■株式会社環境経営総合研究所 [東京都渋谷区]
プラスチック原料への代替を可能とする
世界で唯一の紙パウダーを開発
SDGsゴール

SDGsゴール


プラスチック原料に微細な紙パウダーを混成させた新素材「MAPKA」。ポストプラスチック原料と呼ばれるほどに注目されています。

新素材MAPKAシートの容器、食品用トレー。安全性・機能性も従来のプラスチックと変わらず、脱プラに最適。
企業情報
 1998年設立。紙パウダーと合成樹脂を混練した世界唯一の独自技術を有し、成形材料のほか、自社で発泡加工させた断熱材や緩衝材の製造・販売を手掛ける。
利用した
公庫融資
新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(中小企業事業)
取組み内容
紙パウダーと合成樹脂の新素材でグリーンイノベーション
 2010年の国際プラスチック環境会議で、日本の中小企業の新技術が世界を驚かせました。(株)環境経営総合研究所が開発した新素材MAPKA(マプカ)は、粉砕した損紙・廃棄紙を原料とした紙パウダーと合成樹脂を混ぜ合わせたもので、従来のプラスチック製品の代替品として利用できるという画期的なものです。
 「今でこそメジャーな損紙・廃棄紙ですが、当時は損紙・廃棄紙を原料にしようと考える企業はありませんでした。損紙・廃棄紙は低価格で入手できましたが、紙をパウダー化することが課題でした。」と代表の松下敬通さんは創業当時を振り返ります。技術改良をかさね、現在では小麦粉と同等の約30ミクロンまで粉砕できる技術を確立し、量産化できるようになりました。
高い断熱性能を誇る「Earth republic」。緩衝・梱包材など幅広い用途での活用が見込まれています。
Earth republicを組み合わせることで保冷性を実現した「ER保冷BOX」。
 こうして完成した新素材は成分の51%以上が紙パウダー。素材表示上は「紙」ですが、プラスチックと同等の成形が可能で、商品トレイなど従来プラスチックを原料としていた製品の材料として利用でき、焼却時にダイオキシンなどの有害ガスが発生せず、CO2も削減可能です。また、この素材を応用した紙パウダーと澱粉を混ぜ合わせた素材からは、断熱材・緩衝材(Earthrepublic)や保冷箱(ER保冷BOX)といった商品が誕生しています。さらに2020年には、マプカの技術を応用し、高水分の有機物と廃プラスチックを燃料に変えるシステムを開発し、経済産業省から「グローバルニッチトップ企業100選」、翌年には、環境省から「気候変動アクション環境大臣表彰(製品部門)」を受賞しました。
 紙パウダーと合成樹脂との混練技術やその応用技術は、CO2排出量削減、減プラ、都市ゴミの地域エネルギー化、下水汚泥の地域エネルギー化など、日本公庫の融資も活用し、グリーンイノベーションを次々と実現しています。
2017年に竣工した韓国工場。日本のマーケットに向けてMAPKAシートを供給しています。

資源は地域に埋もれている。地方創生型のSDGsを今こそ
 SDGsのヒントは地方都市にあると松下さんは分析しています。「経営層だけがSDGsを叫ぶのではなく、地域の人たちを巻き込んだ地方創生型のSDGsを作り出すことが大事だと思います。ものづくりの核となる技術の確立には長い時間がかかりますが、たとえ規模が小さくともサスティナブルな事業が地域に根付けば、そこに雇用が生まれ、地域のシンボルになっていく。それこそがSDGsではないでしょうか」。
東北地方で開催した地方創生をテーマとした商談会の様子
成果・効果
など
 独自に開発した紙パウダーと合成樹脂を混練する技術が温室効果ガスの排出量を削減することを通じ、SDGsのゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」などに貢献しています。また、プラスチックの代替製品MAPKAは、地球にやさしく、SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」などに一層貢献が期待されています。
SDGsは国際的な感覚を常に持ち続けることが大事です。
株式会社環境経営総合研究所/代表 松下 敬通  環境ビジネス、特にプラスチックの分野は新しい技術が次々と生まれ、各国においても法規制が整備されつつあります。SDGsを世界に発信していくためには、地域の強力なパートナーだけでなく、国際的な感覚を常に持ち続けることが大切だと感じています。
株式会社 環境経営総合研究所
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