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中小企業生産性向上プロジェクトについて
景気が回復基調にある中にあっても、業種や地域・企業規模間等によって景況感にはばらつきがあり、多くの中小企業は依然として厳しい状況におかれています。
人口減少社会というこれまでにない局面の中で、成長力を強化して我が国経済が成長を続けるには、中小企業の生産性を向上することが極めて重要です。中小企業は、消費者や取引先のニーズにきめ細やかに対応した柔軟で機動的かつ創造的なビジネスを展開し、我が国経済の持続的な成長を牽引する能力を持っています。そうした考えに基づき政府は、昨年11月13日に「中小企業生産性向上プロジェクト」をとりまとめ、公表しました。
本号では、本プロジェクトの概要についてご紹介します。
プロジェクトの進め方
政府は、本プロジェクトの実施に当って、都市部や海外と地方をつなぐ政策、大企業と中小企業等をつなぐ政策に重点を置きつつ、(1)先進的・モデル的な取組みの支援、(2)インフラ的な機能の整備に重点的に取り組むこととしています。その際、政策の効果的な推進を図るため、可能な限り数値目標を設定し、実施期間についても平成19年度から21年度までの3年間に集中的に実施することにしています。
具体的な取組み
本プロジェクトでは、以下のステップで中小企業の生産性向上を支援します
【ステップ1】経営の「見える化」を支援します
【ステップ2】下請事業者と親事業者の新たな関係を構築します
【ステップ3】経営を変えるための資金調達を支援します
【ステップ4】人材の育成を支援すると共に、外部の「チエ」とつなぎます
【ステップ5】「つながり」の強化により新しい付加価値を生み出す挑戦を支援します
1.経営の「見える化」を支援します
- ・インターネットを通じて、簡単に記帳ができるよう支援します。
- ・中小企業のIT化を支援します。
- ・財務状況など経営の課題を、中小企業の皆様が自ら把握できるようになります。
- ・全国300の拠点で、経営の悩みについて、年間10万件の相談に応じます。
- ・資金、商品開発、取引拡大など、企業毎の経営課題を目に見える形にするよう支援します。
- ・500名のコーディネーターが、それぞれの経営課題に応じて、専門家の派遣や最適な支援制度を活用しつつ、きめ細かく経営を支援します。
⇔事業承継の円滑化や事業再生の支援を通じて、地域の雇用を守ります。
- (1)事業承継問題の解決を総合的に支援します。
- ・中小企業の事業承継を支援して、新しい世代につなぎます。
- ・事業承継税制を抜本的に拡充します。
~自社株式の相続税の特例措置について、現行の10%減額から大幅に拡充し、80%の納税猶予を受けられるようになります。
- ・全国100箇所の相談窓口で、事業承継に関するあらゆる問題について、弁護士などの専門家が相談に応じます。
- (2)企業の立て直しを請け負います。
- ・各都道府県の中小企業再生支援協議会では、これまで13,000件の相談に応じ、2,000件の再生計画の策定を支援した経験を活かし、弁護士などの専門家が、事業の再生を支援しています。
2.下請事業者と親事業者の新たな関係を構築します
⇔ 下請取引の「駆け込み寺」を全国規模で整備して、47都道府県下の下請けトラブルの相談・解決に努めます。
- (1)下請代金法を厳格に運用して、買い叩き等の違法行為を厳しく取締ります。
- (2)下請事業者と親事業者が共に栄えるような関係の構築を目指します。
- ・下請適正取引ガイドラインの普及啓発を図ることにより、成果を共有できるような関係の構築を後押しします。
3.経営を変えるための資金調達を支援します
様々な資金ニーズに応じます。
- ・手形取引は、15年前の1/8まで減少しています。手形割引に代わる手段として、売掛債権を早期に現金化できるよう支援します。
- ・低額の保証料で、保証の予約ができるようにします。
- ・担保・保証人に頼らずに融資が受けられるような環境整備を進めます。
4.人材の育成を支援すると共に、外部の「チエ」とつなぎます
- (1)団塊世代の人材を地域・中小企業につなぎます。
- ・技術やノウハウを持っている全国の団塊世代の大企業人材が、地域・中小企業で活躍してもらえるよう支援します。
- ・年間1万人の人材を中小企業につなぎ、新製品の開発やブランド戦略、販路の拡大、財務状況の改善など、中小企業が抱える課題を解決します。
- ・地域の中小企業と工業高校や高専をつなぎ、中小企業のものづくりを支える若手人材の育成を支援します。
- ・中小企業の技術を学生に伝えるとともに、中小企業の若手技術者が新しい技術を学ぶ機会を提供します。
5.「つながり」の強化により、新しい付加価値を生み出す挑戦を支援します
- (1)農林水産業と商工業をつなぎます(「農商工連携」の促進)。
- ・新たな法的枠組みにより、税や低利融資等で、新商品開発等の取組みを支援します。
- ・空き店舗を活用した農産物販売のアンテナショップ設置などにより、商店街の活性化を支援します。
- ・地域の知恵と工夫を活かした農商工の連携を支援するため、中小機構は、中小企業応援ファンドに500億円の資金枠を準備します。
- (2)地域の魅力ある商品等を内外のマーケットにつなぎます。
- ・各地域の農林水産品や、産地の技術、観光資源などの地域資源を活かした商品やサービスが、もっと売れるよう支援します。
- ・マーケティングやブランド戦略などの専門家によるきめ細かな相談、助成金・税制・低利融資などにより、各地域の知恵や工夫を支援し、5年間で1,000件の新事業創出を支援します。
- (3)新たな付加価値を生み出す技術の開発を支援します。
- (1)中小企業と大企業をつなぎ、ものづくり技術の高度化を支援します。
- ・めっき、鍛造、金型など製造業の国際競争力を支える中小企業の技術力強化を支援します。
- ・大企業の商品開発と中小企業の技術をつなぎます。
~自動車、情報家電など川下大企業の3~5年後の商品開発ニーズを踏まえた技術開発の方向性を示すとともに、大企業等と共同で行う研究開発を資金提供等により支援します。
- (2)中小企業と都道府県等の「公設試験研究機関」の技術や知恵をつなぎます。
- ・製造業で培われた知恵やノウハウを、商業・サービス産業につなぎます。
~「トヨタ生産方式」など効率化の取組みのサービス産業への導入を支援します。また、全国の先進事例を「ハイ・サービス」として3年間で300件紹介します。
- ・品質の見えないサービス産業の満足度や品質を「見える化」します。
~顧客の満足度を測る指標を開発します。また、質の高いサービスと低いサービスを差別化する仕組みを整備します。
- ・特に商業については、中心市街地の活性化やコンパクト・シティの推進、商店街向け支援策の活用により、引き続き強力に支援します。
(経営情報部 田中 文男)