事業承継マッチング支援

50年以上の塾の歴史と想いがそのまま引き継がれ、
双方が大満足の事業承継を実現

東京の田無駅から徒歩1分。新塾長の下で、新たなスタートを切った学習塾「稲門進学ゼミナール」。
譲り受けて継ぐスタ(事業承継して創業)を実現した岡田様と譲渡した山本様に、事業承継の経緯や思い、メリットなどをお聞きしました。

Summary

  • 「勉強も成長もする塾にしたい」。山本様の塾への思い
  • 事業承継は全く考えていなかったものの、いい出会いに恵まれて即決
  • 譲受側も譲渡側も、満足のいく事業承継になった理由
右側(譲渡側):山本氏 左側(譲受側):岡田氏

右側(譲渡側):山本氏 
左側(譲受側):岡田氏

「勉強も成長もする塾にしたい」。山本様の塾への思い

ーー事業承継の完了おめでとうございます。岡田様は、稲門進学ゼミナールを受け継いだわけですが、運営するうえで大切にしていることはありますか?

譲受側:岡田氏

一番大事にしているのは、どの生徒に対しても真摯に向き合って教室を運営することです。ご家族とも話し合いながら、それぞれの生徒にとって一番良い選択をして、生徒の可能性を広げてあげられるような塾を目指してます。 それから、山本先生が大切にされていた「勉強も成長もする塾にしたい」との思いは私も同じであるため、今も大切にしています。

譲渡側:山本氏

ーー山本先生の思いもしっかり受け継がれているんですね。「勉強も成長もする塾にしたい」との思いは、山本さまの創業当初から大切にされてこられたのですか?

譲渡側:山本氏

最初、塾を創業した時は下を向いている生徒たちに寄り添ってあげたいという気持ちだったんです。親にいつも勉強勉強と言われて、なんとなく小学生も中学生も元気がないように見えました。そこで、勉強させるというよりも、生徒たちと一緒に遊んでみたいという気持ちだったんです。

生徒たちも「山本先生は面白い先生だから、みんなで塾に行こうぜ」という感じで、来てくれました。雪が降る日は一緒に雪合戦をしたり、夜はプロレスをしたりしていました。もちろん勉強も教えていましたが、遊びの方がメインだったと思います。

そんななかで、父兄会で親御さんから言われた一言が方針を変える大きなきっかけになったんです。「山本先生はとてもいい先生で面白いけど、もう少し勉強もしてもらえないか。 子供にはこれからの人生があるんです」と言われました。そこで、勉強もしっかり教えないといけないと、気づかされたんです。そして、父兄会から3日後に塾の方針転換を決めました。

ーー親御さんの思いを受けて、すぐ実行したとはすごいです。

譲渡側:山本氏

お父さんお母さんに来てもらって、「昨日までの塾の方針は全部変えます。勉強に関しては一切妥協せず、学力が上がらなければ月謝はいりません」と言いました。また生徒には「今までの面白い山本先生は、もうやめた。お前たちの人生を背負っているから、勉強第一にするので覚悟してかかってこい」と伝えました。

そして、方針転換と同時に塾名を稲門進学ゼミナールに変えて、新たなスタートを切ったのです。

ーー厳しい指導スタイルは何年ぐらい続けていらっしゃったんですか。

譲受側:山本氏

それから、今までずっと続けています。厳しくやることで、成績を上げる生徒も増えてきました。とにかく実績を上げようと実績主義で運営を行い、生徒の数がどんどん増えたため教師も新たに募集して拡大を図りました。そして生徒をしっかり見てくれる、いい先生が集まってくれましたね。

ーー人間教育を大切にされているとお聞きしましたが、人間性を育てるということも大切にされてきたのですか?

