事業承継マッチング支援

知る

事業の譲渡・譲受の進め方ポイント解説

事業を譲り渡したい
中小企業・小規模事業者の方

事業を譲り受けたい
中小企業・小規模事業者・
継ぐスタの方

1. 支援申込書の記入

支援申込書の記入

1支援申込書表面(お客さまの基本情報)の記入のポイント

各項目の記入の留意事項

▼支援申込書 表面(画像をクリックタップすると拡大表示します)

支援申込書 表面
法人名・商号(屋号) 個人企業の方で、商号(屋号)を定めていない方は空欄で差し支えありません。
個人企業の方・
法人代表者の方のお名前
記名で差し支えありません。
事業所所在地 法人企業の方は本店所在地、個人企業の方は営業所所在地をご記入ください。所有・賃貸の項目は、法人のほか、代表者の方もしくはご親族の所有物件の場合も、所有としてください。
自宅所在地 代表者の方のご自宅をご記入ください。代表者が複数の場合は、どなたかお1人のご自宅をご記入ください。 所有・賃貸の項目は、ご本人のほか、法人やご親族の所有の場合も所有としてください。
携帯電話番号・
メールアドレス
お相手探しの中で、頻繁に日本公庫とやり取りすることも想定されますので、主な連絡先は携帯電話かメールをおすすめします。
本支援を知ったきっかけ 該当するものをご選択ください。
公庫ホームページへの掲載
(任意)
掲載を希望される場合はチェックを入れてください。
広くお相手探しを行うため、匿名情報を掲載されることをおすすめします。
事業承継・引継ぎ支援センターへの紹介(任意) 国が運営する事業承継・引継ぎ支援センターにも登録することで広くお相手探しが可能です。専門担当者が登録のサポートを行います。
公庫におけるお客さまの情報の取扱いに関する同意事項・本支援に関するお客さまの責任等に関する同意事項 よくお読みいただいた上で、ご同意ください。
チェック項目へのチェック漏れにご注意ください(漏れている場合、お申込を受付できない場合がございます。)。

2支援申込書裏面(事業の譲渡に関する登録情報)の記入のポイント

各項目の記入の留意事項

▼支援申込書 裏面(画像をクリックタップすると拡大表示します)

支援申込書 裏面
地域・組織形態・業種 地域や業種によっては、情報が詳細過ぎると、個社・個人が特定されるリスクがありますので、ご注意ください。
事業内容 事業内容は、お相手が興味を惹かれるポイントになります。事業の内容、主な顧客、商品・サービスの内容、販売・提供方法等をご記入ください。個社・個人が特定されるリスクにはご留意のうえ、できるだけ詳細にご記入ください(200字以上をおすすめします。)。
詳しくは、チェック1 事業内容とアピールポイントの記載をご覧ください。
業歴・売上高(直近期)・
経常利益(直近期)・
従業員数
個社・個人が特定されるリスクを避けるため、実数ではなく、該当するレンジをご選択いただきます。個人企業の方は、経常利益を事業所得に読み替えてください。
純資産(直近期)・役員数 法人企業の方のみご記入ください。
許認可 保有されている許認可をご記入ください。
アピールポイント 技術・ノウハウ、店舗立地等の特徴、業界での地位、他社よりも優れている点等をご記入ください。少々専門的な内容になっても構いませんので、具体的に記入されることをおすすめします。本欄が魅力的であるほど、お相手がお客さまに興味を惹かれる可能性が高まります。
事業の譲渡を希望する理由 なぜ事業を譲り渡したいのかを、詳細にご記入ください。
希望譲渡形態 該当するものをご選択ください(複数選択可)。
詳しくは、チェック2 希望譲渡形態をご覧ください。
希望譲渡金額 希望金額がお決まりでいない場合は、空欄にしていただき、お申込後に専門担当者とご相談ください。
詳しくは、チェック3 希望譲渡金額をご覧ください。
相手方に関する希望 所在地域、事業規模、業種、業歴等について、お相手に関する希望をご記入ください。特に、日本公庫のホームページに自社の情報を掲載する場合、どういった後継者を望んでいるかを示されることは重要です。
詳しくは、チェック4 お相手に関する希望をご覧ください。
希望譲渡時期 特定の希望譲渡時期がある場合は、ご記入ください。
その他希望条件 上記以外にご希望がある場合は、ご記入ください。
チェック 1
事業内容とアピールポイントの記載

