TOP > 中小企業事業 > 中小公庫レポート・調査レポート一覧 > 中小公庫レポート「ナノテクノロジーの動向と中小企業のビジネスチャンス」について
中小公庫レポート03-6
中小公庫レポート「ナノテクノロジーの動向と中小企業のビジネスチャンス」について
中小公庫調査部では、ナノテクに取り組んでいる中小企業の事業内容、参入した動機や経緯、抱えている課題や求められている役割を分析し、中小企業がナノテクを事業化する際に必要と思われる方策や示唆についてまとめた。各章の主な内容は次の通りである。
なお、本調査は財団法人政策科学研究所への委託調査の成果をもとに当公庫が編集したものである。
- 1. ナノテクノロジーの概要
本調査の背景となる基礎知識として、物質がナノサイズまで小さくなると様々な性質が変わること、光触媒や燃料電池、集積回路、DNAチップなど幅広い用途でナノテクの応用が考えられていることなどを概観している。
- 2. ナノテクと中小企業の役割
支援機関や大学、商社など中小企業のパートナーとなる各プレイヤーにヒアリングを行っている。
ものづくりに関して中小企業が有している豊富な経験、コア技術は、多くの可能性の中からナノテクの事業化の途を探り当てるのに有用であると評価されている。また、中小企業のものづくり現場の悩み事を改めて見直すことがナノテクの技術開発・製品開発ニーズの明確化につながり、そこからナノテクへの挑戦が始まることがある。
- 3. ナノテクと中小企業の取り組み
4章でみていく事例先について、技術分野、市場のタイプ、ネットワークの3つの視点から全体的な特徴を概観している。
技術分野別では、材料・素材を取り扱うケース、加工技術を駆使するケース、計測技術を特徴とするケースがあり、加工技術の中には精度向上と半導体微細加工系がみられた。
現在の市場については、研究開発型市場が中心であること、従来からある市場の縮小を伴って拡大していくものが多いことも事例から窺える。
- 4. 中小企業によるナノテクの取り組み事例
本調査のメインとなる章で、中小企業がナノテクに参入した動機や経緯などを中心に事例調査を行っている。
この結果をみると、ナノテクに参入している中小企業は、外部環境の変化に伴い自社の先行きに対する危機感を感じ、いち早く新事業の芽を求める決断と行動を起こしていることが分かる。
技術開発の進め方では、顧客のニーズを実現する過程でナノテクに行き着いた例が複数みられた。
今後の課題としては、市場開拓、知的財産権に関する戦略、収益と開発負担のバランス、自社技術の再評価などがあげられる。
- 5. ナノテクの事業化に向けて
以上のような状況の下、中小企業がナノテクを事業化するための課題を整理してみると、次の6点を挙げることができる。
- ○ユーザーニーズや悩み事を正確に把握し対応すること
- ○自社のコア技術を今一度見直し、新技術導入も含めた技術の高度化を目指すこと
- ○研究機関等とのネットワークを持ち、外部の知恵を活用すること
- ○ナノテクに手の届く人材を増やすこと
- ○喜ばれるものづくりを提案するなどしてナノテクの市場を開拓すること
- ○経営者が現状や将来の経営に危機感を抱き、第二の創業を目指すこと
以上を踏まえ、ナノテクは中小企業にとって必ずしも敷居の高いものではないこと、支援機関等の活動が積極化してきている中で中小企業がナノテクを企業発展の梃子として活用していくことへの期待を述べて結論としている。