海外展開事例

日本から世界へ実践!越境EC

株式会社円相

インバウンドからシフト
京都発スカジャンの越境EC

(株)円相

約40年のアパレル業界でのキャリアを生かし、 2015年に創業。スカジャンをメインとする和柄アイテムを越境ECで販売し、海外販路を拡大。

所在地
京都府京都市
創業
2015年
資本金
300万円
従業員数
7名
進出国
中国、台湾、アメリカ、シンガポール
事業内容
アパレル企画・販売業
外国人のお土産ニーズに対応するため越境ECをスタート

株式会社円相の田村祐史社長が、海外でスカジャンが売れると直感したのは勤務時代の約10年前。アメリカ西海岸の展示会に出展した際、自らが着ていたスカジャンに多くのアメリカ人が興味を持ち、写真を撮った。別の展示会では、アメリカのセレクトショップから、スカジャンのオーダーが大量に入った。
「需要はあると感じました。でも、海外にお店を出すよりは、さまざまな国の観光客が集まる京都の真ん中にお店を構えたいと思いました」(田村社長)
2015年に独立。一般的に秋冬に売上が集中するスカジャンが、京都では1年中売れる。「季節が逆の南半球のお客さまもたくさん来てくれました。コロナ禍の前はインバウンド関連の売上が7割以上でした」
2018年、越境ECをスタート。「来店された海外のお客さまが、自分用の買い物が済むと、ビデオ電話を使って、友人や家族用のアイテムも購入する様子をよく見ていました。越境ECなら、そういったお土産ニーズも取り込めると思ったのです」
大手の越境ECモールを活用したところ、国内ECと同じ感覚で開設できた。店舗と越境EC、両方の売上が伸びていく中、新型コロナウイルスの感染が拡大した。

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    スカジャンの定番柄は、龍や虎。アメリカや EUのお客さまには葛飾北斎や伊藤若冲などの絵をモチーフにした和柄が人気。中国のお客さまには金糸銀糸を多用した華やかなデザインが好まれる。
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    アパレル業界約40年のキャリアで築いたメーカーや職人とのネットワークが当社の強み。
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    インバウンド需要を狙い、京都の中心部にお店を構えた。アジアだけでなく、北米、中南米、EU、オセアニア…と、多様な国の観光客が訪れ、リピーターも来るように。
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    スカジャンが 1,000 点以上並ぶ店内。Tシャツやワンピース、パーカーなどカジュアルアイテムも多数ある。キャラクターとのコラボ商品も人気。
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    京都の中心部の商店街に現れるこの店構え。外国人観光客が思わず店内に吸い込まれること必至。
顔が見えないからこそお客さまにはより丁寧に

観光客は減り、インバウンドの売上も見込めなくなった。そこで、田村社長は越境ECを強化。2社のECモールに出店し、自社サイトも開設した。
「大手のECモールは銀座のど真ん中でお店を出すようなもの。集客が簡単で早くから売上が伸びます。ただ、掲載写真の数に応じて出店料がかかるなど、コストがかかります。モールで集めたお客さまを自社サイトに呼び込む仕掛けが必要です」
「自社サイトは、開設費を除けば、コストを抑えられます。出品も簡単でSNSとの相性も抜群。当社では新商品を入荷したらすぐにSNSに投稿しています。反応が多い商品は即座に出品し、すぐに自社サイトから購入いただけるようにしています」
相手の顔が見えない越境ECならではの苦労もある。「コロナの感染状況や自然災害などで輸送の予定が狂うこともあります」
「顔が見えないからこそ丁寧な対応を心がけています。しっかりとコミュニケーションをとれば、お客さまも海外からの発送であると分かってくれるため、トラブルの拡大を避けられます」
また、決済方法にも注意が必要だと田村社長は教えてくれた。「万が一商品を送れなかった場合、クレジットカード決済の取消しは返金手続きが大変です。以前アイスランドで火山が噴火した際、商品発送ができなくなりました。その時はお客さまが決済代行サービスを利用されていたため、お客さまにすぐ返金することができて助かりました」
かつてお店を訪れた外国人観光客の中には、スカジャンに魅了されたリピーターも多い。日々の地道なSNS発信により、インバウンド再開後のスタートダッシュに備えている。

海外展開を検討される企業の方へ

越境ECによるビジネスチャンスは拡大しています。当社も販売先となる国をどんどん広げています。

POINT 1モール型・自社サイト型のメリット・デメリット●モール型は、運営コストが高いというデメリットがありますが、集客しやすいというメリットがあります。一方、自社サイト型は、低い運営コストや簡便な出品手続きといったメリットがありますが、集客に工夫が必要。当社では、SNSで「いいね」を集めた新商品は、すぐに自社サイトに出品しています。SNSとサイトの機動力を生かして、販売の機会を逃さないことが大切です。

POINT 2物流・決済手段への対応●物流は、送り先の状況によって遅延・返送が生じることも。クレジットカード決済の場合、複雑な返金手続が必要となることもあります。物流や決済については、複数の手段を持っておくことをおすすめします。

代表取締役社長 田村祐史氏

代表取締役社長 田村祐史氏