1. 十分な文章量を記入する
お相手に興味を持たれにくい支援申込書の代表例として、記入されている文章量が少ない申込書が挙げられます。個社・個人が特定されるリスクを過度に気にした結果として、文章量が少なくなってしまうケースがありますが、お相手がお客さまの事業内容を具体的にイメージできないのでは本末転倒です。このようなケースでは、お申込後に日本公庫の担当者がお客さまと相談しつつ、記入内容を変更する場合もありますが、お客さまにしか分からない情報をアピールしきれない可能性があります。そういった状況を避けるために、事前に十分な文章量のご記入をおすすめします。

2. 技術・ノウハウ等の譲り渡す方法についても記入する
事業の譲渡によって経営者が交代した後、技術・ノウハウ等を含め、事業が継続できるのかは、お相手にとって非常に重要なポイントです。技術・ノウハウ等のほとんどを経営者が属人的に有している場合や、それらを有している従業者が事業の譲渡に合わせて退職される場合等は、事業を譲渡するハードルは上がります。十分な承継期間を設ける必要がありますし、お相手は同業者に限られる可能性があります。他方、事業の大部分を任せることができる従業者がそのまま残るのであれば、より幅広いお相手に興味を持ってもらえると考えられます。

チェック 2希望譲渡形態

個人企業の場合は、事業譲渡(全部)、法人の場合は株式譲渡(全部)となるケースが大多数ですが、複数の事業を営んでおり、一部のみを譲渡したい場合や一部の株式の集約ができないケースだと事業譲渡(一部)、株式譲渡(一部)となることもあります。
実際にどういった形態で譲渡するかはお相手との相談事項ではありますが、基本的な考え方は整理しておく必要があります。

譲渡形態別の選択例
譲渡形態 選択する場面の例
事業譲渡(全部) 譲渡希望の方が個人企業
事業譲渡(一部) 事業の一部のみを譲渡する場合
株式譲渡(全部) 譲渡希望の方が法人企業
株式譲渡(一部) 従業員等が株式の一部を保有しており、集約する必要がない場合
チェック 3希望譲渡金額

1. 基本的な考え方
本来は、企業評価ができる専門家に相談した上で決めることが望ましいですが、目安として時価純資産額+営業権(のれん)として経常利益または事業所得の1~3年分程度が一般的と言われています。純資産額は不良債権など実質的に資産性がないもの等を考慮すると、実態に近い価格を算出することが可能です。また、譲渡価格算出ツールをご利用いただくことで、簡易的に評価額を算出することができます。

純資産がマイナス(法人企業の場合)である場合
純資産がマイナス(債務超過)である=譲渡ができないということではありません。お相手はお客さまの将来性や従業員、お取引先など様々なポイントを多角的に検討し、評価するはずです。まずは、お相手に現状をお伝えしたうえで、交渉に臨むことが重要です。

チェック 4お相手に関する希望

事業の譲渡後、経営するにあたって必須と思われる資格やスキルなどがありましたらお相手に関する希望として記入されることをおすすめします。日本公庫ホームページに掲載する場合、幅広い層から問い合わせがあります。そのため、事業規模、地域、業種などの、理想とする相手像を記載することで、理想に近いお相手が見つかる可能性が高まります。

2. お相手探し・秘密保持契約

お相手探し・秘密保持契約

1お相手探しのポイント

▼一般的なお相手探しのフロー

一般的なフロー
チェック 1情報管理の徹底

ノンネームシートの提示先を選択される段階で、譲渡を希望するお客さまは、お相手の個社・個人名を知ることになります。どういった企業が事業の譲受を検討しているか等、お相手に関する情報は機密情報となりますので、事業の譲渡に向けたご検討以外でのご利用や第三者に開示または漏えいしないよう、厳重な管理が必要です。

チェック 2秘密保持契約

ノンネームシートの確認後、お客さまとお相手が事業の譲渡に向けた交渉を進められる場合は、秘密保持契約を締結します。秘密保持契約を締結した上で、お客さまの3期分の決算書や会社案内等をお相手に提供することが一般的です。
なお、秘密保持契約書のひな形は、日本公庫の事業承継マッチング支援の専門部署(国民生活事業本部 事業承継支援室)で用意していますので、ご利用を希望される場合は、専門担当者までご依頼ください。

チェック 3事業承継の可能性が高い会社、低い会社

会社の状況や希望条件により、事業承継の可能性が高くなるケースと低くなるケースがあります。
一般的には、次のような特徴があります。

可能性が高い会社 可能性が低い会社
  • 業績良好、純資産がプラスもしくは赤字でも一過性のものや改善見通しがある
  • 譲渡希望金額が適正
  • 事業を任せられるキーマンが残る
  • 事業の譲渡が活発な業種
  • 恒常的な業績不振、債務超過額が大きい
  • 譲渡希望金額が高すぎる
  • 代表者への事業依存度が高い
  • 事業の譲渡が活発ではない業種

