キャリア支援

日本公庫は質の高いサービスを実現できる人材、お客さまに信頼される人材の育成を目指します。

人材育成の概要・主な施策

日本公庫では、職員一人ひとりの能力・やる気をさらに高め、質の高いサービスを実現できるよう、多様な教育機会を提供しています。 政策金融を担う者として期待される役割を最大限に果たすため、現在、以下の施策に積極的に取り組んでいます。

  • ● 質の高いサービスを実現するための基礎教育の充実
  • ● 高度なマネジメント能力・専門性を強化するための人材アカデミーを開校
  • ● お客さまの多様なニーズに応えられる専門知識・スキル習得のための研修、資格取得支援

研修体系

日本公庫の教育体系は、内部研修、職場内教育(OJT)、外部研修、自己啓発支援の 4つに分類されます。
内部研修には、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3事業共通で実施する階層別研修のほかに、専門的な能力習得のために各事業がそれぞれの方針に基づいて実施する事業別業務研修があります。
また、職員の能力を最大限に活かし、強い組織力を発揮できるよう、高度なマネジメント能力及び高い専門能力を有する人材、女性管理職を育成するため、「人材アカデミー」を開校しています。
OJTは、配属された職場で日常業務を通じて、上司や先輩職員から計画的に指導を受けるものです。
外部研修では、中小企業診断士養成課程への研修派遣や関係省庁などへの業務派遣を行っています。
自己啓発支援は、財務分析や金融法務のスキルアップを図るための通信教育や中小企業診断士などの資格取得を支援する制度で、多数のメニューを整えています。

新人教育の特徴

新入職員には、日本公庫の社会的使命と役割を認識し、仕事への誇りと自信を早期に醸成することを目的として、特に力を入れて教育を行っています。入庫後、まずは日本公庫の概要や社会人としての基礎を学びます。その後、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3事業合同による研修や、各事業による研修と現場でのOJTを繰り返し、公庫業務に関する基礎知識、融資審査の基礎スキルを習得していきます。
新入職員が自律的な判断力を備え、自ら考えて行動する職員に成長できるよう、基礎的な知識から段階的にスキルアップできる体制を整備しています。

政策金融を担う者として、お客さまに寄り添い、さまざまなご相談に真摯に向き合い、しっかり応えられる人材に育ってもらいたいと考えています。そのために、新入職員研修では、金融や経営に関する基礎知識はもちろん、コミュニケーション力をはじめとする社会人としての基礎も学びます。日本公庫の職員としてお客さまに信頼を寄せていただくにはどうしたらよいかを常に考え、また、楽しく、やりがいをもって働く自身の将来の姿を描きながら、日々努力を重ねる習慣を身につけてほしいと思います。
より多くのお客さまのニーズにお応えできる政策金融機関職員をめざし、ともに学び、成長していきましょう。

堀江 久則 人事部 人財育成課長
新入職員研修体験者の声
国民生活事業 武田 温心 仙台支店
国民生活第一事業 企業支援課

新入職員研修では、学生から社会人へのマインドチェンジを図り、業務に必要となる金融知識や社会人としての基本的なスキルを学びます。金融に関する知識が未熟であり不安でしたが、研修でのさまざまな講義やワークを通じて基礎知識を習得することができました。また、仕事への取り組み方やビジネスコミュニケーションを学び、業務遂行力を下支えする能力を身につけました。そして、同期との交流は、モチベーションの向上にもつながりました。
日本公庫は、研修制度が充実しており、人材育成のための体制が整っています。支店においては、若手を育てていこうという気風に満ちていて、先輩方から日々丁寧な指導を受けています。自身の業務スキルの習得度合いを上司と確認することで、目標や目指すべき姿を設定し、一層のスキル向上に取り組んでいます。

農林水産事業 隈元 皓大 大分支店 融資課

新入職員研修では、社会人の基礎となるビジネスマナーをはじめ、日本公庫で働くうえで必要となる「審査の基本」、「営業の基本」などを学びました。私は農学部出身であったため金融の知識に不安がありましたが、基礎から学べること、不明点は同期や先輩に質問することで、知識を習得することができました。また、フォローアップ研修やエリア別の研修など、若手職員を育成するカリキュラムが整備されていることも日本公庫の特徴だと思います。
支店に配属された直後は正直不安でいっぱいでしたが、OJT担当をはじめ、支店の先輩方が丁寧に指導してくれたため、日本公庫には人材を大切にする風土が根づいていると感じました。現在はOJT担当の営業訪問に同行するなどして、研修で得た知識をどのように現場で活かしていくかを学んでいます。お客さまや先輩職員と接することで多くの気づきがあり、日々自分自身の成長を実感できています。

