withコロナ時代の販路開拓 デジタルを活用して売れる仕組みを作ろう!
PRツールとしてのSNS活用 前編
売上向上の2つの方向性
SNSというのはSocial Networking Serviceの略で、直訳すれば社会的なつながりを作るサービスです。このSNSを活用して、個人と個人とがつながるのと同じように、事業やブランドと個人との間にもつながりを作ろうとして、多くの企業が SNS を事業活動の中に取り入れています。そして、つながりを作った先には、当然のことながら、売上向上などを実現したいと考えているわけです。
売上向上には、既存顧客により多く買い続けてもらうか、新規顧客を増やすかの、2つの方向性がありますが、SNSを活用するにあたっては、この2つのどちらを狙うのか意識しておく必要があります。一口にSNSと言っても、いくつものアプリがあり、それぞれに特徴を持っています。新規顧客を増やしたいならば、広く情報を拡散できるSNSを選ぶ必要がありますし、お客様の購入頻度を高めたいならば、既存顧客に情報提供しやすいSNSを選ぶと効果が出やすいでしょう。狙いに合ったツールを選ぶことが、結果につながります。
以下では、使い分けのヒントとなるように、代表的なSNSの特徴をお伝えしていきます。
各SNSの特徴

SNSアプリにはそれぞれ特徴があるので狙いに合ったツールを選びましょう
ビジュアル重視の情報収集ツール:Instagram
事業内容によって向き不向きはありますが、新規顧客を獲得していきたいときに、いま一番に検討されているSNS はInstagram(インスタグラム、略称:インスタ)でしょう。画像や映像をシェアするSNSとして、若い世代を中心に普及しています。投稿時にタグ(キーワード)を設定できて、閲覧する人が任意のタグで情報を検索することができますが、10代20代の間では、Google検索よりもInstagramのタグ検索の方が使われていると言われます。そのため、ここで上手く情報発信できると、強い集客力を発揮するでしょう。
ただし「インスタ映え」という言葉があるように、ビジュアル重視のSNSで、ファッションやフード、エンターテインメントの分野では強力ですが、写真や映像で表しづらいモノゴトを発信するのには向いていません。Instagram ユーザーの多くは、「映える」写真や映像を求めており、それを自分でも発信したいと考えています。そのような欲求を満たすのに貢献するような情報発信とビジネスが受け入れられやすいです。

Instagram https://www.instagram.com/
メディアとしてのSNS:Twitter
Instagram とは対照的なテキスト中心のSNSがTwitter(ツイッター)です。短文で気軽に発信できるツールということで、リアルタイムに起きていることが伝わりやすく、災害時の情報収集にもよく使われます。受け手となるユーザーは発信者をフォローすることで、個人が発信する生の情報を集めた自分なりの情報メディアを作ることができます。政治に興味のある人は政治家をフォローするでしょうし、イラストに興味のある人はイラストレーターをフォローするでしょう。そうして、自分にとっての面白さや学びのある発信を、常に受け取れるようにしています。
特定のテーマで、興味のある人にとって価値のある情報や、共感できて心地よい情報などを継続的に発信していくと、フォロワーがついて情報を受け取ってくれる人が増えます。そこから、みなさんのビジネスを知って新たなお客様になってくれる人も増えるでしょう。

Twitter https://twitter.com/
ファンとの交流:Facebook
前述の2つのツールに比べて、Facebook(フェイスブック)は拡散力という点では劣ります。また、他のSNSに比べて10代20代の利用者が少なく、やや古いツールという見方もあります。一方で、既につながりのある相手とのコミュニケーションに向いており、事業者の人となりや、事業活動の裏側などを共有して共感を得ることで、より強くファンになってもらいやすいツールです。グループを作って、その中で閉じたコミュニケーション2 をすることもできて、オンラインサロンを主宰する際にもよく使われています。
友人、家族はもちろん、職場の同僚なども「友だち」として情報共有することの多いツールなので、固すぎず、砕けすぎず、バランスを取りながら使う傾向があります。そのため、事業者からの情報共有も受け入れられやすいですが、半分以上プライベートな空間なので、あまりビジネスが前面に出た発信は好まれないでしょう。ビジョンやブランドを体現する活動や、商品やサービス提供に至る過程、お客様との交流などを自然に共有することで、ビジネスに共感してもらい、そこから間接的に売上につなげていくつもりでいましょう。
Instagram と運営元が同じことからツール間の連携機能もありますが、性質の異なる SNS なので、目的を持って使い分けることをお勧めします。