3. トップ面談・企業訪問

トップ面談・企業訪問

1トップ面談のポイント

チェック 1トップ面談とは

トップ面談とは、お客さまとお相手が初めて顔合わせを行う面談であり、お相手のお人柄や相性を判断する重要な場になります。事業内容等に関する疑問の解消に加えて、企業の歴史や経営に対する考え方、更には今後の展望などを共有し、お互いの信頼関係を構築すること等が目的です。
トップ面談前に、お相手から質問リストを受け取った場合は、当日スムーズにこたえられるよう事前に回答を考えておきましょう。

チェック 2トップ面談の留意点

より良いトップ面談にするため、留意すべきポイントがあります。

トップ面談で話すべきこと、聞くべきこと
お相手が受け継いで事業を継続できるイメージを持てる話をする
お相手は、お客さまが長年経営していた事業を受け継いだ後、ご自身がその事業を円滑に経営できるかを不安に思いがちです。具体的な事業内容のご説明に加え、他社との違いや競争優位性、事業の譲渡前後に十分なサポートをすること、お客さま以外に営業を任せることができるキーマンが譲渡後も残ることなどを説明しましょう。また、お相手のどのような点に魅力を感じ、経営を任せることができると判断されたのか、率直に伝えられることも大切です。事業継続に必須な許認可等がある場合は、それが継続できるかどうかを事前にご確認いただき、お相手に伝えられることも必要です。
お相手の経営方針や譲受目的を把握する
一般にトップ面談は、事業の譲受を検討される方のご質問に、事業の譲渡を検討されている方がお答えになることが多いですが、質問事項の回答にとどまらず、お相手の経営方針や譲受目的を把握することも重要です。
例えば、お相手の主な目的が、自社で不足している人材の確保であれば、事業の譲渡後に残る従業員の待遇の悪化は考えにくいため、比較的安心して交渉を進められるかもしれません。
気を付けるべきこと
相手に敬意を払い、傾聴する
高圧的な姿勢や、乱暴な言葉遣い、上から目線等が原因で、交渉がまとまらないこともありますので、謙虚な姿勢が望まれます。また、自社のことを想い、良い相手を探したい一心で相手を試すような質問や態度を取ってしまう方もおられますが、トップ面談の場では、お相手の話を傾聴し、人となりをよく知り、信頼関係を築いていくことが必要です。
お相手の質問には簡潔に回答する
よくある失敗として、企業の沿革を、創業から現在に至るまで長時間説明してしまう、過去の苦労話に終始してしまう場合があります。そういったお話をお相手が望まれていれば別ですが、お互いに限られた時間の中でのお話合いとなりますので、基本的には、お相手からのご質問に対して、要点を簡潔に話すことを優先しましょう。
お相手への説明の準備
トップ面談に向けた準備が不足していたがために、お相手が聞きたいことにうまく回答できず、後日改めて回答されることが必要となる場合もあります。お相手からトップ面談時に、「聞きたいと言われている事項」や「見せてほしいと言われている資料」については、できる限り準備しておくことが重要です。

2企業訪問のポイント

チェック 1従業員に説明するタイミング

一般的に事業の譲渡の話を従業員に開示するのは譲渡契約を結び、株式や事業の譲渡が完了した日にすることが多いです。
ステップ5で説明するデューデリジェンスを行うために、協力してもらうことが必要な従業員や、極めて重要な役員などには事前に説明する場合もありますが、従業員の退職や情報漏えいのリスクがあるため、譲渡が完了するまで言うべきではないという考え方が一般的です。

チェック 2譲渡条件の変更

お相手がお客さまの事業に興味を持ち、積極的なアピールがあると、譲渡希望金額を上げたいなどの欲が出てしまうことがあります。譲渡を希望される方の中には、少額ならさほど影響がないと考える方もいますが、お相手からすると、「当初聞いていた条件が変更になった」ということになり、「今後の手続きの中でも条件を変更されるのではないか」という不信感を抱かれかねません。お相手に一度提示した条件については、事後的に変更しない方がスムーズな事業の譲渡につながります。

4. 意向表明・基本合意

意向表明・基本合意

1基本合意・意向表明のポイント

チェック 1意向表明とは

意向表明とは、譲受希望の方が譲渡希望の方に対して、譲受意思を示すものです。必ず提出しなければならないものではありませんが、基本合意(チェック2)を結ばれない場合は、意向表明書を提出されることをおすすめします。意向表明書には、譲渡価格や独占交渉権の付与等をご記入いただきますが、それらの文言に加え、想定されるシナジーや譲受への想いについてもご記入いただき、ご自身の考えをより詳しく伝えることも可能です。

