中小企業事業

融資業務・信用保険業務

我が国における中小企業の地位

全企業の99%を占める中小企業
わが国では、全企業の99%を中小企業が占め、全従業員の70%が中小企業に勤務するなど、中小企業はわが国経済の活力の源泉であり、地域経済を支える大きな存在です。

企業数割合

従業員数割合

中小企業事業の役割

国内中小企業の約4割が支援先
一口に中小企業と言っても、そこには多くの従業員を雇用し地域の経済を支えている企業、創業百年を超えるような老舗企業、家族で経営する個人商店など、その規模・態様は実に様々です。中小企業事業では、これら多様な中小企業に対して、融資、信用保険、証券化支援といった多様な金融手法を活用しながら、それぞれの企業に見合った形での幅広い支援を行っています。

中小企業・小規模事業者数割合

中小企業・小規模事業者向け貸付残高

中小企業事業は、中小企業・小規模事業者のうち約140万社(約37%)の資金繰りの円滑化に貢献しており、また、中小企業・小規模事業者向け貸付残高のうち約13%を占めています。

支援先の特徴

平均融資額1億円、平均保険引受額17百万円

融資業務(直接貸付)

信用保険業務

中小企業事業のお取引先(直接貸付先)4.5万社の従業員は約250万人(平成28年3月31日現在)に上っており、雇用の維持にも貢献しています。

業種別融資残高構成比(融資業務)(平成27年度末)

業種別保険引受残高構成比(信用保険業務)(平成27年度末)

企業成長における貢献

上場企業の約2割は中小企業事業の卒業生
中小企業事業は、中小企業専門の政策金融機関として、中小企業の成長・発展を支援しています。これまで中小企業事業との取引を経て、株式の公開を果たした企業は、株式公開企業の約2割にあたる623社(注)となっております。多くの方々がわが国を代表する企業として活躍されています。
特に、平成元年以降については、中小企業事業との取引を経て株式を公開した企業は439社(注)と大幅に増加しており、同じ時期の株式公開企業の増加数である1,443社(注)のうちの約3割を占めるに至っています。
(注) 社数は平成28年3月31日現在において株式を公開している企業数です(上場廃止、合併による消滅等を除く)。

中小企業事業と取引歴を有する株式公開企業

中小企業事業と取引歴を有する株式公開企業(平成元年以降)

民間金融を質と量で補完

融資期間5年超の融資が約5割
中小企業が円滑に成長・発展していくには、適時的確な設備投資の実施と継続的な財務体質の強化が必要であり、このため長期資金の安定的な調達が不可欠です。
しかし、中小企業は資本市場からの資金調達が困難であるなど、一般的に大企業と比較して資金調達の手段が限られています。また、民間金融機関の貸出も融資期間1年以内の短期資金が中心であり、中小企業に対する長期資金の供給は十分ではありません。
中小企業事業では、民間金融機関だけでは対応しづらい長期資金を専門に取り扱っており、融資の約5割が期間5年超の長期資金で、すべて償還計画が立てやすい固定金利となっています。民間金融機関の活動を補完し、わが国経済にとって重要な役割を担う中小企業の長期資金ニーズに応えています。

融資期間別貸出状況(金額構成比)(平成27年度)

〔参考〕民間金融機関の長期貸出の内訳(件数比)(平成27年度)

また、中小企業事業の融資の伸びは、金融引き締め期や民間金融機関がリスクをとりにくい時期(バブル崩壊後の金融調整期や貸し渋り発生期)には高く、逆に金融緩和期には低下しています。 中小企業事業は、景気などの影響から融資姿勢の変動を余儀なくされる民間金融機関の活動を補完するという見地から、中小企業に事業資金を安定的に供給しています。

■中小企業向け貸出残高伸び率(対前年同期比)

政策性の発揮

時代の要請に応じて創設される特別貸付の推進

わが国の政策金融は、新事業育成、事業再生、海外展開など、 リスクが高く民間金融機関だけでは十分に対応ができない分野に対して、国の政策に基づいた金融支援を行っています。
中小企業事業は、これらの政策に基づき、中小企業専門の政策金融機関として民間金融機関を補完しながら、金融を通じて中小企業の成長・発展をサポートするとともに、セーフティネットの機能も果たしています。

イノベーション支援

ベンチャー企業など、高い成長性が見込まれる新事業に取り組む中小企業を支援する特別貸付「新事業育成資金」に積極的に取り組んでいます。同資金には、株式公開を目指すベンチャー企業などを対象として、企業が新たに発行する新株予約権を中小企業事業が取得することにより無担保資金を供給する制度もあります。
さらに、新事業の取組みに必要な安定資金の確保と同時に、財務体質の強化を図ることができる「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」を適用した支援も行っています。本特例による債務の一部は、金融検査上自己資本とみなすことができ、民間金融機関との協調融資の「呼び水」効果が見込まれています。

