TOP > 中小企業事業 > 刊行物 > 経営情報一覧表 > 中小公庫「経営情報」No.355
最近の中小小売業を取り巻く環境は、大手スーパーや大手量販店等との業態間競争や、商業集積間・地域間の競争激化に加えて、消費者の購買行動の変化や販売形態の多様化等もあり、ますます厳しさを増しています。
そうした状況の中で、売上や利益を確保し、成長を続けていくには、自社の置かれている状況を的確に把握し、これまで以上に実効性の高い経営改善計画を策定し、着実に実行していくことが必要です。
本号では、小売業を営む中小企業が効果的な経営改善を進める際に留意すべきポイントについて紹介します。
| 経営改善の必要性 |
品質と価格のバランスや自分のライフスタイル、価値観に重きを置き、事前情報を十分に収集した上で商品選択を行う消費者の増加、中心市街地から郊外立地への店舗立地の変化、業態間や商業集積間の競争激化等に加えて、インターネットを活用した仮想店舗やショッピングモール等との新たな競争も発生しており、小売業界、とりわけ中小小売業者の事業環境は一段と厳しさを増しています。
そうした状況下にあっては、組織の革新や商品構成の見直しによる消費者ニーズへの的確な対応、魅力的な店舗への改装等施設の充実や多店舗化、業務用食品スーパーや100円ショップ等成長業態への転換や専門化の追求等により、売上げや利益を確保することが喫緊の課題となっています。
しかしながら中小小売業者においては、資金的な制約等もあり、一度に大きな投資は難しいケースも多いことから、商品構成や商品の発注・仕入方法の見直し、販売促進方法の改善や人件費コントロールによる経費削減等、既存店の改革から優先的に実施していくことが必要となります。
| 経営改善のステップ |
経営改善は、以下のステップで進めていきます。

1.現状分析
経営改善を実施するためには、まず自社の現状を正確に把握します。現状分析は以下の3つの視点で行う必要があります。

2.改善計画の立案
~改善計画立案シートの作成~
現状分析によって明らかになった自店の課題に沿って、改善計画を作成します。
経営改善計画は、自社の「あるべき姿」を実現するための全社的な目標や行動計画を明らかにするもので、従業員一人ひとりの果たすべき役割の指針を示すものです。したがって、従業員の当事者意識に働きかけ、経営計画を実効性のあるものにするためにも、数値目標や実施スケジュール等を明確にした計画を作成する必要があります。
| 店舗における改善手法 |
1.品揃え・売場の改善

■磁石の種類と陳列すべき商品

2.発注と仕入の改善


3.販売促進方法の改善
販売促進策には、常時販促と、定点的販促があります。ここではそれぞれの代表的な手法として、ポイントカードとチラシについて説明します。


4.オペレーションの改善
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| 取組み事例 |

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A社では、ショッピングセンター進出による業績悪化への対策として、既存店舗のたて直しによる収益向上を目指しました。品揃えに関しては、プライスライン分析をもとに、主力の生鮮品に関して、競合店より価格を低めに設定するとともに、その価格帯前後に品揃えを集中しボリューム感を出しました。また、発注に関してはPI値を活用して発注精度を高め、パート比率を段階的に引き上げることで、人件費の削減も実施しました。さらにチラシの配布地域や配布枚数を見直すことで、販促費の削減にも取り組みました。
こうした取組みの結果、客数減をカバーし売り上げは徐々に回復しました。また、コスト面でも、人件費、販促費の削減を実現し、収益は改善に向かいました。

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B社では、経営する5店舗のうち、大手量販店が運営するショッピングセンター内にテナントとして出店している4店舗の収支がいずれも赤字となっていたことから、収支改善に着手しました。品揃えの改善に加えて、店舗別業績評価制度を導入することで、各店舗の採算管理を徹底しました。また、レイバースケジューリングを実施し、効率的な要員配置を行うとともに、パート社員の指導を強化し、評価制度も導入することで、パート社員の戦力化を図りました。仕入面では仕入れ枠管理を強化することで適正在庫を維持できるようになり、売上の増加、商品回転率の改善等につながっています。
こうした取組みの結果、売上げの増加や粗利率の改善等が実現し、赤字店舗の黒字化が実現しました。
(経営情報部 田中 文男)