TOP > 中小企業事業 > 中小公庫レポート・調査レポート一覧 > 調査レポート「中小アパレル関連メーカーの現状と今後の方向」について
調査レポート38
調査レポート「中小アパレル関連メーカーの現状と今後の方向」について
長引く不況やグローバル化の進展で中小アパレル関連メーカーを取り巻く環境は厳しい。輸入が急増する一方で国内生産は減少している。消費低迷の下で競争は激化しており、需給要因と生産・流通の合理化などが複合する形で衣料品価格は下落基調にある。しかし中小メーカーの全てが一律に不振ということではない。日本にはファッション感性の高い国内消費者、企業家精神に溢れる人材、長年培った高い技術水準を擁する企業群、といった恵まれたカードがある。
中小公庫調査部では、厳しい事業環境の中で業績を維持・向上している中小アパレル関連メーカー12社のヒアリング調査を行い、好調企業の取組みや戦略の特徴を整理した。概要は下記の通り。
- 1. 好調企業の共通点
ヒアリング先企業の共通点として、世の中の変化を敏感にキャッチし、自ら積極的にリスクテイクして企業の姿を変化させていっていることがあげられる。さらにはその変化を可能にするための人材育成に力を入れていることも共通する。変化の内容には「コスト削減の仕組み作り」と「付加価値の向上」の両方がある。競争激化に対応して、単に販売価格を下げて、同じような商品を同じやり方で供給するのでは、利益が圧迫されるだけとなり長くは続かないからである。
- 2. 国内生産と海外生産のすみわけ
現在では、海外と国内で品質面での格差はほとんどなくなっている。QR(クイックレスポンス)についても、生産・流通現場での地道な改善やITの活用などで、海外工場の対応レベルは相当に高まっている。個別企業レベルでは、「国内工場の保護意識」は薄れてきており、利益極大化のためできるだけ海外生産を活用しようとする流れは止め難い。リードタイムの長短とロットの大小等に基づいた最適生産地を選択し、海外生産に向かない小ロット品や超短納期品を国内生産で対応しようという傾向が強まるだろう。
- 3. 商品ゾーンについて
アパレル製品には「価格」と「価値」という二つの追求ポイントが存在する。ただし実用衣料と高級衣料品に二分されるということではない。「価格」に軸足を置きながらも、機能性・デザイン性・ファッション性などの「価値」を高めていった商品や、「価値」に軸足を置きながら「価格」を引き下げていった商品など「ファッション・コモディティ」といわれる中間的ゾーンも存在する。ゾーンを細分化すると①価格指向型定番衣料品(実用衣料品)②差別化定番衣料品、③価格指向型差別化衣料品、④高級差別化衣料品の四ゾーンになる。なお生産・流通の合理化によるコストダウンで、価格低下は全てのゾーンにおいて一層進展していくと思われる。
- 4. 戦略タイプについて
中小アパレル関連メーカーのコスト削減には、①労賃の削減等の直接的なコスト削減と、②販売機会のロスや在庫ロスの削減という間接的なコスト削減、の2つのアプローチがある。また付加価値の向上には、①企画力を高めファッション性の高い分野にシフトするなど自社が果たす機能や商品自体の価値を上げること、②サプライチェーンの中で自社が担当する領域を広げることで付加価値の自社への配分を高めること、という2つのアプローチがある。
具体的な企業戦略のタイプとしては①海外進出、②SCM体制の構築、③中抜きや川下展開、④外部企業との連携による企画力向上、⑤得意分野への絞り込みなどが見られた。