譲受側:山本氏

厳しく指導して、きちんとやる生徒はだんだん変わっていくんです。稲門進学ゼミナールの特色として、昔は毎年夏に1週間の林間学校を行っていました。

私は静岡県掛川市の農村出身なんですが、実家周辺にある公民館やお寺を全部借り切って、林間学校をやっていた経験があります。勉強をしながら、午後はソフトボールや野球といったレクリエーションの時間も設けていましたね。そのため林間学校を通して、新たな生徒の一面が見られたのがいい経験でした。

東京にいる時はできないような話も、いろいろお話しました。「失敗したけれど、先生は一生懸命やってきた」というような話をしていると、自然と涙が出てきて、気づいたら生徒たちも泣いていました。林間学校を通して生徒たちの良さがわかり、また逆に生徒たちも僕の良さをわかってくれたと思います。林間学校で本気になって取り組んだ生徒は、2学期になっても真剣に取り組みます。厳しいなかで、生徒たちはしっかり鍛えられていくのだと感じました。

ーー長年生徒たちと真剣に向き合われてきたんですね。

譲受側:山本氏

塾を始めて10年ほどは生徒と仲良くしていき、それから15〜20年ほどは厳しい実績主義で運営を行ってきました。 そこから、53歳で病気になったのをきっかけに、もっと生徒に寄り添う塾にしないといけないと考えるようになりました。

厳しく指導するには、心を鬼にする必要があったと思います。素直な自分で築き上げた楽しい塾と厳しい指導で実績を上げてきた塾の中間を狙って、生徒が自ら勉強しないといけないと思えるようにするため、対話を大事にしていました。

事業承継は全く考えていなかったものの、いい出会いに恵まれて即決

ーースタイルを変えながら50年以上に渡って塾の運営を続けてこられて、どのようなタイミングで事業承継を考えられたのですか?

譲渡側:山本氏

実は塾を誰かに引き継いでもらおうとは、思っていなかったんです。しかし、ある日突然公庫の方が来て「山本様の塾を継ぎたいという方が見つかりました。」と言われたんですけど、正直登録したことも忘れていました笑

譲受側:岡田氏

ーー最初の登録は簡単にできてしまうので、自分が後継者探しをしていると実感しない方も確かにいらっしゃいますね。そのなかで突然のできごとだったにも関わらず、事業承継を決断されたのはなぜですか?

譲渡側:山本氏

年齢のことを考えると、自分の塾が終わりを迎えようとしていることは、薄々わかっていました。塾はみんな事業をやめていくもので、引き継いでくれる人が出てくる話は聞いたことがありませんでした。しかし私はありがたいことに岡田先生が現れた。これはいいチャンスだと思い、岡田先生を見て、「この方に引き継いでもらえるのなら」と何の不安もなかったです。

ーー公庫の方が来てから、すぐに岡田先生とお会いされたのですか?

譲渡側:山本氏

それからすぐでしたね。

ーー初めてお会いした際の印象はいかがでしたか?

譲渡側:山本氏

勤務先の塾で教室長を務めていた経験もお持ちだったので、経営も知っている方で安心しました。 私は自己流で塾を運営してきましたが、岡田先生のように第三者から客観的な視点でアドバイスを受けた方でないと、これからはやっていけないと以前から少し思っていたんですよ。

そのような理由から、岡田先生に引き継いでもらえるなら、いいんじゃないかと思いましたね。

譲受側:岡田氏

山本先生と初めてお会いした時には、自分の父と話をしているような感覚を覚えました。父は学校の先生なのですが、教育に対する価値観や生徒に対する思いが、父と家で話してる雰囲気とすごく似ていました。

実は他の塾も検討していたのですが、直感的にこの塾がいいと思いました。 山本先生の思いと自分の思いが、1日でマッチしたと思います。

ーー最初の面談で山本先生のどのような思いに共感されて、稲門進学ゼミナールを引き継ぎたいと思われたのですか。

譲受側:岡田氏

結果にきちんとこだわりながら、結果だけでなく子供の成長もしっかり見てあげてるところに一番共感しました。山本さんは「教育って答えがない」とよくおっしゃってて、私も本当に同じ思いなんです。子供は一人ひとり違いますしね。

ーーそもそも岡田先生はどのようなきっかけで、引き継ぐ塾を探していらっしゃったんですか?