スキーム例

海外展開支援

約6,700社のお取引先現地法人が海外で活躍しており、中小企業の海外展開を支援する「海外展開・事業再編資金」に積極的に取り組んでいます。また、バンコクと上海に駐在員事務所を設置しており、海外関係諸機関と連携し、セミナーやビジネス商談会、交流会を開催するなどして、中小企業の海外展開における様々な経営課題の解決支援を行っています。
さらに、海外展開している中小企業の、現地での資金調達を支援するため、平成24年度からスタンドバイ・クレジット制度の取扱いを開始し、海外金融機関との業務提携を行っています。スタンドバイ・クレジットは、債務の保証と同じ目的のために発行される信用状です。日本の中小企業(親会社)の依頼を受けて、公庫が現地銀行に対してスタンドバイ・クレジットを発行することで海外子会社が現地銀行から円滑に資金調達できるよう支援します。
平成28年6月末までに提携した海外金融機関は、10行に拡大しており、平成24年度の制度開始以来の累計実績(〜28年3月迄)は214先となっています。

海外展開・事業再編資金の融資実績(事業対象国・地域別)(平成27年度)

提携先海外金融機関(注)(国・地域の英語名のアルファベット順)

スタンドバイ・クレジット制度(スキーム)

再生支援

事業の再生、経営再建や事業承継に取り組む中小企業を資本性ローンの活用などにより支援する特別貸付「企業再生貸付」に積極的に取り組んでいます。
公的再生支援機関や民間金融機関とも積極的に連携しており、全国の中小企業再生支援協議会が平成27年12月末までに再生計画策定支援を完了した10,518先のうち、中小企業事業は2割を超える2,338先の支援に関与しました(平成27年12月末現在の累計実績)

スキーム例

また、平成25年6月に株式会社日本政策金融公庫法が改正され、再生に取り組む中小企業の支援を強化するため、DES(Debt Equity Swap:債務の株式化)機能を追加しました。DESとは、企業の債務(デット)を資本(エクイティ)に交換する(スワップ)ことです。再生の見込みがある企業に対する貸付金を株式に振り替えることで、その企業の財務内容を改善し、事業再生を促進するものです。

地域金融機関との連携

中小企業事業は、融資・証券化支援・信用保険の多様な機能と長年にわたり培った審査力、全国約5万社の顧客データベースに基づく豊富な情報を活かし、「創業・新事業支援」「早期事業再生支援」「証券化支援」「経営相談支援」「人材育成協力」の分野で地域金融機関が行う地域密着型金融の一層の推進を支援しています。具体的には、再生案件や新規案件を中心に、地域金融機関と緊密な情報交換を行い、当事業の資本性ローンを活用した協調支援などに取り組んでいます。平成21年4月以降に具体的な連携を行った地域金融機関は、463行に及んでいます(平成28年3月31日現在)。

資本性ローンを活用した民間金融機関との協調融資事例

顧客支援サービス

経営者との対話を通じて経営課題の解決を支援

融資時だけでなく事後においても、経営者との対話を通じて個々の企業の経営課題を把握し、取引先が成長・発展していくために必要な情報の提供や経営に関するアドバイスを継続的に行っています。

中小企業事業の顧客支援スタイル
中小企業事業は、取引先企業を個々の職員が継続的に担当する体制となっています。職員は、中小企業金融のスペシャリストとして、定期的に取引先等を訪問し、近況把握の中で資金ニーズや情報ニーズ等を把握し、個別の企業に応じた的確な資金供給や情報提供を行っています。

中小企業事業では、長年蓄積してきた中小企業経営に関するノウハウや全国約4.5万社の取引先の情報をデータベース化し、顧客支援サービスに活用しています。中小企業事業の提供する情報は、個々の企業のニーズに応じた、いわば“オーダーメイド”の情報であり、このような「生きた情報」の提供と目利き能力を活かしたアドバイスにより、取引先の成長・発展をバックアップしています。

信用補完機能の発揮

信用保険制度の役割

中小企業事業は、担保力や信用力の乏しい中小企業が金融機関からの借入または社債の発行などにより事業資金調達を行う際に、信用保証協会が行う債務の保証(信用保証)について保険を行っています。信用保険制度は、中小企業の振興を図ることを目的として、中小企業信用保険法(昭和25年法律第264号)などに基づき、中小企業の借入などの保証について保険を行う制度です。この信用保険制度と信用保証制度が一体となって機能することにより、中小企業に対する事業資金の供給の円滑化が図られています。このような仕組みは「信用補完制度」と呼ばれており、国の中小企業金融政策の重要な一翼を担っています。

中小企業の約4割が信用補完制度を利用

平成28年3月末現在、信用保証協会が保証している融資など(保証債務残高)は約25兆円で、中小企業向け貸出しの約10%が信用保証制度の利用によるものとなっています。信用保証制度は136万の中小企業・小規模事業者の皆さまに利用されており、中小企業の約36%が信用保証制度を利用して資金調達を行っていることになります。信用保険制度は、このような保証について保険を行うことで中小企業・小規模事業者の皆さまの円滑な資金調達を支えることにより、経営の安定と事業の成長・発展に貢献しています。