新型コロナウイルス感染症関連の融資
新型コロナウイルス感染症関連の融資は、令和4年3月末時点で102万1,578件、17兆3,199億円を決定しています。
新型コロナウイルス感染症関連の融資は、令和4年3月末時点で102万1,578件、17兆3,199億円を決定しています。
東日本大震災や熊本地震、台風その他の自然災害のほか、国際的な金融不安、経済収縮による悪影響に伴い資金繰りに支障をきたしている方々に対する、セーフティネット関連(注)の令和3年度の融資実績は、23万986件(前年度比26%)、3兆4,330億円(同26%)となりました。
(注)「セーフティネット関連融資」とは新型コロナウイルス感染症特別貸付、災害復旧貸付、東日本大震災復興特別貸付、経営環境変化対応資金、金融環境変化対応資金、農林漁業セーフティネット資金等が含まれます。
日本公庫は、ポストコロナも見据えた、創業・新事業、事業再生、事業承継、ソーシャルビジネス、海外展開、農林水産業の新たな展開、環境・エネルギー対策、DXの推進及び事業の再構築を進めるお客さまへの支援など、成長戦略分野等に積極的に力を注いでいます。
(注)令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、例年と比較して一部融資額・件数等に大幅な変動があります。
(1) 創業融資実績
令和3年度の創業前及び創業後1年以内の企業に対する融資実績は、2万6,000先(前年度比64%)、1,406億円(同57%)となりました。
(2)「新事業育成資金(注)」の融資実績績
令和3年度の「新事業育成資金」の融資実績は、639先(前年度比224%)、272億円(同126%)となりました。
(注)高い成長性が見込まれる新たな事業に取り組む中小・ベンチャー企業を支援する特別貸付制度です。
(3)新株予約権付融資の実績
新株予約権付融資の実績「新事業育成資金」には、株式公開を目指すベンチャー企業などを対象として、企業が新たに発行する新株予約権を日本公庫中小企業事業が取得することにより無担保資金を供給する「新株予約権付融資」があります。
同制度の令和3年度の融資実績は、41先(前年度比273%)、35億円(同167%)となりました。
(4)「資本性ローン(注)(新事業型)」の融資実績
令和3年度の「資本性ローン(新事業型)」の融資実績は、24先(前年度比49%)、29億円(同66%)となりました。
(注)中小企業者等の財務体質の強化を図るため、資本性の資金を供給する制度です。本制度は、無担保・無保証人であるほか、法的倒産手続時は他の債務に劣後し、本制度による債務は、金融検査上自己資本とみなすことができる等の特徴を有します。
(5)地域のベンチャー支援機関との連携
地域のベンチャー支援機関(地方銀行、ベンチャーキャピタル、証券会社等)と連携して、地域のベンチャー企業等によるプレゼンテーションイベントを開催し、ベンチャー企業の発掘、支援に取り組んでいます。
令和3年度の再生支援関連の融資実績は、「企業再生貸付」については308先(前年度比47%)、302億円(同56%)となり、「資本性ローン(再生型)」については、17先(同26%)、22億円(同42%)となりました。また、再生支援関連の金融支援実績は、114先(同123%)となりました。
令和3年度の事業承継関連の融資実績は、2,380件(前年度比165%)、766億円(同160%)となりました。
中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が進む中、企業が培ってきた技術・ノウハウ等の貴重な経営資源が円滑に引き継がれるよう、事業承継に関する多様な資金需要に対応しています。
(1)ソーシャルビジネス関連の融資実績
令和3年度のソーシャルビジネス関連の融資実績は、1万2,465件、1,137億円となりました。
(注)高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、地域活性化、環境保護など、地域や社会が抱える課題の解決に取り組む事業をいいます。
