大企業では意思決定に時間がかかる。ヘルスケア領域で技術を活かすには、自分でやるしかないと思いました」
同じ研究分野を背景に持つCTOの児山氏との出会いを経て、PITTANは誕生した。
PITTANのミッションは「健康寿命を延ばし、誰もが元気に生きられる社会を実現すること」。
Nutrifullの最大の特徴は、血液や尿に代わり、微量の汗から体内状態を解析できる点にある。検査のための絶食や採血を必要とせず、誰でもどこでも測定できることで、ヘルスケアのハードルを大きく下げる。
さらに、測定データを活用したアプリも開発。体内の栄養状態やコンディションを可視化し、個人に合わせた栄養・美容提案を可能にした。
加えて同社は、汗を起点とした新しい健康指標(バイオマーカー)の研究・開発にも取り組み、個人の健康データ活用の可能性を拡張しようとしている。

革新的な体液分析プラットフォーム「Pitagoras(ピタゴラス)」
スタートアップにとって資金調達は大きな壁となるが、PITTANには辻本社長のビジョンや誠実な人柄に共感したVCや個人投資家、事業会社などが集い、強固な支援ネットワークが形成されている。起業当初から日本政策金融公庫に資金面を相談しながら関係構築を進め、現在は大手銀行からの融資も受けるなど、周囲を上手く巻き込みながら資金面・信用面の両面から事業基盤を着実に強化している。
「創業初期は、資金、人材、税務や法務など、課題は本当に山積みでした。メンバーの中には、大手企業からスタートアップへの転身に家族の反対があった者もいます。それでも、必ずやり遂げるという強い覚悟があったからこそ、ここまで来ることができました。覚悟を決めた瞬間から、周囲の景色が変わり始めました」
分析装置開発、センサー技術、データ解析、ユーザー体験(UX)を中核に据えた設計、マーケティングまでを内製化したチーム体制も特徴だ。分野ごとに外部の専門家と連携することで、研究開発からサービス実装までを一気通貫で進められる。
「技術力だけでなく、チーム力こそがPITTANの最大の強みです」と辻本社長は語る。

微量の汗を低コストで分析する技術を開発
同社は「Technical Pop」をコンセプトに掲げ、高度な技術を誰もが使える形に落とし込むことで人々の行動変容を促している。上場のさらに先にある、社会にインパクトを与えるというゴールに向けて、新規バイオマーカーの開発や海外展開も加速させる方針だ。
「やりたいことや目指す社会を口にすることで、道は開ける。信じて突き進むことが起業家には必要だと思います」
誰もが健康データを活用でき、より長く、よりよく生きられる世界へ。汗解析から始まるPITTANの挑戦は、次世代ヘルスケアの姿を描く。

株式会社PITTAN
所在地:大阪府大阪市北区中之島4丁目3−51中之島クロス502
設立:2022年6月
代表取締役:辻本 和也
事業内容:微量生体成分分析技術の開発、及び超小型かつ超高速分析装置を用いたヘルスケアサービスの展開