チェック 2基本合意とは

トップ面談後、数度の交渉を行ったうえで、デューデリジェンスや詳細な条件交渉を行う段階に進むために、この時点での合意事項を書面で締結します。この合意を基本合意といい、基本合意によって、お相手に独占交渉権が付与されることが一般的です。基本合意を行わない場合もありますが、成約するまでお客さまは、他の譲受希望者との交渉が可能であるため、お相手は、別の譲受希望者が現れる可能性があるという不安定な状況となります。そうした状況は、円滑なデューデリジェンスの妨げとなるため、基本合意を結ぶことをおすすめします。

基本合意に盛り込まれる、主な項目は以下のとおりです。

株式譲渡の場合 事業譲渡の場合
  • 譲渡予定の株数、譲渡価格
    ※デューデリジェンス等の結果で価格調整ができる旨を含みます。
  • デューデリジェンス、最終契約までのスケジュール
  • 独占交渉権の付与と有効期間
  • 秘密保持、解除権、費用、協議事項等
  • 譲渡対象資産・負債の範囲、譲渡価格
    ※デューデリジェンス等の結果で価格調整ができる旨を含みます。
  • デューデリジェンス、最終契約までのスケジュール
  • 独占交渉権の付与と有効期間
  • 秘密保持、解除権、費用、協議事項等

5. デューデリジェンス

デューデリジェンス

1デューデリジェンスのポイント

チェックデューデリジェンスとは

これまでの交渉で確認してきた資料の信ぴょう性、簿外債務や未払残業代の有無等を確認するために行われる調査をデューデリジェンスといいます。「財務」「労務・人事」「法務」などの種類があり、必要に応じて実施されることになりますが、基本的に譲受を希望される方が専門家を通じて実施するため、お客さまはヒアリングへの対応や資料提出にご協力いただくことになります。どの程度のデューデリジェンスを行うかは、譲受を希望される方の意向次第ですが、非常に多岐にわたる資料を要求されることも少なくないため、場合よっては用意できない資料があることも考えられます。そういった場合は、お客さまとお相手の間で相談しながら協力していくことが必要です。

デューデリジェンスの主な調査項目は以下のとおりです。

財務 売上債権の回収可能性
棚卸資産の資産性
有価証券・不動産・保険積立金の時価評価
保証金・繰延資産の資産性
一過性の損益の把握
役員報酬の把握
家事按分の把握
労務・人事 就業規則の確認
労基署の調査の確認
社会保険・労働保険の確認
未払給料・未払保険料の確認
労働組合との関係の把握
法務 許認可の確認
訴訟の有無の確認

6. 契約締結・クロージング

契約締結・クロージング

1契約締結・クロージングのポイント

チェック 1譲渡契約の締結

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な条件を確定し、譲渡契約書を作成します。
契約後のトラブルを避けるためにも譲渡契約書は専門家の支援を受けることを強くおすすめします。

譲渡契約書の主な項目は以下のとおりです。

株式譲渡の場合 事業譲渡の場合
  • 譲渡予定の株数、譲渡価格
  • 譲渡実行日
  • 表明保証・損害賠償
  • 保証債務、担保権の抹消
  • 譲渡対象資産・負債の範囲、譲渡価格
  • 譲渡実行日
  • 表明保証・損害賠償
  • 保証債務、担保権の抹消
チェック 2表明保証とは

事業の譲渡の手続きにおいて、明らかになった事実が真実であることを表明し保証することを表明保証といいます。デューデリジェンスをしっかり行ったとしても、全てのリスクを明らかにすることはできません。そのため、表明保証をすることで、明らかになっていないリスクをどちらが負担するかを確認します。譲渡希望の方だけではなく、譲受希望の方も行います。表明保証を行う範囲などは、専門家の支援を受けつつ、お相手と調整することが必要です。

チェック 3クロージングとは

契約締結後に、代金を支払うことをクロージングといいます。契約締結とクロージングを同日にすることが望ましいですが、契約内容に、代金支払い前に成就させる条件がある場合は契約締結とクロージングは別日にします。

最後に

事業譲渡・譲受の契約は、その後の経営のスタートにもなるものです。
お客さまとお相手の双方が満足のいく事業承継となるように、お互いが相手に敬意を持って、協力していくことが大切です。

事業譲渡はスタート