(2)「ソーシャルビジネスステーション」による連携・協働の促進
令和3年12月1日、日本公庫ホームページで「ソーシャルビジネスステーション」を開設しました。「ソーシャルビジネスステーション」は、ソーシャルビジネスへの参画を検討する企業を対象に、NPOとの連携・協働関係の構築をサポートするための情報のプラットフォームです。ソーシャルビジネスに関心のある方であれば、経営者・新規事業立ち上げの担当者など、どなたにでもご利用いただけます。
(3)「ビジネスプラン見える化BOOK」による事業計画策定の支援
ソーシャルビジネスの活動を持続的に成長させるためには、実現性の高い事業計画を策定して、十分な収益を確保する必要があります。日本公庫国民生活事業では、事業計画の策定を支援するため、「ビジネスプラン見える化BOOK」(以下、「見える化BOOK」)をホームページで公開しています。
「見える化BOOK」は、事業計画に関わる6つの要素(組織使命・現状把握・実現仮説・成果目標・財源基盤・組織基盤)を整理できるワークブックです。ソーシャルビジネスの担い手の皆さまが事業計画を策定する際にご活用いただけます。
(1)「海外展開・事業再編資金」の融資実績
令和3年度の「海外展開・事業再編資金」の融資実績は、503先(前年度比198%)、268億円(同142%)となりました。
そのうち「クロスボーダーローン」(海外現地法人に対する直接融資)の令和3年度の融資実績は100先、60億円となりました。令和3年1月の制度開始以来の累計実績(令和4年3月末まで)は111先、65億円となっています。
クロスボーダーローンは、海外の構造的変化等に適応するために、国内親会社(中小企業者等)と共同で経営力向上や経営革新、地域経済の活性化等に取り組む海外現地法人に対して、日本公庫が直接融資する制度です。ご利用いただける国・地域は、タイ、ベトナム、香港、シンガポールとなっています。
(2)スタンドバイ・クレジット制度(注)の利用実績
令和3年度は、タイ、中国、韓国、インドネシア、ベトナム、メキシコ、シンガポール及び台湾の提携金融機関に対して信用状を発行し、その利用実績は85先となりました。平成24年度の制度開始以来の累計実績(令和4年3月末まで)は805先となっています。
令和4年3月末時点で提携金融機関は15行となっています。
また、より多くの中小企業者の皆さまが本制度を利用できるよう、平成25年度から全国各地の地域金融機関と連携したスキームを構築しています。令和4年3月末時点で全国61の地域金融機関と連携しており、制度開始以降延べ54先(令和3年度8先)に対して、本連携スキームによる信用状を発行しました。
(注)国内親会社(中小企業者等)と共同で経営力向上や経営革新、地域経済の活性化等に取り組む海外現地法人等が、日本公庫と提携する金融機関から現地流通通貨建て長期資金の借入を行う際、その債務を保証するために公庫がスタンドバイ・クレジット(信用状)を発行することで、海外での円滑な資金調達を支援するものです。
(3)農水産業者等に対するトライアル輸出支援事業(注)の実績
令和3年度のトライアル輸出支援事業は、輸出に意欲のある農水産業者や食品製造業者に対して、貿易商社と提携し、31件の試験的な輸出(トライアル輸出)を支援しました。
国・地域別ではマカオ15件、台湾6件、ドイツ6件、香港1件、シンガポール1件、タイ1件、中国1件となりました。
輸出品目別では、農産物10件(シャインマスカット、自然薯、寿司用米など)、畜産物1件(牛肉)、加工品20件(みかんジュース、大豆加工品、ワインなど)となりました。
(注)取引のあるお客さまへの経営支援サービスの一環として、日本公庫農林水産事業が平成25年度から開始した事業で、農水産物・食品の輸出ノウハウを持つ貿易商社と連携し、農産物などの輸出に初めて取り組むお客さまをサポートしています。
(1)農業の担い手(法人・大規模家族経営や農業参入)を支援
令和3年度の「農業経営基盤強化資金」(略称:スーパーL資金)の融資実績は、6,139先(前年度比94%)、3,012億円(同106%)となりました。
