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調査レポート42
調査レポート「ディーゼル排出ガス規制の強化がトラック関連業界に与える影響について」について
中小公庫調査部では、国の「自動車NOⅹ・PM法」や東京都等首都圏自治体による「PM削減条例」などのディーゼル排出ガス規制の強化がトラック関連業界(トラックメーカー、トラック運送業者)に与える影響について考察した標記のレポートを作成した。概要は以下の通り。
- 1. 深刻化する環境問題と自動車排出ガス規制
自動車排出ガスが原因とされる大気環境問題は、排出ガスに含まれる二酸化炭素の増加により地球規模で懸念されている「地球温暖化問題」と、窒素酸化物、粒子状物質の増加による都市部の「大気汚染問題」に大別できる。主な対応の方向性としては、前者については「ガソリン車の燃費向上」、「クリーンエネルギー車の開発」、「物流・交通体系の効率化」が対策として取り組まれており、後者については「ディーゼル車の排出ガス低減技術の開発」、「燃費の改良」等が取り組まれている。また、わが国の排出ガス規制の経緯と現状を整理すると、欧米の排出ガス規制と比較しても、遜色ない水準まで強化されてきている。
- 2. ディーゼル排出ガス規制の強化と自動車産業の取り組み
わが国においてはディーゼル車の生産は減少しているものの、依然保有トラックの「4台に3台がディーゼル車」であり、ディーゼル車に対する規制の強化はトラック関連業界に大きな影響を与える。排出ガス削減に向けた自動車業界の取り組みの主なものとしては、コモンレール式噴射システムの導入などの「エンジン改良」とDPFなどの「後処理装置の開発」に大別できる。他方で、国内トラックメーカー4社の業績は、普通トラックの販売がピーク時の4割水準まで落ち込むなど国内販売が低迷していることを背景に不振が続いている。こうした中にあって、求められる新たな技術開発関連投資の負担は、部品産業を含め世界的規模での業界再編のきっかけになると考えられる。なお、排出ガス規制の強化を背景に、新たなビジネスフィールドを切り開こうとする企業群も存在している。
- 3. ディーゼル排出ガス規制の強化がトラック運送事業者に与える影響について
トラック運送事業者を取り巻く経営環境は非常に厳しい。物流二法等の規制緩和によって新規参入の事業者が増加する一方で、景気低迷の長期化を背景に荷主が物流経費の削減に取り組んでいることから、受注単価が低下傾向にあり、多くの企業が収益の悪化に苦しんでいる。とりわけ、零細業者において収益の悪化は顕著である。また、トラック運送事業者の車両保有状況を見ると、収益の悪化を反映して、平均使用年数が長期化傾向にあり、老朽車両の更新が遅れていることが窺える。こうした中で、国の「自動車NOx・PM法」や首都圏自治体「条例」によるディーゼル排出ガス規制は、トラック運送事業者に規制対象となるトラックの買い替えや後処理装置の装備を義務付けるものであり、事業者にとって負担は極めて重い。また、規制開始時に対応を迫られるトラックの台数を試算すると、「条例」関係で24万台(関東圏のみ)、「自動車NOx・PM法」で当面10万台規模に及ぶと試算される。トラック運送事業者に求められる対応は、①規制についての適切な理解を進めること、②自社運行システムの抜本的見直し、③同業者とのネットワークの強化などである。なお、大気汚染問題が社会問題であることにも鑑み、助成金、低利融資、税制といった事業者に対する公的支援を拡充することで、車両の代替などが円滑に進むように配慮していくことも必要であると考えられる。