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中小公庫レポート2002-2
中小公庫レポート「大手自動車メーカーの中国進出と中小部品産業への影響と対応」について
中小公庫調査部では、わが国の自動車メーカーや大手部品メーカーの中国への本格的な進出が、日本国内の中小部品産業に与える影響を分析するとともに対応の方向性を検討した、標記のレポートをとりまとめた。概要は以下の通りである。
- 1. 中国の自動車産業の生産・市場の現状
今後、中国の自動車市場は、1960年代後半の日本のモータリゼーション初期と同様の急成長が期待されている。自動車市場は2001年の236万台から06年に400万台に拡大し、世界の第四番目の市場になるとみられている。
- 2. 大手日系・欧米系自動車メーカーの中国での生産・部材調達体制と今後の計画
①中国への外資系自動車メーカーの新規参入・拠点強化が急速に進んでいる背景として、(ⅰ)中国市場の巨大な潜在規模の魅力、(ⅱ)中国政府の自動車政策の自由化による投資環境の改善、(ⅲ)中国の自動車産業の再編と中国系メーカーの生き残りのための外資との提携、の3点が挙げられる。②中国での日系自動車メーカーの生産・調達体制の特徴として、乗用車ライセンス取得の条件として国産化率40%を満たすことが必要であったことから、多数の系列サプライヤーを乗用車生産の前に進出させたことが挙げられる。
- 3. 日系の大手部品メーカーの中国進出動向と今後の進出計画
①日系大手部品メーカーの対中進出の本格化は、トヨタなど日系主要メーカーが対中進出意向を表明した1990年代半ばに集中している。しかし、このところ再び、中国進出志向が高まってきている。②部品メーカーの対中進出は、取引先対応・国内販売中心型、独自進出・国内販売中心型、独自進出・輸出先行型、本社工場再編・生産移管型進出の4つのパターンに分けられる。当初は前二者が多かったが、将来的には進出部品メーカーは、当初の進出目的を問わず、中国市場の拡大と生産拠点としての競争力の向上にともない、中国内市場向けと輸出の両睨み戦略に移行することが予想される。
- 4. 欧米自動車部品メーカーの中国進出動向と日系部品メーカーとの取引拡大の可能性
①中国進出の欧米部品メーカーと日系部品メーカーとの取引はまだ限定的である。欧米メーカーによれば、日系企業のコストの高さが取引拡大に踏み切れない要因の一つとして挙げられている。しかし、他方で、現在取引している地場系メーカーの生産技術・品質水準に満足していない。②日系部品メーカーとの相違点として、(ⅰ)アジアから中国に生産拠点を集約化していること、(ⅱ)開発・試験機能への投資を高め、将来的にアジアで開発・設計拠点として活用することを想定していること、(ⅲ)製品横断的な購買センターを設けていることが挙げられる。
- 5. 中国の調達基盤の総合評価と今後の供給拠点としての成長の可能性
①中国の調達基盤の強みとして、(ⅰ)労働コストの安さ、(ⅱ)金型等を製作するエンジニアの存在が挙げられるが、その弱みとしては、品質の高い原材料や素形材の調達が困難である点が挙げられる。②中国及びアセアンからの調達部品は、ディストリビューター、イグニションコイル等の電装部品、車体電装品のコンポーネント、一般車体部品、非駆動軸、ホイール関連部品、及びカーラジオ・カーオーディオなどの分野に集中している。③ 長期的には、中国の調達基盤が改善し、部品メーカーの現地調達率が60%以上高まれば、中国の部品産業の国際競争力は急速に高まり、輸出部品も増加すると予想される。競争力向上が期待される分野として高い順に、鋳鍛造部品、一部電装品・空調部品、プレス部品、金型等が挙げられている。
- 6. 日本の中小自動車部品産業の将来と展望―中国とのかかわり方を考える―
①自動車メーカーの中国展開は、わが国の部品産業にとって、競合先としての中国部品産業を台頭させるとともに新たなビジネスチャンスを創出するという二面性を有している。②世界規模で競争が激化する中で、自動車メーカー各社は生き残りを賭けて、大幅なコスト削減に取り組んでいる。取り組みの進む「世界規模での車型共通化」「既往の取引関係の見直し」等は、自動車メーカーの購買政策がより競争的なものに転換してきていることを示唆しており、中小部品産業を取り巻く環境も大きく変わりつつある。中国とのかかわり方も、こうした環境変化への対応の一つとして理解しなければならない。③21世紀の中小部品産業には、単に部品を“作る”ことから価値を“創る”ことが求められている。このためには、従来から得意としてきたQ、C、Dに加えて、エンジニアリング力(E)、世界規模での部品供給力(G)とともに、これらを統合して最適なサービスを提供するマネジメント力(M)が必要とされる。④自動車メーカーや大手部品メーカーの中国展開は今後とも拡大が見込まれる。中小部品産業の対応としては、(ⅰ)中国への事業展開(直接展開、技術供与等)、(ⅱ)中国での生産価格をベンチマークとしたコスト競争力の追求、(ⅲ)開発力の強化による製品高度化、差別化、(ⅳ)異業種・新分野への展開、(ⅴ)他者(社)との補完的協業が考えられる。しかしながら、最も重要なことは、これらの戦略を個々に追求するのではなく一体展開し、トータル的な“課題解決力”を形成する必要があることである。