(2)新規就農や農業参入の取組みを支援
令和3年度の新規就農、農業参入関連の融資実績は、2,013先(前年度比73%)、376億円(同52%)となりました。
平成26年度から取扱いを開始した「青年等就農資金(注)」の融資実績は、1,530先(前年度比96%)、140億円(同101%)となりました。
(注)新たに農業経営を営もうとする青年等であって、市町村から青年等就農計画の認定を受けた認定新規就農者の方を支援する資金です。
(3)輸出の取組みを支援
令和3年度の輸出により経営改善に取り組む方への融資実績は、248先(前年度比67%)、437億円(同68%)となりました。
6次産業化の取組みを支援
令和3年度の6次産業化により経営改善に取り組む方への融資実績は、1,270先(前年度比57%)、1,085億円(同66%)となりました。
日本公庫は、地方版総合戦略等への積極的な参画のほか、全国152支店のネットワークを活用したマッチング、商談会/セミナー等の開催などを通じて、地域活性化への貢献に取り組んでいます。
全国152支店において、地域の実状やニーズをとらえ、地域が抱える課題に、きめ細かに対応しています。
令和3年度は、第2期「地方版総合戦略」において、「創業・ベンチャー支援」や「農林水産業の振興」といった様々な分野で、396件の個別施策に参画しました。また、地方自治体などに対して、コロナ禍における日本公庫の取組みの説明や、コロナ禍に立ち向かう事業者の取組み事例等の提供を行い、お客さまや地域が抱える課題解決に向けて、地方自治体との連携強化に取り組みました。
日本公庫は、全国152支店のネットワークを通じ、3事業が持つノウハウ・情報を相互に活用し、事業者が抱えるさまざまな課題の解決に向けて3事業の多様な機能を提供しています。
大阪府では、地元産農林水産物の活性化を地方版総合戦略に掲げ、農業の6次産業化ネットワーク活動の支援を行っています。その支援先の一つにワイン製造を手がけているカタシモワインフード株式会社(大阪府柏原市)があります。同社は明治初期に大阪平野の堅下(カタシモ)でブドウ栽培を開始し、大正時代からワイン醸造を行っている『カタシモワイナリー』を運営しています。
同社は日本産ワインを国内外に広くPR するために、築100 年以上の古民家を購入し、ワイン直売レストランへの改装及びワイン販売イベントの開催を計画していました。
この計画に農林水産事業(大阪支店)は古民家レストランの取得資金を、国民生活事業(東大阪支店)はワイン直売イベント開催資金を、中小企業事業(東大阪支店)は販売拡大に必要な長期運転資金を融資して、地域活性化に繋がる同社の取組みを支援しました。この事業の意義は、ワイナリー見学やワイナリーのブドウ狩りツアーなども開催することによって『カタシモワイナリー』のブランド力向上(地元と地元農産物の活性化)を図れること、地域の大切な資源の一つである古民家を残せること、などがあります。
政府では地域の活性化を図る観点から、総理大臣を本部長とした「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、各自治体にも施策展開を図っています。日本公庫は地方公共団体とも積極的に連携して、新たな事業の創出や民間投資の促進を図って、地方創生の一翼を担っています。
日本公庫では地場産業の活性化や街づくり、農業の6次産業化など、地域が抱えるさまざまな課題に対して、地方公共団体等と協力するなど、地域との連携を推進することにより、地域活性化に貢献しています。
千葉県館山港内の「館山夕日桟橋」(全長500m)に隣接する「渚の駅たてやま」にある商業施設の整備において、日本公庫では、地元の自治体及び地域金融機関と連携。3事業のノウハウやネットワークを活用し、地域活性化に貢献しました。
「渚の駅たてやま」は、国、千葉県及び館山市が共同で策定した「館山港港湾振興ビジョン」に基づいて整備されました。このプロジェクトは、首都圏にありながら美しい環境を保っている海を最大限に活用し、陸と海からのお客さまを迎え入れ、館山市の持っているポテンシャルを引き出し、市内の経済循環を良好に保つことを目的に策定された事業です。
