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調査レポート33
調査レポート 「品確法が中小住宅業界に与える影響とその対応状況」について
2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)では、新築住宅について「10年間の構造部分の瑕疵担保責任」と、「住宅性能の評価・表示の枠組み」が規定された。今後、工務店をはじめ、建材流通業者、製材業者などでは、同法への対応を軸に様々な動きが出てくるものと考えられる。
中小公庫調査部では、品確法が中小住宅関連業者の経営に与える影響と今後の対応の方向、そして本格的な性能競争時代を生き抜くための戦略について検討した標記レポートを作成した。概要は、下記のとおり。
記
~部材、工法選択の変化~
工務店では、構造部分の瑕疵を避けるため、収縮の少ない人工乾燥製材や、品質管理がしやすいエンジニアードウッド(工業化製材、EW)など、使用部材の見直しが進む。また、プレカットは、加工精度の向上、品質の安定が可能なため、工務店での採用率が高まる。この動きは、部材調達先である木材問屋、製材業者にも影響を及ぼす。
~コストアップ~
部材の見直しや、瑕疵担保責任が問われた場合の補修費用負担などによるコストアップが懸念される。性能評価費用によるコスト負担も考えられる。新設着工の頭打ちを背景とした価格競争の中で、品確法への対応が利益率の低下要因となる可能性がある。
~在庫負担の増加~
木材問屋では、未乾燥材に加え、同一寸法の乾燥製材、集成材を取り揃える必要が生じ、在庫負担の増加を招く可能性がある。
~構造材流通経路の変化~
一部の工務店で、性能表示材の安定的調達のため、問屋を通さず、製材業者から直接調達する動きが見られる。また、プレカット業者が、直接、製材業者からプレカット用材を調達したり、工務店に直納する動きも見られている。木材問屋では、新たな構造材の流れに対応する必要が出ている。
中小工務店、木材問屋、プレカット業者、製材業者へのヒアリング結果から考えられる中小住宅関連業者の対応の方向は次頁のとおり。
~工務店~
- ・ 真面目に施主本位の住宅作りを行なってきた工務店は、従来からの姿勢を変える必要はない。ただし、今後、施主から制度的裏付けのある瑕疵保証体制が求められるケースが増えることが考えられる。対応に向けた最小限の内部体制の整備は必要となろう。また、中小工務店では、大手メーカーとの工事遂行上の信用力の差が否めない。完成保証体制への対応が並んで重要である。
- ・ 基礎工事部分への対応や乾燥材の使用割合を増やすケースなど、相応のコストアップは避けられない。コスト上昇に対する施主の理解を得るための取り組みが重要となる。
- ・ 本格的な性能競争時代に中小工務店が大手メーカーと互していくためには、同制度に沿って、客観的基準に基づく数値を用いて住宅性能を顧客に提示できる体制作りが必要。対応できれば大きなメリットになる。公的な性能表示項目以外に施主が関心ありそうな情報について提示しているケースもある。
- ・ 経営資源の限られた中小工務店の性能表示への対応は、(1)強調したい性能項目の絞り込み、(2)型式認定制度の活用、(3)表示性能通りの施工を可能とする内部管理体制、がポイントである。
- ・ 品確法の新たな枠組みに対応するにあたり、中小工務店が単独で解決できない課題は多い。新たな枠組みに向けた取り組みのため、地場工務店の組織化が大きな方向となってきている。
~木材問屋~
- ・ 現状は未乾燥材中心の品揃えだが、工務店の乾燥製材、EWに対する意識の高まりを受け、問屋も、乾燥製材等へ取り組む必要が出てきている。中小問屋にとって未乾燥、人工乾燥、EWなどすべてを在庫するのは難しい。何を取り扱いの核とするかがポイントとなるが、今後、乾燥機導入により乾燥材の低価格化が進展することから、未乾燥材に比べ長期の在庫が可能な乾燥材に品揃えを絞るとするケースや、当面、未乾燥材中心に品揃えし、工務店からの要請に応じ迅速に調達できるよう、仕入先の乾燥設備への対応状況を把握しておくことで対応するケースなど対応は様々である。
- ・ 樹種の違いによる乾燥、加工コストの差を背景に、樹種間の価格体系が変化する。木材問屋は、今後、新たな価格体系に注意する必要がある。また、構造材の工業化、規格化は、部材価格の標準化を進展させ、差別化が難しくなっていく。
- ・ 構造材の流れを引き戻すため、製材品の集荷、販売機能だけでなく、性能競争時代における工務店の生き残りを支援する体制作りが重要。製材業者との連携を従来以上に密にし、例えば工法をあわせ提案していくなどの提案力強化が必要である。また、プレカット加工設備を導入することで、プレカット業者から構造材の流れを引き戻す動きもある。
~プレカット業者~
- ・ 品質管理や性能表示に対応する工務店支援のため、保有するCADデータを活用し住宅の構造計算を行なうことで、納材先工務店の品質管理、性能表示を支援していくなど業務拡大に向けた動きが出ている。今後、CADデータをベースとした性能表示、保証が大きな戦略となる。
- ・ 接合金具メーカーでは、品確法を契機とした接合金具工法への需要急増に対し、全国のプレカット工場との連携による工法の普及を視野に入れている。接合金具メーカーとの連携も大きな方向である。
~製材業者~
- ・ 集成材、LVL(単板積層材)といったEWは、品質管理のしやすさから、品確法時代の構造材として競争力が高まっていく。
- ・ 性能表示が構造材取引の重要な条件となる。製材業者には、自社が供給する商品の性能を明確に把握、管理するための内部体制作りが求められる。また、製材供給だけでなく、工務店の品確法対応支援のための情報提供、部材・工法提案力の強化が重要である。規格化、工業化された材ほど現場での活用に際してのノウハウ(工法付きの販売体制)が必要となるためである。
- ・ 生産量1万立方m/年以下の製材所では、単独での乾燥機導入は非効率である。多種にわたる製材の効率的な乾燥のためには協同組合等による対応が有効である。
以 上