
経営実態の把握においても、 理系的な視点が活かされる
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学生時代
私は大学院の修士課程まで、合計6年間大学に通っていました。1~3年目は大学合唱団の活動に打ち込み、4年目から研究室で、シロアリの腸内細菌のゲノム解析の研究活動に取り組みました。シロアリが木を食べて分解し栄養源とするメカニズムを明らかにするための研究です。在学中に、2種の腸内細菌の完全長ゲノムの解読に成功し、学会での発表を行いました。コロナ禍という特殊な時期で、就職活動との両立もあり大変でしたが、限られた時間の中で有意義な研究活動ができたと思っています。
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日本公庫を選んだ理由
最初は研究職に就くことも考えましたが、より多くの人の暮らしに直接影響する仕事、人の役に立っていることを実感できる仕事に就きたいと思い、文系就職を軸に就職活動を進めました。日本公庫を知ったのは、「政策金融機関」という存在に興味を持ち、調べたのがきっかけです。私は三重県出身で、以前から地方の衰退には課題意識を持っていました。そのため、地域経済を支え、雇用を確保している中小企業に対し、融資という形で直接支援を行う日本公庫の仕事に大きな社会的意義があると感じ、応募を決めました。
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理系出身ならではのエピソード
企業の事業・技術を理解するうえで、理系出身であることはプラスになっています。経営者と話すこと、財務書類を精査すること、工場を見学することは日本公庫の仕事の基本ですが、理系としての目線を交えて質問すると、より深い面白い話を聞けることも多いです。また、初めて会うお客さまへの自己紹介でも興味を持ってもらえることがあり、日本公庫職員としての自分の個性の一つになっていると思います。融資担当になって間もない頃、味噌製造業者を訪問した際、腸内細菌の研究をしていた話で盛り上がり、ビジネスマッチングに繋がったこともありました。
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成長を感じた仕事
現在は融資担当者として、広島県西部の約140社を担当しています。融資担当になり1年が経った頃、これまで日本公庫と取引のなかった新規のお客さまへの融資案件を担当しました。新規案件は、日本公庫側が持っている会社情報が少なく審査手続が大変ですが、審査が終わり契約に至ったときに、お客さまから「吉岡さんがうちの事業に興味を持って、たくさん質問してくれて嬉しかった」という言葉をいただきました。このように、会社の支援に愚直に取り組んでいると、嬉しい言葉をいただくことがあり、自分の成長を感じられ、もっと頑張ろうという気持ちになります。
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将来の夢、キャリアビジョン
「新事業・スタートアップ支援室」という部署に興味を持っています。ここはスタートアップ企業向けの融資を扱う部署で、一般的な中小企業への融資審査と少し色合いが異なり、事業の革新性、将来の成長性を特に重視します。新しい技術・サービスの理解という点で、理系であることを今以上に活かせる部署と考えています。何より、スタートアップの経営者と話し、信頼関係を築き、支援することに魅力を感じています。また、地元・三重県に貢献したい気持ちも強く、一人前の職員となった暁には、三重で一度仕事をしたいとも考えています。
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就職活動をするみなさんへのメッセージ
デジタル化が進行する中、日系企業で理系学生の注目度は高まっており、専門分野の知識だけでなく、研究活動で培った論理的思考や粘り強く取り組む力、研究をまとめ上げ発表した経験などが高く評価されているように思います。学生の皆さんにはさまざまな選択肢があるので、自分の専門分野だけに目を向けるのではなく、幅広い業界・業種を調べて「自分はどんな仕事をして社会にどう貢献したいか?」を考えてほしいと思います。そのうえで、日本公庫で中小企業を支援することに興味を持っていただけたら大変嬉しく思います。悔いのないように、就職活動頑張ってください!