海外展開事例

海外市場へ新たな挑戦!

合名会社豊永酒造

バーチャル酒蔵ツアーに挑戦!
共感を呼ぶ焼酎造りの舞台裏

(合)豊永酒造

1894年創業。豊かな自然の中、伝統に育まれた球磨焼酎造りを実践。2004年からアメリカに輸出。その後国内市場で認知度を上げながら海外にも展開。2020年7月にバーチャルツアーとオンライン商談会に参加し、フランスの新規取引先を獲得。

所在地
熊本県球磨郡湯前町
創業
1894年
資本金
100万円
従業員数
7名
海外展開先
アメリカ、フランス(他9ヶ国)
事業内容
焼酎製造業
少人数で磨き上げた世界標準の焼酎

四方を九州山地に囲まれ、球磨川の源流が流れる自然豊かな土地で、有機農法による「球磨の米」と「球磨の水」で焼酎を造り続けている合名会社豊永酒造。
「社員7名の会社なので、国内での営業活動が中心。海外からのオファーがあれば対応するという姿勢で取り組んできました」(豊永史郎代表)
地元の蔵元共同の試飲会がきっかけで、2004年からアメリカの会社に輸出を開始。その後、同社のロンドン支店とも取引が始まった。
「バイヤーに頼まれロンドンでプレゼンテーションをした時、地元の老舗酒屋を視察。そこのオーナーから『焼酎は蒸留酒なのに、なぜ25度なのか、なぜ水で割って飲むのか』と質問されました。世界の蒸留酒は度数が高く、ストレートでしか飲みません。その時焼酎が世界の蒸留酒の基準とずれていると気づきました」
それ以来、豊永酒造は世界で戦える高度数の焼酎の開発をスタート。また、樽詰めをして長い年数貯蔵することで、色の濃さで焼酎の価値を理解してもらえるように工夫をした。
「海外のバイヤーが売りやすい焼酎を造り続けたところ、展示会や試飲会でオファーをもらえるようになりました。取引が始まったら、日本の窓口となる商社との信頼関係を築いて、対象国のニーズや声を教えてもらい、それを反映した焼酎造りに注力。ラベルを刷新するなど、その国に響く見せ方にも工夫を凝らしています。できるだけ長く取引ができるように、商品力を磨いてきました」

  • 伝統的な球磨焼酎の製法を守り、蔵人の五感を駆使して焼酎が造られる
    伝統的な球磨焼酎の製法を守り、蔵人の五感を駆使して焼酎が造られる
  • アメリカの日本領事館公邸で行なわれた焼酎のイベント。NYのバーテンダーや専門家に蔵の歴史と球磨地方の風土を説明し、焼酎を試飲してもらった
    アメリカの日本領事館公邸で行なわれた焼酎のイベント。NYのバーテンダーや専門家に蔵の歴史と球磨地方の風土を説明し、焼酎を試飲してもらった
  • 趣のある酒蔵と同じ敷地に自社の有機田がある
    趣のある酒蔵と同じ敷地に自社の有機田がある
フランス人の心を掴んだバーチャル酒蔵見学

「九州経済産業局からは、3年前から “Kura Master”という支援を受けてきました。フランスのソムリエやジャーナリストを招聘して、九州の地酒を紹介するイベントです。 2020年はコロナ禍のため、フランスとオンラインでつなぎ、酒蔵見学と商談会が開催されることに。私は、20年前からフランスの自然派ワイン家とのつきあいがあり、オーガニ ックが主流であることを知っていました。そこで有機玄米を使った35度の焼酎で勝負に挑みました」
事前に現地に輸送した焼酎の試飲をしたソムリエは「花のような香りでピュア。エキゾチックな魅力がある」と大絶賛。またフランス人が重視するテロワール(環境・風土を含めた生産物の価値)に合致する点も評価され、取引が決まった。
「以前から現地バイヤーを対象としたリアルの酒蔵見学も行なっていました。豊かな自然の中にある有機の田んぼ、伝統を守りながらも蔵人の五感を活かした焼酎造りを見て、試飲してもらうと、強く共感してもらえました」
豊永さんは、今回のイベントでオンラインの便利さを実感したという。
「現地バイヤーが来日しなくても、ものづくりの現場を十分知ってもらえる。また、バーチャル酒蔵見学と組み合わせることで、スムーズに商談を進めることができた…オンラインによって海外との距離は縮まり、商品の魅力や造り手の思いがダイレクトに伝えられると思います」

ワンポイントアドバイス

POINT 1海外市場に向けた商品開発

●国内でのものづくりだけでは、どうしても海外のニーズが掴めないことも。思い切って現地に赴きヒアリングしてみるのも一案です。

●現地調査費用といったお使いみちにも、日本公庫の海外展開・事業再編資金を活用できます。

POINT 2バーチャルツアーのメリット

●原料の状態や商品の製造工程を見せることで現地バイヤーにものづくりの本質について共感してもらうことができます。

●商談とセットで実施すると商品の理解がより深まります。味覚や嗅覚、触覚に訴えるような商品はあからじめサンプルを現地に提供しておくと効果的です。

代表から

国内にいながら現地バイヤーの五感に訴える

海外で勝負するなら、小さくてもインパクトのある商品を。輸出後は現地に赴き「海外進出の現場」を目に焼き付けて、その感動を忘れずに。

代表 豊永史郎氏

代表 豊永史郎氏