■大屋原酪農協同組合 [群馬県吾妻郡長野原町]
「廃棄物を資源に」変え、地域内での
循環型のビジネスモデルを構築
SDGsゴール

SDGsゴール


バイオガスプラントの全景

近隣の牛舎の様子。こうした牛舎から出される家畜排せつ物を、バイオガスプラントで処理。
企業情報
 2021年設立。長野原町にてバイオガスプラントを活用し売電事業を行うために設立された事業協同組合。2022年に群馬県初のバイオガスプラントを操業開始。出資者である酪農家4戸から発生する家畜排せつ物を活用。
取組み内容
家畜排せつ物を利用したバイオガス発電を行い、
発電過程の副産物もムダなく使うシステムを構築

 2022年より群馬県吾妻郡長野原町において、大屋原酪農協同組合はバイオガス発電所を稼働し、持続可能な地域酪農の構築に貢献しています。
 「家畜排せつ物の処理に係るコストが近隣の酪農家の共通の課題でした」と教えてくれたのは、代表理事の清水大樹さん。
 群馬県の北西部に位置する吾妻地域は、夏場の冷涼な気候と広大な農地による自給飼料の栽培面積に恵まれた酪農地帯。酪農家は家畜から発生する家畜排せつ物を堆肥化して再利用していますが、堆肥化するのには多額のコストがかかっていました。
 この問題の解決に取り組むべく、「バイオガス発電事業」に取り組むことを決意。酪農家4戸合同で、当組合を立ち上げました。
 家畜排せつ物は、利用されなければ廃棄物となりますが、有効活用されれば資源になります。家畜排せつ物の発酵によって得たメタンガスを燃焼させ、ガスタービンを回すことにより発電を行い、その電力を再生可能エネルギーとして、電力会社に販売。さらに、発電の副産物として発生する消化液は、窒素やリン酸などが多く含まれ、家畜排せつ物の悪臭も抑制することができることから、肥料として近隣の農家に販売しています。
 日本公庫の融資を活用したバイオガス発電設備では、年間約18千トンの家畜排せつ物を処理し、年間で約2,560千kWh(一般世帯の約590軒分の電力量)の発電を行っています。

発酵槽

発電機
消化液貯留槽

地域とのwin‐winな関係構築がSDGsには不可欠
 「SDGsの観点でいえば、“いかに地域とwin‐winな関係を作れるか”が重要だと思います。バイオガス事業は、廃棄物である家畜排せつ物を資源に変える取組みですが、この事業を“持続可能”な取組みとしていくためには、資源となる家畜排せつ物を提供してくれる地域の酪農家の存在が不可欠です。地域の酪農家のコスト削減に貢献し、飼育頭数を増やせる余地を提供できれば、家畜排せつ物の量が増え、バイオガス事業の収益も上がる、といったwin‐winな関係を作ることが重要だと思います。そうした地域が継続して取り組めるような仕組みを構築できれば、地域の環境負荷の低減にもつながるんです。」と清水さん。
 清水さんが中心となり、群馬県吾妻郡の近隣地域で飼育頭数1万頭を目指す「Road to 1万頭」を立ち上げ、他地域の良好事例の視察から行政への働きかけといった活動も積極的に行うなど、近隣地域の酪農の発展に尽力しています。
日本公庫の
支援
バイオガス発電設備の導入に必要な資金を融資により支援。
成果・効果
など
 バイオガス発電は、ゴール7「エネルギーをみんなにクリーンに」。また、酪農により生じる家畜排せつ物の活用による環境負荷の低減を行い、ゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」などに貢献しています。
「応援団」を増やし、SDGsに取り組む
大屋原酪農協同組合/代表理事 清水 大樹  SDGsに取り組む際、ヒト、モノ、カネなど様々な問題にぶつかることがあると思います。そうした問題に対し、私は地域の酪農家、自治体、金融機関などに丁寧に説明し、アドバイスをいただきながら、乗り越えてきました。  「情熱をもって取り組み、応援してくれる関係者を増やしていくこと」がSDGsに取り組むにあたっては大切だと思います。
大屋原酪農協同組合
〒377-1412
群馬県吾妻郡長野原町
北軽井沢1353-40
TEL0279-82-5557
shimizu@n-livestock.co.jp