Facebook ページ作成画面 https://ja-jp.facebook.com/pages/create/
生活インフラにサービスを組み込む:LINE
LINE(ライン)は今や生活インフラとして、日本では幅広い世代に浸透しているSNSです。月に一度以上利用するユーザーが国内で8,800万人いると公表されています(※)。仲間内での気軽なコミュニケーションを目的として、日常の様々なシーンで利用されています。アプリというのはインストールしてもらうのが大変なものですが、既に国民の大多数がインストールしているアプリを活用できるというのは、とても大きな意味を持ちます。
また、事業者向けには「LINE公式アカウント」というサービスが用意されており、「友だち」として登録してくれたお客様に対してメッセージを送ったり、お客様から受け取ったメッセージに個別に返信することができます。事業者からの情報発信を受け入れてもらうホットラインが開通するようなイメージです。特別な商品・サービスの提供やキャンペーンに関する情報、みなさまのビジネスをより効果的に活用するための情報などを提供することで、お客様の体験価値を高めることにつながります。そして、既存顧客の流出を防ぎ、購入頻度を高める可能性があります。
LINE は、ユーザーが設定をOFFにしていなければ、スマートフォンにメッセージが届くとプッシュ通知(お知らせの自動表示)がされるため、メッセージを閲覧してもらいやすいです。お客様の気づきにつながる有益な情報を、うるさくならない程度に提供しましょう。

LINE 公式アカウント https://www.linebiz.com/jp/service/line-official-account/
体験価値を高める情報発信をしよう
今回は代表的なSNSの特徴をお伝えしました。みなさまがどのような狙いを持つかによって、どのSNSを活用するか、それぞれの特徴に沿って選択してください。昨今は、音声や動画に特化した新しい SNS も出てきていますが、ただ流行っているから飛びつくのではなく、本質をつかんで狙いを持って取り入れていただきたいと思います。
次回は、SNS を活用してお客様の体験価値を高める情報発信をしていくにあたっての考え方や留意点などを紹介します。
※本記事におけるFacebook、Facebookアイコン、Instagram、Instagramアイコンは、facebook,Inc.の商標または登録商標です。Twitter、Twitter アイコンはTwitter,Inc.の商標または登録商標です。LINE、LINEアイコン、LINE公式アカウントは、LINE株式会社の商標または登録商標です。Googleは、Google LLC の商標または登録商標です。
■プロフィール

吉田 明弘
公益財団法人日本生産性本部 主席経営コンサルタント
1978 年神奈川県生まれ。中小企業診断士。
ソフトウェア開発会社に17年間所属し、組込みシステム開発、印刷会社の生産性向上のためのシステム開発や要件定義を中心に、多くの開発プロジェクトに参加する。開発以外にも様々な業務に関わり、自社の新規事業企画、新人研修、営業なども担当した。企業のIT利活用と不可分である経営に関しても学び、2016年に中小企業診断士の資格を取得。その後独立し、中小企業のIT利活用や研修などに携わっている。吉田明弘事務所代表(https://www.changebiz.net)。 現在、中小機構の中小企業向けIT導入支援サイト「ここからアプリ」運営にも関与。
メール配信サービス
創業者向け 起業家応援マガジン(登録無料)
創業をお考えの方、創業後間もない方に、経営に役立つ情報をご提供します(不定期配信)。
「起業家応援マガジン」の情報配信サービスをご利用いただく場合、日本公庫がインターネットで提供する無料の会員専用サイト「日本公庫ダイレクト」にご登録いただく必要がございます。
会員情報をご登録の際に、メールマガジン登録の「起業家応援マガジン」にチェックを入れてください。
配信内容
- 経営ノウハウ
- 創業企業の事例
- 創業者向けセミナー・イベント情報
- 融資制度
など
ここから先は、日本政策金融公庫がインターネットで提供する
無料の会員専用サイト「日本公庫ダイレクト」の新規会員登録ページに移動します。
ご登録は最短5分で完了いたします。