中小企業事業 豊島 颯太 青森支店 総括課

新入職員研修では、日本公庫の基本理念・社会的使命をはじめ、社会人の基本となるビジネスマナーや業務を進めるうえで必要な金融知識を学びました。礼儀作法などの基礎的な知識から財務分析、システムの操作方法などの専門的かつ実践的な内容まで、同期との深いつながりを強く実感し、高いモチベーションと目標を持ちながら習得することができました。
日本公庫には新入職員研修のほか、OJT制度やブロック別の研修・勉強会など充実した人材育成制度が揃っており、幅広く業務に関する知見を養うことができます。支店に配属された直後は大変不安を感じていましたが、OJT担当を中心とした先輩職員の懇切丁寧なご指導のもと、日々、不明点について聞きやすく解決しやすい環境で業務に励むことができています。「一人ひとりの職員を大切にする風土」と「日々の積み重ねによる成長」を実感できるのが日本公庫の最大の特徴だと思います。

研修体験者・資格取得者の声
体験した研修 中小企業診断士養成課程研修、
民間企業への企業派遣研修
東京中央支店 融資第一課 助川 修義 Nobumichi Sukegawa 平成23年入庫
商学部 会計学科卒
Q1
体験された研修制度と研修内容について教えてください。
私が体験した研修制度は、半年間の中小企業診断士養成課程研修および1年間の民間企業への企業派遣研修です。中小企業診断士養成課程研修とは、一次試験合格者が中小企業庁のカリキュラムを終了することにより、中小企業診断士の登録試験が与えられるものです。その研修では、講義やグループワークを通じて知識の習得を図り、実際に中小企業に対して改善提案を行う実習を通してコンサルティングスキルを磨くことができました。企業派遣研修では、実際の業務を1年間行うことで民間企業の経営の実態を学ぶことができました。
Q2
研修を受けるまでの経緯を教えてください。
審査業務にあたり、お客さまの多岐にわたる経営課題に対してアドバイスするための知識やノウハウが自分に足りないと感じていました。そんなときに幅広く経営について勉強ができる中小企業診断士の資格取得に向けた勉強を始めました。以前から養成課程研修に行っていた先輩方から、企業へのコンサルティング実習などで実践を積むことができる当研修のメリットを聞いていました。中小企業診断士の一次試験に合格した際には、当研修への参加にチャレンジしたいと思っていました。
Q3
研修を体験されて苦労されたこと、
心がけていたことなどを教えてください。
普段の業務では、使用しないパソコンスキルやロジカルシンキングなどの習得に苦労しました。養成課程研修では、改善提案書を作成するために問題点や課題を抽出するなどの正確な情報を収集する必要があります。その情報収集の方法やその分析手法について、知識の習得を心がけるとともに同じチームのメンバーと議論などを行い、切磋琢磨しながらノウハウを共有しました。
Q4
研修(派遣先)で得た経験や知識などを教えてください。
企業派遣研修では、工場で力作業を行うことや営業同行を行うなど、派遣先企業の全部署を経験することができました。その後、数々の改善プロジェクト(新事業構築、基幹システム構築、ホームページの更新など)に参加をして新しい取組みを社員の方とともに行いました。実際の現場を経験したうえで経営陣と今後の戦略を考えたことで、民間企業でしか味わえない仕事の進め方、考え方を学ぶことができました。プロジェクトでは中小企業診断士養成課程研修で学んだことを応用することやIT関係の専門的知識を学ぶ必要があったため、自己研鑚に励みました。
Q5
経験と資格を今後どのように活かしていきたいかを教えてください。
中小企業診断士としての知識や企業派遣研修で学んだことを活かし、ご相談いただいたお客さまに的確なアドバイスができるようになりたいと思っています。経営者の方と同じ目線で経営課題を検討し、一緒に解決策を考えていきたいです。財務内容などの表面的なものではなく、お客さまの強み、課題を整理して、今後の外部環境を踏まえてどのような戦略が必要であるか、日本公庫としてどのようなサポートができるかを検討していきたいと考えています。
研修体験者・資格取得者の声
習得した資格 農業経営アドバイザー
北見支店 融資課 柴田 祐作 Yusaku Shibata 平成23年入庫
生物資源環境科学府
農業資源経済学専攻修了
Q1
取得された資格の内容、
その資格がどのように業務に活かせるのかを教えてください。
農業経営アドバイザー制度とは、農業経営者に対する経営改善支援に必要なノウハウを有する人材育成を通じて、農業経営の発展に寄与することを目的として創設された制度です。私は平成29年度に農業経営アドバイザーの資格を取得し、畜産業者に対する6次化支援として、農家レストランの円滑な開店に向けたコンサルティングを実施しました。具体的には、マーケティング会社などと連携して、立地条件の良い店舗探しから始め、商品開発やマーケティング、収支計画の作成支援、試食会による課題の抽出などを行いました。
Q2
資格取得までの経緯を教えてください。
農業経営者は生産だけにとどまらず、自ら加工・販売等の6次化に取り組むことで、直接消費者に自分の作った商品を届けたいという思いを強く持っています。また、経営規模の拡大に伴い農業経営者の法人化も増えています。農業経営の多様化により農業経営者が抱える課題は複雑となっており、日本公庫の職員は、その課題に対応するため、農業経営の発展に向けたコンサルティング機能の発揮も求められるようになっています。そこで、私は、今まで以上に知見を深め農業経営者の信頼を得られるようになるため、農業経営アドバイザーの資格を取得することを決意しました。
