■株式会社サラ [岡山県笠岡市]
持続可能な農業を目指し、木質バイオマス発電
を活用して、エネルギーの地産地消を実現
SDGsゴール

SDGsゴール


国内最大級のハウス型農園「サラファーム笠岡」。グリーンハウス3棟で野菜栽培が行われています。

グリーンハウスに隣接する木質バイオマス発電所
企業情報
 2016年設立。2017年に半閉鎖型グリーンハウス・木質バイオマスプラント建設を着工、2019年に操業開始。グリーンハウスにて、トマト棟6.0ha・パプリカ棟3.4ha・レタス棟2.5haの生産・販売事業、木質バイオマス発電事業を展開。
利用した
公庫融資
スーパーL資金(農林水産事業)
取組み内容
木質チップを使ってバイオマス発電を行い、
電気・暖房・冷房・CO2を無駄なく使うシステムを構築

 2019年より岡山県笠岡市において、(株)サラは木質バイオマス発電所を併設した半閉鎖型グリーンハウス「サラファーム笠岡」を運営し、持続可能な農業を実現しています。
 「冷暖房を24時間・365日稼働させるために、バイオマスにより発電した電気で冷暖房を作動させるのではなく発電工程で発生する蒸気を活用する、そこが技術的に一番難しい点でしたが、バイオマス発電の仕組みをゼロから組み立てることで解決しました」と教えてくれたのは、取締役の佐野泰三さん。
 次の課題は、施設園芸の光合成に必要なだけの炭酸ガスを購入して賄おうとすると、採算が合わないこと。そこで目をつけたのが、バイオマス発電の元となる燃料の木質チップを燃やす際に発生する燃焼ガス。これを浄化してグリーンハウスに炭酸ガスとして送風し有効活用することで、採算に乗る見通しが立ちました。
瀬戸内の太陽の恵みを受けて育つトマト・レタス・パプリカ
 木質チップは開発材(河川などの公共工事で生じたもの)などで、利用されなければ廃棄物となりますが、有効活用されれば循環型社会の形成に役立ちます。木質チップの燃焼により発生した蒸気でタービンを回し発電を行い、その蒸気の一部を使い、夏は冷水を作り冷房に、冬は温水を作り暖房に活用。さらに、木質チップが燃える際に発生する燃焼ガスも有効活用して、電気・暖房・冷房・CO2の有効活用の一石四鳥の形になりました。
 日本公庫の融資を活用した木質バイオマス発電設備で生み出される電力は10メガワット。所内動力以外の9メガワットは電力会社を通じて、市内の小学校などで利用されるなど、エネルギーの地産地消も行われています。
彩り、香り、食感や食味にこだわったSARAのトマト、パプリカ、レタス
破砕チップ

地域との調和、同じ志をもった仲間との出会いがSDGsを考えるヒントになるはず
 (株)サラでは、植物由来のプラスチックや石油を使用しないバイオマスインキ、FSC®森林認証の段ボールなど、環境に配慮した容器包材を積極的に採用しています。
 「SDGsという視点で感じることは、“地域との調和”です。経営では、新しい取組みや独自の技術は大事ですが、会社の継続には地域からの支持を得なければなりません。ですから、SDGsのゴールに自身の事業を当て込むのではなく、エコやサスティナブルについて真剣に取り組んだ結果がSDGsだったというのが本来の在り方かと思います。私たちは、おいしいトマト、パプリカ、レタスを地域から多くの消費者の方々へお届けしたい、その思いだけなんです」と佐野さん。
 
カップ容器の一部に植物由来原料を使用。段ボールはFSC®認証のものを使用し、リサイクルを推進
成果・効果
など
 バイオマス発電を使った野菜づくりを通じて、SDGsのゴール2「飢餓をゼロに」、ゴール7「エネルギーをみんなにクリーンに」、また、「持続可能な野菜づくり」の実践に向け、植物由来のプラスチックや石油を使用しないバイオマスインキ、森林を守るダンボールを使用するなど、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」などに貢献しています。
農業版SDGsがあっても面白いですね
(株)サラ取締役/最高執行責任者COO 佐野 泰三  企業規模や業種にかかわらず、自ら積極的に動いて事業のシーズを求めていくことが経営では大事です。大きい視点で、農業と経営、そして流通販売まで見越して考えていった先に「自然との共生」「農業版SDGs」といった新しい切り口が見えてくるかもしれません。
株式会社 サラ
〒714-0081
岡山県笠岡市笠岡5640
TEL0865-63-8031
https://www.sarafarm.jp