TOP > 中小企業事業 > 中小公庫レポート・調査レポート一覧 > 「中小卸売業における新たな事業展開」について
中小公庫総合研究所では、再編統合や淘汰など厳しい環境下にある中小卸売業者の現状認識を踏まえ、いかにしてビジネスモデルの再構築を図り、差別化・高付加価値化を実現すべきかについて分析・考察を行い、レポートを取りまとめた。
なお、本調査は社団法人流通問題研究協会への委託調査により実現したものである。
1.中小卸売業者を取り巻く最近の状況
市場ニーズの多様化・細分化に伴う流通業界・流通経路の多様化など卸売業を取り巻く環境は大きく変化しており、再編統合や廃業などにより卸売業の事業所数・年間商品販売額は1991年以降ともに減少傾向にある。
また、大手卸売業と中小卸売業者との業況の格差が広がっており、中小卸売業者の中でも事業環境の変化に対応できた企業とそうでない企業との格差が広がってきている。
2.中小卸売業における事業高度化:事例研究
本章ではこうした事業環境の変化を踏まえ、企業間連携を活用し事業基盤の強化を実現している15社の中小卸売業の具体的な取組みを分析した。
3.中小卸売業者における機能の多様化・高度化の方向性と連携の課題
事例各社では、事業環境の変化に対し、卸売機能の多様化・高度化を行うことで差別化・高付加価値化を図っている。具体的には、①従来の仕入機能・物流機能・金融機能をより強化するとともに、②マーチャンダイジング、商品開発、リテールサポートなど従来希薄であった機能の充実に取組んでいる。
そして、このような機能の多様化・高度化を図る上で、社内の経営資源を強化すると同時に、メーカーや他の卸売業者など専門性の高い外部資源を活用した取組みが多くみられる。大手卸売業者に比べ資金面、人材面など経営資源に制約のある中小卸売業者では、「企業間連携」は実効性の高い取組みと考えられ、連携様態としては概ね以下のパターンで整理できる。
①同業種卸売業間での連携によるメーカーとの取引交渉力の向上
②異業種卸売業との連携による品揃えの多様化
③卸売業間での物流・情報システムの共有によるコスト削減と効率化
④生産者との連携による商品の差別化
⑤小売業者との連携による販売促進支援の強化
最後に、円滑な連携が行われるためのポイント・課題を整理してみると、次の点が指摘される。
(1)連携の目的と戦略的方向性が明確であること
(2)連携企業間に強い信頼関係を醸成・構築すること
(3)単なるコスト削減や効率化ではなく、付加価値創造を目指していること
(4)情報ネットワークの整備を推進すること
(5)人材育成と教育投資による専門能力の向上を図ること
中小卸売業を取り巻く環境は厳しい状況にあるが、同時に、卸売機能の強化・多様化に対するニーズも高まっており、ビジネスチャンスも拡がってきている。こうした中、企業間連携を活用した事業展開は実効性の高い取組みと考えられる。