[既存事業×新分野]
コロナ禍の今だからこそ、
地方の老舗の絶品グルメを味わえる場を、東京・新橋に
株式会社ミナデイン 代表取締役 大久保 伸隆 様
[所在地] 東京都港区
[公式サイト] https://minadein.com/
飲食店運営
コロナ禍の中、改めて自覚した「足を運ぶ価値ある味」の大切さ
全国チェーンの大手居酒屋「塚田農場」。かつて同店を経営する株式会社エー・ピーカンパニーで、30歳にして副社長に就任した大久保氏が独立して手掛けた店が、東京・新橋にある「烏森百薬」だ。食のセレクトショップをコンセプトに、全国のうまい酒、人気店のレシピを楽しめると評判を呼び、2018年秋のオープン以来、堅実に業績を伸ばしていた。
そんな中、やってきた今回のコロナ禍。休業を強いられる中、通販やデリバリーなども検討した。しかし、その経験が逆に「飲食店とはなんだ? 客が足を運びたくなる味を提供する場ではないのか?」という自覚を強めたという。
「絶メシ」の味と記憶を承継しながら、共存共栄を目指して
そんな折りに知ったのが、群馬県・高崎市の「絶メシ」の取り組みだった。〝地方で愛される、絶やすには惜しい絶品グルメ〟を広げようというテーマに共感した大久保氏は、さっそくタイアップを申し込む。
レシピを教わった絶メシを、烏森百薬のランチ業態「絶メシ食堂」で提供。協力店には1食ごとに売上の5%を還元、という条件提示に当初協力してくれた老舗は3店舗。少ないようにも思えるが、それでいいのだと大久保氏は言う。「軽率にレシピを増やすとお店への還元率が下がり、調理や仕入れの負荷も大きくなる。コロナ禍の中、協力店と当社のどちらにも無理なくプラスの効果をもたらすのが目的なので」。
ピンチが続く飲食業界に明るい話題を呼ぶアイデアを、既存の経営資源を生かしながらコンパクトに実施する。ミナデイン流のコロナとの戦い方は、実にスマートだ。
※ 広報誌「日本公庫つなぐ」22号でもご紹介しております。くわしくはこちら
[想い×連携]
苦しくとも笑いを忘れない、
絶対に諦めない姿勢に全国から支援が集まる
銚子電気鉄道株式会社 代表取締役社長 竹本 勝紀 様
[所在地] 千葉県銚子市
[公式サイト] https://www.choshi-dentetsu.jp
鉄道業
見えない明日のために何ができるか、走りながら考える
銚子電気鉄道株式会社(以下、銚電)は、千葉県最東端を走る全長6.4kmのローカル私鉄。沿線には平地で日本一早く初日の出が見られる犬吠埼や温泉などの観光資源があり、首都圏からの気軽な行楽にはぴったりだ。しかし、銚電に乗るには、JRやバスでまず銚子駅まで行かなくてはならない。
「そもそも銚電が全国的に注目されたのは、資金不足をぬれ煎餅販売でしのいだことから。経営状況はずっとギリギリです。そこに、昨秋の台風で県内のJRが大きな被害を受け、観光客が銚子まで来られない。やっとJRが復旧し、さあ今年は!と意気込んだところにコロナの追い打ちですから・・・お先真っ暗ですよ。しかし嘆いている場合じゃない。何ができるかは、走りながら考えています」と竹本社長。
「自虐じゃない、自ギャグ」の商品開発でヒット連発
現在、銚電は、本数を通常の3割減らして営業中だ。しかし、それでも車両はガラガラで、運行経費がかさんでいく。
その穴を埋めるのは、やはり物販しかない。看板商品のぬれ煎餅に加え、経営状況が「まずい棒」、サングラスと既存グッズを組み合わせた「お先真っ暗セット」、財務が「穴あきマフラー」、線路の石に、着信音・・・次々と繰り出す自虐的なネタ商品がSNSの話題をさらい、全国から注文が舞い込む。また、“超C(銚子)級”映画の上映に加え、YouTubeでのPRも強化するなど、遠隔地のファンづくりにも余念がない。
「自虐じゃなく自ギャグ。なりふり構わず何でもやって、今回も乗り切りたい。絶対に諦めませんよ」という朗らかなガムシャラさが、銚電の流儀だ。
※ 広報誌「日本公庫つなぐ」21号でもご紹介しております。くわしくはこちら