海外市場へ新たな挑戦！
阿部産業株式会社
専門家と組み輸出に挑戦！
室内履き文化を世界に発信
1919年創業。高度経済成長期には全国の約３割のシェアを誇った河北町で、スリッパを製造。海外製品の価格競争に巻き込まれたことから、オリジナル商品を開発し、直接販売にシフト。2020年4月、海外取引に初めて取り組み、アメリカのバイヤーと契約。
- 所在地
- 山形県西村山郡河北町
- 創業
- 1919年
- 資本金
- 3,000万円
- 従業員数
- 24名
- 海外展開先
- アメリカ、イスラエル
- 事業内容
- スリッパ製造業
- 展示会やホームページを通じて海外にアピール
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阿部産業株式会社は、全国の百貨店を中心にスリッパ製造販売事業を展開。海外製品との価格競争が激しく、経営環境が悪化する中、新しい事業方針を模索していた。
「オリジナル商品を開発することを決意し、2007年、山形エクセレントデザイン塾に参加しました」（阿部弘俊社長）
塾では、デザイナーの山田節子さんから、地場産業との融合を提案された。そこから、地元山形の伝統工芸品・米沢織とのコラボ商品が誕生。2011年、山形エクセレントデザイン大賞を受賞した。他にも革新的なデザインの商品を発表し、日本商工会議所会頭賞も受賞。海外向けの展示会やギフトショーに出展し、存在感をアピールしていった。
「塾の先生方からは、直接販売と海外展開を視野に入れるようにとアドバイスがありました。そこで、海外を意識したブランディング、それに基づくデザインのブラッシュアップやビジュアルを重視したホームページの拡充など、海外展開への準備を進めていきました」
2018年にはABE HOME SHOESというブランドを発足。第一弾の帆布・バブーシュは、7色展開で5サイズ。家族みんなで履けて丸洗いができる丈夫なルームシューズだ。
2020年4月、アメリカ在住の日本人バイヤーから同社のホームページに、問い合わせメールが届く。
「日本の逸品を見つけて、欧米やオーストラリアで販売している会社からホームページで見た帆布・バブーシュのオーダーがあったのです」-
イスラエル（テルアビブ）での取り扱い店舗での販売風景 -
海外展開している「帆布・バブーシュ」。かかとを寝かせるとスリッパのように、起こすと靴のようにホールド感が増す。快適な履き心地と洗濯機で丸洗いできる便利さを両立 -
このホームページをきっかけに、アメリカのバイヤーとの取引が始まった
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- 専門家のアドバイスを活かし海外ビジネスを進行
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「ものづくりの目途は立ったものの、海外展開の経営戦略や施策はこれからの状態。先方から英文の契約書が届き、商習慣の違いも分からず戸惑っていました。そんな折、以前から連絡を取り合っていた山形県国際経済振興機構の方が弊社の状況を知って、契約書の確認等のサポートを行ってくれました」
先方からは、海外の顧客に合わせて、従来品のアレンジも求められた。
「ソール（裏側）部分はPVCというビニール系の素材でしたが、環境に配慮した人工皮革に変更。英文の商品カードも作成しました」
商品はクライアントが手配したトラックで輸送されるため、国内向けの納品とほぼ一緒。7月に最初の納品を済ませ、年内に計1,500足ほどのオーダーがあった。
1社輸出が決まると相乗効果で新規の輸出先（イスラエル）の開拓に成功。
現在は香港、中国、台湾、韓国、スペインからも問い合わせがあり、山形県国際経済振興機構のアドバイスを受けながら、具体的な商談を進めている最中だ。
「新型コロナウイルスの影響で、日本人の靴を履き替えるというライフスタイルが注目されているようです。ルームシューズによる清潔感・開放感が、心地よい暮らしにつながることを、これからも世界に向けて発信していきたいと思います」
- ワンポイントアドバイス
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POINT 1初めての海外展開に向けて
●現地バイヤーはホームページで商品のデザインをチェックしています。外国語でなくても写真を上手く使うことで商品価値を伝えることができます。
●デザインの磨き上げやホームページ制作は専門家に相談することができます。
POINT 2最初は誰に相談すれば？
●身近な税理士や商工会、商工会議所に加えて海外展開を担当している自治体の部署や産業振興機構などに相談するのもよいでしょう。日頃から専門家とのやり取りをしておくと、いざ海外という時に頼りになります。
●もし担当部署がわからない場合は、日本公庫が専門機関に取次ぎをいたします。
- 代表から
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河北の技術が目指す世界のニューノーマル
海外展開を視野に入れたものづくりやホームページ制作。それが奏功して、海外だけでなく国内の需要も増えています。
代表取締役社長 阿部弘俊氏
