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PRツールとしてのSNS活用 後編

体験=コトの提供

いざ、SNSを活用しよう!と思ったときに、何を発信しようかなと悩んでしまう方も多いと思います。発信したいことが不明確で、SNSを使うことが目的のようになっていると、悩みがより深くなります。また、商品やサービスを売り込みたいという気持ちだけでは、受け手にとって好ましい発言ではなくなりがちです。そんな時には、是非、みなさまの事業は何を提供しているのか、というところを考え直していただきたいです。
例えば、美味しいお菓子を売っている事業者がいたとします。お客様は、もちろん味によってお菓子を選ぶわけですが、多くのお客様は、実際にはそれほど違いが分かるわけではありません。そこで、このお菓子がどのようなこだわりによって作られているのか、という情報を付加すると、なるほど、いいね!と感じることも増えるでしょう。このとき、お客様は、単にお菓子を買っているわけではなく、体験できるストーリーを買っています。
つまり、この事業は、お菓子を口に入れる瞬間だけでなく、お客様がお菓子を買う前から続く一連の「美味しさにつながる体験」を提供していると言えます。

モノからコトへ

モノからコトへ

商品やサービスそのもの、つまり「モノ」でなく、お客様が得られる体験価値である「コト」を提供

背景にあるストーリーを共有しよう

みなさまの事業が何を提供しているかによって、SNSという手段を使って発言したいことも様々だと思いますが、意識しておいて欲しいことのひとつに「ストーリー」があります。商品やサービスが提供されるまでに、どのような準備、どのような工夫をしているのか、何を考えているのか、どこで何を使って作っているのか、など、裏側にあるストーリーをお客様と共有するのです。
なぜそうするかと言えば、世の中にはモノが溢れているからです。価格や機能性、味や美しさだけでは差別化が難しく、お客様も違う要素を求めています。その違う要素のひとつが、共感できるストーリーです。どんな歴史があるのか、どんな人が何を考えてどんな技術で作っているのか、には独自性が生まれます。環境や、関わる人の労働条件に配慮した商品であることや、健康に気を配っているシンボルとしての価値などを求めている人もいるでしょう。商品やサービスに付随するストーリーを買うことで、精神的に身の回りを整えて、心地よく暮らしていくことが求められていると言えます。
SNSに限らず、多くのホームページやチラシなどでもストーリーが共有されていますが、SNSは臨場感を持ってタイムリーに情報共有ができるので、より強力な手段となります。s/p>

ストーリーの共有

ストーリーの共有
商品を注文して届くよりもずっと前からお客様にとっての体験が始まります

ビジュアル重視の時代に合わせて 

近年のコミュニケーションでは、文字情報だけでなく、画像や映像が重視されるようになりました。そのため、SNSでストーリーを提供する際にも、写真などを載せることが重要です。そして、その写真や映像の美しさも要求されるようになっています。
プロと同じレベルに到達する必要はありませんが、デザインの基本は押さえておきましょう。写真であれば、構図(写っている物の配置)を少し考えるだけで、写真の与える印象が変わってきます。ネットで「写真構図」などと検索すると、説明してくれるサイトが多くありますので、参考にしてください。
また、文字の配置などもデザインの原則を踏まえて整えると、美しく、情報が伝わりやすくなります。こちらもネットでデザイナーなどが教えてくれていますので|デザイン4原則」などで検索してみてください。SNSの画像だけでなく、ホームページやチラシ、お店のメニューを作るときなど、あらゆる分野でデザインの原則は役に立ちます。

写真の構図

写真の構図
写っているものを画面の中のどこに配置するかで与える印象が変わってきます

デザインの配慮

デザインの配慮

位置が揃っていたり、アクセントがあったりすると、情報が伝わりやすくなります

炎上リスク

最後に注意点として、いわゆる「炎上」を避けることにも触れておきたいと思います。情報発信をしていれば、多少のネガティブなコメントは受け取ると思います。そうしたコメントは目立つので、気になるとは思いますが、ノイズと思って受け流すことも大切です。しかし、みなさんの投稿をネガティブに捉えた方からの批判の連鎖が止まらなくなることは避けたいです。
ネット上に情報を発言するということは、全世界から見られる可能性があるということです。様々な背景を持つ人が目にする可能性があるので、見る人への気配りは忘れないようにしましょう。特に、差別的と取られる可能性には気をつける必要があります。昨今よく指摘されるものでは、「ホワイト=善」「ブラック=悪」という表現も、「白人」「黒人」という表現とともに不当な扱いを受け続けている当事者や、問題意識を持つ人にとって、不快なものになり得ます。表現だけでなく投稿の内容についても、当たり前のことではありますが、問題視されそうなことを確たる情念なしに発信しないようにしましょう。
そして、これも当然のことですが、威圧的な態度を取らないようにしましょう。顔の見えない相手同士のコミュニケーションは、乱暴になりがちです。受け取ったコメントに怒りを覚えたときでも、すぐに返信しないで、まず心の中で6秒以上数えて、自分が怒っていることを客観視してから対処しましょう。
便利なツールというのは、何かを犠牲にして成り立っています。SNSは深い相互理解が難しいツールです。伝える努力を怠らない一方で、分かり合えないこともあるという前提で活用していくことが大切です。

更新類度の目安

更新類度の目安

投稿が多いほどにお客様の注意を引きますが、ツールによって適切な投稿頻度は異なります

改善サイクルを回そう

これまで販路開拓につながるネット上のツールを紹介してきました。どれも有効なツールです。ただ、これを言っては元も子もないかもしれませんが、これをやれば必ず成功する!という手法はないです。
何をするにも試行錯誤が必要になります。次回は、仮説を立て、実行して、成果を確認し、そこからまた次の手を考えていく、改善サイクルの考え方と方法を紹介します。

※本記事におけるFacebook、Facebookアイコン、Instagram、Instagramアイコンは、facebook,Inc.の商標または登録商標です。Twitter、Twitter アイコンはTwitter,Inc.の商標または登録商標です。LINE、LINEアイコン、LINE公式アカウントは、LINE株式会社の商標または登録商標です。Googleは、Google LLC の商標または登録商標です。

■プロフィール

吉田 明弘

吉田 明弘

公益財団法人日本生産性本部 主席経営コンサルタント

1978 年神奈川県生まれ。中小企業診断士。
ソフトウェア開発会社に17年間所属し、組込みシステム開発、印刷会社の生産性向上のためのシステム開発や要件定義を中心に、多くの開発プロジェクトに参加する。開発以外にも様々な業務に関わり、自社の新規事業企画、新人研修、営業なども担当した。企業のIT利活用と不可分である経営に関しても学び、2016年に中小企業診断士の資格を取得。その後独立し、中小企業のIT利活用や研修などに携わっている。吉田明弘事務所代表(https://www.changebiz.net)。 現在、中小機構の中小企業向けIT導入支援サイト「ここからアプリ」運営にも関与。

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