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中小公庫「経営情報」No.354

第12回アセアン進出企業の現地法人実態調査
&アセアン諸国の環境規制

 中小公庫では、お取引先のアセアン現地法人を対象に毎年「アセアン進出企業の現地法人実態調査」を実施しています。今般、第12回(2007年6月実施)の調査結果を取りまとめましたので(有効回答社数:139、現地法人ベース)、その概要をご紹介します。
また、近年強化されている環境規制について、アセアン諸国における環境関連規制の概要とその留意点をご紹介します。

第12回アセアン進出企業の現地法人実態調査

1 最近の業況(売上・損益動向)

 直近決算期前期と比べて売上が増加した企業は61%、利益が増加した企業は39%となっています。
国別にみると、輸出・内需ともに好調なベトナムならびに自動車関連に牽引されたタイでは売上、利益とも増加と回答する企業割合が高くなっています。一方で、マレーシア、インドネシア及びフィリピンにおいては国内の消費不振や、通貨高等が影響し、低調な結果となっています(図表1、2)。

図表1 売上高増減 図表2 利益増減
図表1 売上高増減 図表2 利益増減

2 経営課題

 経営課題については、「仕入原価の上昇」を挙げる企業割合が63%で4年連続トップとなり、素材価格の上昇が経営に与える影響が大きいことをうかがわせる結果となっています。また、2位は「販売単価の下落」、3位は「販売量の減少」と続いており、中国等との競合が激しくなっていることが推定されます。 なお、低廉な労働コストを目的として進出する企業が多いベトナムにおいては、1位が「労務費上昇が顕著」、2位が「管理者不足」となっており、人材に関する問題が経営課題の上位にきています(図表3)。

 経営課題については、「仕入原価の上昇」を挙げる企業割合が63%で4年連続トップとなり、素材価格の上昇が経営に与える影響が大きいことをうかがわせる結果となっています。また、2位は「販売単価の下落」、3位は「販売量の減少」と続いており、中国等との競合が激しくなっていることが推定されます。

 なお、低廉な労働コストを目的として進出する企業が多いベトナムにおいては、1位が「労務費上昇が顕著」、2位が「管理者不足」となっており、人材に関する問題が経営課題の上位にきています(図表3)。

図表3 経営課題(複数回答)

図表3 経営課題(複数回答)

3 今後の見通し

 今後1年間の見通しについては、売上増加を見込む企業は49%、利益増加を見込む企業は43%となっています。

 国別でみると、マレーシア及びフィリピンにおいて為替高等の影響を懸念し、売上減少及び利益減少を見込む企業割合が多くなっています(図表4、5)。

図表4 売上増減見通し

図表4 売上増減見通し

図表5 利益増減見通し

図表5 利益増減見通し

アセアン諸国の環境規制

 近年、世界中で環境問題が喫緊の課題となる中、アセアン諸国においても環境に関する規制が強化される傾向にあります。そうした規制に対する認識不足は以下の事例にもみられるとおり、海外現地法人の企業活動に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

事例1

日系メーカーの経営者が、既存の廃棄物処理業者から、ローカル社員に紹介された低料金の廃棄物処理業者に切り替えたところ、当社が環境当局から不法投棄で訴えられました。経緯を調べると、処理業者は当局の正規のライセンス保有者ではなかったことが判明しました。

事例2

ローカル社員に化学薬品の在庫管理をさせていたところ、同人が同薬品を転売し、他の安い薬品をすり替えて使用していたことが発覚しました。そのまま出荷し続けていれば、当社の信用失墜を招きかねない事態に及ぶ可能性もあり、加えて環境基準にも抵触する恐れもありました。

1 タイの環境規制

 タイでは国家環境保全推進法を基本として、環境関連法令が定められています(主なものは表1)。

 タイでは20以上の政府機関が廃棄物・リサイクル管理に関わっており、それぞれが所管する法律に基づいた規制が実施されています。表1に挙げた法律でも、工場法は工業省工場局、有害物質法は天然資源産業省公害管理局、工業団地法は工業団地公社とそれぞれ所管機関が分かれています。これらの規制は優先順位が明確でない場合も多く、タイにおける環境行政を複雑なものにしています。

表1 タイの環境関連の主な法令

表1 タイの環境関連の主な法令

 タイでは、どこでどのような廃棄物を処理・リサイクルしたかを、廃棄するごとに証明するマニュフェスト(廃棄物管理伝票)制度がありますが、この制度が完全に機能しているとは言えず、不正な廃棄物処理も依然みられるのが現状です。このため、制度を運用する工業省工場局では取締りを強化するとともに、工場局のインターネットサイト上で廃棄物の処理状況を管理するE-マニュフェスト制度を導入し、制度の定着を図っています。

2 マレーシアの環境規制

 マレーシアでは環境基準法を基本として環境関連法令が定められています(主なものは表2)。法令は年々増加しており、改正もされているため、進出企業は常に最新情報を得ておく必要があります。

表2 マレーシアの環境関連の主な法令

表2 マレーシアの環境関連の主な法令

※特定廃棄物:有害な特性を持つ廃棄物で、重金属、汚泥、ヒ素等が指定されている。

 環境行政を担当する環境局は、近年、特定廃棄物の不法投棄に対する罰則及び取締りを強化しており、個別企業への査察も増加する傾向にあります。進出企業は自社の廃棄物を規制にしたがって適切に処理する必要があります。

 規制の詳細や、ライセンスを有する処理業者に関する多くの情報は、環境局のホームページで確認することができます。廃棄物の処理に当たっては独自の判断はせず、必要な情報を確認した上で行うことが賢明と言えるでしょう。

3 ベトナムの環境規制

 ベトナムでは環境保護法を基本として、同法を具体的に実施していくための政令や個別法規が定められています(主なものは表3)。

表3 ベトナムの環境関連の主な法令

表3 ベトナムの環境関連の主な法令

 廃棄物については有害廃棄物管理規則に基づき、各省の資源環境局が許可を与えた業者が収集・運搬、処理・処分等を行うとされています。ただ、許可業者の数は限られている上に、許可業者の中でも十分な汚染防止対策がなされていないなど、問題を抱えている業者が少なくありません。また、有害廃棄物の処分施設が未整備であるため、大部分の有害廃棄物は一般のゴミなどと一緒に埋め立て処分されているとみられます。

 このような状況下で、進出日系企業の中には産業廃棄物を工場敷地内で保管したり、副生物を農地還元したりするなど、独自の工夫で環境対策を進めている企業もみられます。その対策はベトナムの環境政策のボトムアップにも貢献していると言われています。

(経営情報部 クアラルンプール駐在員事務所 佐近 友昭、国際室 木村 公太)