この事業に、中小企業事業(千葉支店)では地元の企業に対し、地元の新鮮野菜・鮮魚・土産物を販売する「海のマルシェたてやま」及び房総地域の旬の味覚を味わえるレストラン「館山なぎさ食堂」の新規開業にかかる融資を実行しました。国民生活事業(館山支店)では、直売所に加工品などを納入する地元業者への融資及びマッチングを実施。そして、農林水産事業(千葉支店)では、直売所に魚や野菜を納める地元漁業者や農業者に関する情報提供やマッチング支援を行いました。また、今回の融資にあたっては、地元の金融機関の継続的な支援が重要であることから、民間金融機関との協調融資を実行しました。この支援事例のように日本公庫では、民間金融機関と連携した取組みにも力を入れています。
● 令和3年度は、令和2年度に続きコロナ禍におけるお客さま対応に専念しつつ、地域の実状に応じて、全国各地でマッチングや商談会/セミナーの開催などに取り組みました。
● 「アグリフードEXPO」や「全国ビジネス商談会」は、新型コロナウイルス感染症の流行状況を勘案し、オンライン形式で開催したほか、全国の支店においても、地域の実状に応じて商談会やセミナーを開催するなど、お客さまの課題解決をサポートしています。
● インターネットビジネスマッチングサイトでは、販売先や原材料の仕入先の拡大などのお客さま同士のニーズを橋渡しする「場」を提供しています。
日本政策金融公庫インターネットビジネスマッチング
https://match.jfc.go.jp/
● コロナ禍の影響により、新たな販路の拡大やサプライチェーンの再構築等、マッチングニーズが多様化する中、お客さまのビジネスチャンス拡大を支援するため、令和2年度に引き続きオンライン形式の商談会を開催しました(令和4年2月14日〜18日)。
● 新たにバイヤーとして大手企業だけではなく、お取引先中小企業や海外現地法人を募集した結果、725件(前回424件)の実効性ある商談が実現し、参加企業から高い満足度を得ることができました。
● お客さまに対するコンサルティング機能の強化の観点から、関係機関と連携し、各地域において、お客さま向けセミナーや相互の職員向け勉強会などを積極的に開催しています。
● 政策金融機関として地域の関係機関を「繋ぐ」役割を発揮し、お客さまや地域が抱える課題の解決に貢献するため、令和3年度は、東京・熊本の2ヵ所で地域の金融機関、支援団体、地元企業・団体とともに「地域経済活性化シンポジウム」を開催しました。東京会場では「ウィズコロナ時代に求められる顧客支援について」、熊本会場では「地域活性化・地方創生に向けて〜熊本地震から5年、コロナ禍を経て〜」をテーマに、支援メニューの紹介や、現状の取組み、課題、今後の可能性などについて情報交換を実施し、全国に向けてオンラインで配信しました。
第1回 東京会場
●開催日:令和3年7月9日
●開催場所:日経ホール
●テーマ:ウィズコロナ時代に求められる顧客支援について
●申込者数:1,076名(ライブ配信)
382名(アーカイブ配信)
第2回 熊本会場
●開催日:令和3年10月12日
●開催場所:ホテル日航熊本
●テーマ:地域活性化・地方創生に向けて
〜熊本地震から5年、コロナ禍を経て〜
●申込者数:377名(ライブ配信)
106名(アーカイブ配信)
日本公庫は政策金融機関として、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の達成に貢献できるよう取組みを進めていきます。
業務運営計画(2022年度〜2024年度)において「お客さまへの支援や地域への貢献を通じ、持続可能な社会の実現に向けたSDGsの達成にも貢献していく」ことを明示しています。
融資先や公庫の取組み事例をホームページで公表しています。
詳しくは日本公庫ホームページをご覧ください。
https://www.jfc.go.jp/n/company/sdgs/index.html