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中小公庫レポート02-7

中小公庫レポート「電気・電子機器産業におけるアジア各国間の分業構造の変化と日系中小企業の対応」について

 中小公庫調査部では、日系企業を中心とした電気・電子機器産業におけるアジア域内での国際分業の現状を把握し、日系中小企業に与える影響と対応方策について検討した、標記レポートをとりまとめた。概要は以下の通りである。
 なお、本調査は株式会社日本総合研究所への委託調査の成果をもとに当公庫が編集したものである。

  • 1. アジア各国の電気・電子機器産業の動向
     我が国を除いた東アジアにおける電気産業の生産額は世界シェアの25%を占めるまでに成長している。特に、中国の成長が著しいが、今後もアセアン各国と中国との間で、シェアの獲得を巡る厳しい競争が展開されることが見込まれる。同時に、アジア4極間(日本、中国、アセアン、NIES)の産業貿易は、いずれの関係においても増加しており、相互依存関係は緊密化している。
  • 2. アジア各国における投資動向の変化
     アジア各国の直接投資受入額は、アセアン諸国が長期的に低落傾向にある中、中国が安定して高い水準を維持しているが、アセアンに進出している企業は既に中国に脅威を感じ始めている。それは、日本本国企業の中国シフトとアセアンの空洞化、中国製品のアジア進出による自国マーケットの侵食、および中国製品の世界進出によるアセアン企業の既存マーケットの侵食などとして現れている。その背景には、中国での生産コストが安いことが挙げられるが、生産活動に必要な部品、材料の調達等の点では、裾野産業が育っているアセアンにアドバンテージがある。
  • 3. アジアにおける日系企業の進出動向とその背景
     日系大企業の国際分業戦略の特徴としては、中国とアセアンを2大拠点として位置づけていること、2つの生産拠点は企業の国際分業戦略の中で、域内市場向け、世界市場向けなどとして特徴づけられていること、部品の調達等においてアセアンや中国の枠を超えた国際調達が始まっていること、などが挙げられる。
  • 4. アジアにおける日系大企業を中心とした生産活動の現状
     アジアに進出している日系大企業は、現地での生産基盤の整備状況などに応じて、商品企画から開発、設計、部品の開発と調達、および販売までを通した特徴あるバリューチェーンを展開している。こうした中、それぞれの製造品目や企業の集積状況によって、アセアン・中国の日系部品サプライヤーの関わり方、競合相手に相違がみられる。
  • 5. アジアにおける部品サプライヤーの生産活動の現状と課題
     アセアンの日系部品サプライヤーは、大企業を中心とした国際分業体制との関係において、大手製造業の中国シフトへの対応、企業としての活動範囲の拡大と自身の生産分業の再構築、および自身の部品や原材料の調達の最適化といった対応課題を抱えている。一方、中国に進出した日系部品サプライヤーは、大企業の国際分業体制と現地での部品・材料の調達環境のもとで、受注競争激化への対応、企業活動の現地化、および一層のコスト低減が必要となっている。
  • 6. アジア日系中小企業の今後に向けた対応方策
     こうした状況の下、国際分業の展開に向けた日系中小企業の対応戦略としては「アジアでのサプライチェーンの変化に対応した調達・供給システムの構築」「アジアにおける自らの位置づけの確立にむけた事業範囲の再構築」「外資企業への取引の拡大」「現地化を柱とした経営の革新と企業としての機能の充実」「顧客企業との連携を支える新たな取引システム・受発注システムの構築」「競争に耐える経営基盤の充実と新たな強みづくりのための投資の推進」が必要である。