Q3
研修を体験されて苦労されたこと、
心がけていたことなどを教えてください。
農業経営アドバイザーの資格の取得にあたって、東京で5日間の研修・筆記試験のほか、後日面接試験が行われます。当研修では、農業簿記、農業税務、農業経営診断、労務管理、マーケティングおよび農業政策など、多岐にわたって専門知識を学ぶ必要があります。職員は日々の業務の中で農業分野の専門知識に触れる機会が多いですが、内容が難しくボリュームもあるため、研修後や通勤時間に毎日コツコツと復習することによって、理解の定着に努めました。
Q4
資格を取得してよかったこと、変わったことなどを教えてください。
北海道では、毎年1回、北海道農業経営アドバイザー連絡協議会「かけはし」という農業経営アドバイザーのスキルアップを目的とした勉強会および交流会を札幌市で実施しています。「かけはし」では、農業への新規参入や事業承継などの最重要の地域課題について講演を行ってもらうほか、農業経営アドバイザーとしてどのような支援ができるか、グループに分かれてディスカッション・意見交換を行います。「かけはし」には、毎年、全道から100名ほどの農業経営アドバイザーが参加しており、人脈を広げることにも大きくつながっています。
Q5
資格を今後どのように活かしていきたいかを教えてください。
農業経営者が抱える課題を解決するにあたって、税務・会計・労務などの高度な専門知識を必要とすることが多いため、日本公庫の職員のみでの課題解決は非常に難しいと思います。大切なのは外部の専門家と連携して、地域を巻き込んで農業経営者を支援していくことだと考えています。まずは農業経営アドバイザーとして、農業経営者の身近な存在として経営相談をされるようになりたいと考えており、経営分析による課題の抽出に努めたいと思います。課題が浮き彫りになった時点で外部の専門家との連携を強化し、課題解決をサポートしていきたいと考えています。
研修体験者・資格取得者の声
体験した制度 海外留学制度
東京支店 中小企業営一事業 樋口 史紀 Takanori Higuchi 平成29年入庫
法学部 法律学科卒
Q1
体験された制度と内容について教えてください。
日本公庫の留学制度に応募し、イギリスのオックスフォード大学への留学を経験しました。留学中は不安定な立場に置かれた国家・地域・民族に関する現代国際政治や近現代欧州政治史、また、英語論文の執筆に関する講義などを中心に履修しました。同じ学部には世界各地の外務省勤務者が多く在籍しており、授業は討論やスピーチ、各国の大使館訪問など実学に重きを置いたものでした。私は金融機関出身者としてユーロ導入の功罪、欧州中銀の抱える構造的な課題と改善に関する考察などの複数のエッセイを執筆しました。
Q2
制度に応募するまでの経緯を教えてください。
最初に配属された大阪支店ではインバウンド需要や製造業の海外進出などが活況な地域でしたが、その後、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、一気に事業者の方々が苦境に立たされるさまを目の当たりにして、日本経済における国際投資の重要性を痛感しました。また、個別の投資案件でも各国の税制や外資規制などに自分の知識では対処できず、当時の上司の指導や助言に完全に依存していたことから専門性が欲しいと思い、英語を活かして海外直接投資を始めとした国際政治・国際金融の知見を得るために留学制度に応募しました。
Q3
留学制度を体験されて苦労されたこと、
心がけていたことなどを教えてください。
BrexitとCOVID-19、そして周辺国の地政学リスクなどのさまざまな要因で国・自治体の公的規制や大学のローカルルールが日々目まぐるしく変化している中で留学をしました。従って滞在中は前例に頼ることができない状況が続き、未経験の状況に自力で情報収集して対処する力がつきました。また、後述の通り、学生同士の交流を促す場が沢山設けられているため私生活がとても楽しく、ネイティブスピーカーと同じ基準で提出を求められる課題との両立がとても大変でした。
Q4
海外留学で得た経験や知識などを教えてください。
オックスフォード大学には生活の拠点となる寮や歴史のある学生団体、少人数セミナーなど学生同士の交流を促進するさまざまな仕組みが用意されています。同級生には会社経営者や弁護士、公認会計士など社会人経験が豊富な学生もいて、各自の経歴や出身国に基づき政治・経済・文化・宗教など、人類が抱えるさまざまな問題について紅茶を片手に議論する日々はかけがえのない経験でした。また、英語力に関してもIELTSのスコアで8.0とそれなりに胸を張って仕事に活用できる水準にまで高めることができました。
Q5
海外留学での経験を
今後どのように活かしていきたいかを教えてください。
日本は経済・歴史・政治体制・外交関係などさまざまな面で世界的にみても独自色の強い国家であると改めて感じており、中長期的には日本の政府系金融機関でしか対処できない課題が沢山生じてくるという確信があります。今後は日本企業の生産性向上のためにお客さまの海外関連の課題解決に貢献できる仕組みづくりを行いたいです。また、私と同じコースと並行してオックスフォードのビジネススクールに通っていた友人らが、公益のためにMBAを取得している姿に強い感銘を受け、来年度から仕事と並行して国立大の夜間MBAに通学します(このような自己研鑽と挑戦を応援してくれる会社でもあります)。