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- 「株式会社ワンチャー」

- 沿革2002年に米国の法人を設立し、海外の文具類の輸入や日本の文房具の輸出業務を開始。2011年に当社設立。米国法人の業務を移すとともに、自社ブランドの文房具類の製造・輸出を開始。
- 所在地大分県豊後高田市
- 創業2011年
- 業種文房具・日用品製造販売業
- 資本金10万円
- 従業員数9人
世界各国の技術を結集
独自の発想で世界に挑む
外国人スタッフたち
大分県豊後高田市は、過疎化に伴い2005年に1市2町が合併した市である。同市では現在、昭和の町並みを再現し観光客を呼び込んだり、空き家バンク事業を実施し市外から移住者を呼び込んだりして、町の活性化を図っている。ある日、そんな同市に本店を置く株式会社ワンチャーで、この街の情景からは想像もできないインターナショナルな会議が行われていた。
テーマは「自社製品である万年筆のデザイン」について。会議の参加者の国籍は、ベトナム、エジプト、インドネシアなど数ヵ国に及ぶ。同社は、8人の社員のうち5人が外国人で、多くの留学生が学ぶ立命館アジア太平洋大学の卒業生や、留学生の就職支援をするJICAの協力のもと入社した社員などが働いている。この日の会議で、外国人スタッフが手にしていた自社製品の万年筆には、漆塗りの蒔絵がほどこされていた。漆塗りと言うと、日本の輪島が有名だが、実はベトナムや中国にも職人が存在する。同社の外国人スタッフたちは、こうした自国の職人を発掘し、サポートしながら自社製品作りを進めているのだ。

昔ながらの商店街
万年筆はペン先、本体など、いくつかのパーツに分かれる。同社では、各パーツを国内外から調達している。例えば、ペン先の素材はドイツや日本で仕入れ、本体のエボナイトは台湾の職人が削ったものを仕入れる。そして漆塗りはベトナムで、という行程が同時に行われる。最終的に各パーツは日本で組み立てられて、製品が完成するのだ。
「我が社には、ペン先を20 年取り扱っているスタッフもいれば、入社してはじめて母国の伝統工芸品の価値がわかったという外国人社員もいます。すべての情報を社員が共有することをモットーにしているので、社員の知識量は膨大なものになると思います。」と岡垣社長は語る。

当社の従業員
当社の強みは自社製品を企画・製造して販売することだ。既存の商品をただ販売するだけでは、付加価値を生み出しているとは言えない。同社のオリジナル商品は、世界各国の職人の手が加えられている。「安いから海外」ではなく、その国ならではの技術を活用することで、付加価値が高い商品を顧客の手に届けるとともに、海外の知られざる技術を知ってもらうことを意識している。「我が社の商売は、昔のフランスの貿易と非常によく似ています。例えば、その昔ベルサイユ宮殿の大きな鏡の間には、さまざまな国の特産品や芸術作品が集められ、貿易の商談が行われていました。我が社も多彩な国籍のスタッフがいるので、世界各国にマーケットを広げることができるのです。」
「現在はまだ、既存製品の卸販売が占める割合が大きいが、将来的には高付加価値の自社製品の割合を徐々に高め、世界各国に販売していきたい。」と岡垣社長。


株式会社ワンチャー
取締役社長
岡垣太造氏
我が社のビジネスの基本は、「不足しているもの」、「ないもの」を探すことです。これは私が大学時代に研究者として培った視点です。すでに他の人が成果を出している研究テーマではなく、誰も手をつけていないものは何だろうと探し続けたのです。その方法論が、インターネット環境が未発達だった時代に、今の主力商品である「珍しい万年筆」を探すことにつながりました。
世界中の人がネットで情報を得られる状況になった今、商品をネットにアップしたら、2ヵ月後には、販売法やコピー品が出始めます。私が世界各国の人の手がかかった自社製品にこだわる理由は、コピーできない商品を作るためであり、職人やアーティストを育てるためです。今、我が社が作り上げようとしているのは、まだ誰も手をつけていないビジネスモデルであると自負しています。
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STEP1
ビジネスに対する考え方の基礎を学ぶ
【大学時代から海外志向】
大学時代、エジプトの乾燥地を緑化する研究に携わる。また、ハワイにも留学をしていた。
【研究テーマは「静止画像伝送システム」の実証実験】
インターネットがない時代に、電話回線を使って砂漠の状況を研究者に伝える環境を作る。ここで、「不足しているものを探す」ことの大切さを学ぶ。 -
STEP2
独立
【外国商品の販売を開始】
日本に無いものを、海外から仕入れて販売することに興味を持つ。当時人気だったスーツケースを米国から仕入れた。
【法人設立】
2002年、海外の商品の輸入事業を本格化させることを決意。当時日本では株式会社の資本金規制があったために、低コストで起業が可能な、米国に法人を設立した。
【中国の万年筆に目をつける】
中国は万年筆文化であることを知る。しかし、日本では中国製の万年筆を見かけないため、上海を視察。様々な万年筆が安価で売られており、ビジネスチャンスを感じた。 -
STEP3
事業の拡大
【中国の仕入先を拡大】
中国現地の小売店で万年筆を買い付けするよりも、同じ種類の万年筆を大量に仕入れる方が効率的であることに気付く。中国の文房具の展示会に何度も出向き、最終的に12社の商品を輸入することに成功。
【日本の文房具の取扱いを開始】
文房具の展示会で、日本の大手文房具メーカーの担当者と面識ができる。日本の文房具を、当社のルートで輸出開始。 -
STEP4
今後の事業展開
【自社製品の製造を開始】
2011年、自社ブランドの文房具などの製造を開始するために、当社設立。経営の効率化を図るために、米国の法人名義で行っていた業務を、徐々に当社へ移す。
【競合の増加】
既存の日本製品を海外で販売する競合他社が増加。高付加価値の自社製品の販売割合を高める必要性を感じる。
【自社製品の開発を強化】
2017年10月、日本公庫の融資を受けて、自社製品の開発に力を入れることに。
※内容は2018年1月時点のものです。