譲受側:岡田氏

大学を卒業してからは、青年海外協力隊としてエチオピアの学校現場でずっと仕事をしていました。その経験を通して、あらためて自分は教育に興味があるなと実感しました。帰国してからは学校の先生になるのか学習塾で働くのか迷いましたが、より自分の心に沿う道は学習塾だと思ったため、学習塾に決めました。

当時は、東京で50教室ほどの規模の塾で働いていたんです。しかし、東京では一人当たりの単価が高くかなりのお金を払っていただいているのに、教育のスペシャリストがいるわけではありませんでした。そのため正しいお金の使い方になっているのか、疑問を感じるところもありました。

教室長として1教室を任されて生徒数も伸びていたので、2年目に一人でやってみるのもいいかなと思って事業承継できる塾を探し始めたんです

ーー事業承継に際して、専門家にアドバイスを受けましたか?

譲渡側:山本氏

事業承継は専門知識が必要であるため、弁護士に協力してもらいました。概ねスムーズに進んだんですが、塾の場所をどうするかが問題でした。

譲受側:岡田氏

元々塾があった場所で少しの期間は続けることもできたのですが、地主さんとの関係で山本様だからこそ賃貸できていた場所。私の代になるといずれ引っ越しする必要があるとわかりました。そうすると、この場所で開校しても先が見通せなかったので、弁護士さんのアドバイスから新規開校という形で場所を移転することにしました。

ーー塾長が変わったことに対して、生徒や保護者、従業員など周囲の方々の反応はいかがでしたか?

譲受側:岡田氏

最初の段階で生徒、保護者、アルバイトの先生としっかり話をしていたので、特別困ったことはありませんでした。話をしていくうちに、みんな山本先生が好きなんだなと感じました。 山本先生も、時々塾に来てくださるんです。

譲渡側:山本氏

教えることはしませんが、時々遊ばせてもらっています。教え子の「成績が良くなってます」という話を聞くと、嬉しくなりますね。

譲受側:岡田氏

気軽に電話にも出てくださりますし、頻繁にやりとりしています。

ーー電話では、どのようなお話をされるのですか?

譲受側:岡田氏

主に現状報告ですね。それから山本先生の方が土地勘があるので、このぐらいの偏差値帯の生徒で現状の成績を踏まえると、進学先としてどのような候補が考えられるのかなどのアドバイスをもらっています。

譲受側も譲渡側も、満足のいく事業承継になった理由

ーー第三者承継をして、どのような点にメリットを感じましたか?

譲受側:岡田氏

新規開校するよりも50年以上の歴史を誇る塾を引き継ぐことでブランド力も受け継ぐことができるため、第三者承継してすごく良かったなと感じています。また山本先生の教室で使用されていた備品がいただけたことも、本当に助かっています。

譲渡側:山本氏

備品は処分費用も高いので、処分する時が大変だなと思っていました。しかし、続けて使ってくれると聞いた時は、私も嬉しかったですね。 それから私の生徒もアルバイトの先生も、しっかり面倒を見てくれているのが本当にありがたいです。 一般的に塾を閉じるといろいろな面で問題が出てきますが、引き継ぐことで問題は一切ありませんでした。

譲受側:岡田氏

山本先生が事前に保護者や教材会社の人など、ご自身が契約していた先に丁寧に説明してくださっていたため、引き継ぎがすごくスムーズにできました。教材会社の担当者もすごくよくしてくれて、第三承継ならではのメリットを感じています。

ーー第三者承継をしてみていかがですか。

譲受側:岡田氏

柔軟に動けるという点で、個人塾ならではの良さを特に感じています。山本先生がされていた生徒によって教材を分ける、宿題の量を調整するといったことは今でも続けています。個人塾だからこそできる、生徒へのアプローチや保護者とのやりとりができるのは魅力ですね。

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